一目惚れではない。
一瞬にして恋に落ちた訳でもない。

ただ、

「コノヒトト レンアイヲスル」

そんな強い予感がしただけ。



心の中がざわつく。


結婚を誓い合った彼氏の友達。
大学の同期で
彼らは私よりも長い付き合い。
そして現在、二人は同じ職場で働いている。




「スキニナッテハイケナイ」

「キット キノセイダ」


自分に言い聞かす。



繰り返し
繰り返し
自分に言い聞かす。









彼と初めて会ったのは去年のある秋の日。
引越しを終えた彼氏の家にはテレビがなくて
友達から売ってもらうことになっていた。

車で友達の家へ向かって、
アパートの前に着くと
そこに彼が居た。

小雨の降る少し肌寒い日だった。
彼の足元には
可愛い茶トラの猫が
擦り寄っていた。
猫好きな私は車の中で彼氏に聞いた。
「彼は猫を飼ってるのかしら?」
彼は不思議そうな顔をして
「そんな話し聞いたことないけどなぁ」
と首を傾げた。

彼が車を誘導して
車を止めた。

車から降りて自己紹介された時、
不思議な感覚に囚われた。

『ワタシハ コノヒトト レンアイヲスル』

それが全ての始まりだった。