ハイブリッド証券 : 基礎(6)経済学的な意義① | 謎の金融日誌

ハイブリッド証券 : 基礎(6)経済学的な意義①

 今回は実務的な有用性の観点を少し離れて、「そもそもこのような証券が存在する客観的な意味、経済学的な意義」について考えてみます。

まず取り上げるのは、「業績の不確実性が高い場合に投資家のリスクを抑制する」という効果です。

  ベンチャー企業や業績が急に悪化した企業の場合、信用リスクが高いため一般投資家がなかなか投資できません。CBであれば、業績が伸びなければ社債のまま 償還してもらい、業績が伸びれば株式へ転換することによりキャピタルゲインを獲得できるため、ハイリスク案件の投資家を呼び込むリターンを提供することが できます。
 よりフォーマルには、CBの価値を以下のように考えます。

 CBの価値=社債の価値(A)+転換権の価値(B)

  ここで、業績の不確実性をその企業の資産価値のボラティリティσの大きさとすると、σが大きいほど社債のデフォルトの可能性が高まりますから(A)は小さ くなります。一方、転換権=コールオプションの価値はσの増加関数ですから、業績の振れが大きいほど(B)は大きくなります。したがってσの影響は(A) と(B)とで反対方向となるため、全体としてのCBの価値は不確実性があっても相対的に影響を受けにくくなります。したがって、このような状況下では社債 もしくは株式のいずれかで投資するよりも、CBのようなハイブリッド証券で投資することでリスクの抑制とリターンの確保を狙うことができることになりま す。
(つづく)