JN妄想Story番外編☆動き出す時の流れ Vol.1
ピン、ポーン・・・
誰かが来た事を知らせるドアチャイムの音が聞こえた気がしたが、今の自分を訪れる客など誰も居ないのだと思い返し、その男は手にしていた酒を再び呷る。
ゴクリ・・・ゴクリ・・・・と喉が上下する度、焼け付くような熱さが男の気管支を痛めつける。
はぁぁ・・・
男は振り絞るような吐息を吐き出すと空になったビンをドンっとテーブルの上に置き、そのまま顔をテーブルに突っ伏せた。
もうどれ位こんな事を続けているのか、当の昔にカレンダーは意味を成さない物になり、今がいつなのかも男には分からなかった。
いや、分かろうとしていなかったと言った方が正確だろう。
男は永遠に時の流れを止めてしまいたいと願っていたのだから。
愛していた男と過ごしたこの部屋で、自ら時の流れを止める事を選んだのだ。
男の名前は天橋奈義。
一世を風靡した当代きってのアイドルユニット「ALMAZ」の元リーダー。
しかし人気絶頂期に謎の失踪を果たし、その行方を追うマスコミが躍起になって奈義の居所を突きとめようとしていたのは記憶に新しい。
だが、その行方はようとして知れず、いつしかマスコミ雀の口から奈義と言う名前が上がる事は無くなりつつ有った。
奈義の失踪の経緯を知る者はごく僅かの限られた人物しかいなかったが、皆一様に口を閉ざし、その行方について口を開く者はいなかったからだ。
奈義が世間から姿をくらましてから早2年近くの時が経とうとしていた。
ピン、ポーン・・・
薄れゆく意識の中で、奈義はまたドアチャイムの鳴る音を微かに耳にした気がした。
「俺の事は放っておいてくれ・・・」
奈義は誰に言うでもなくそう呟いた。
そして、そのまま昼とも夜ともつかぬ泥のような眠りに堕ちて行こうとする。
酒の力を借りなければ眠りに就く事も出来ぬ日々が次第に奈義の酒量を増加させ、最近ではウォッカなどの強い酒でなければ効果が表れなくなって来ていた。
空っぽの酒ビンを手に顔を突っ伏した奈義の顔は青ざめ、無精髭が伸びて、かつてのトップアイドルだった頃の面影は影を潜めていた。
ピン、ポーン・・・
ドアチャイムの音が再び静かな室内に響き渡るが、この部屋の唯一の主で有る奈義はこの所特に眠れない日が続いていたせいか、漸く訪れた眠りに正体も無くしていた。
中からの応えを待って暫くドアの前で立っていた男は、何の返答も無いと分かると、自分のキーチェーンに付けられた鍵束の中から一つの鍵を選び、それを手にして少し躊躇いがちにドアの向こうへとインターホン越しに声を掛けた。
「奈義?おるんやろ?」
「俺や・・・・」
「奈義?」
それでも中から返答が返って来る様子は無い。
男は意を決すると、手にした鍵を鍵穴に差し込み、カチャリと音をさせて鍵を開けると、深呼吸をしてドアを開け中へ入った。
ここを訪れるのは初めてでは無い。
以前にも数回訪れてはいるが、最後にここを訪れてからもう半年程経とうとしていた。
最初にここを訪れた時、奈義はここでもう少し過ごしていたいと言った。
奈義の傷が癒えるのをずっと待っていた男は、奈義の方からコンタクトが有るのを辛抱強く待っていたが、一向にその兆しは無く、この半年余りは電話を掛けてもなしのつぶてだった。
奈義がいつでも戻って来れるようにと、男は新曲が出来上がって来る度にデモテープを送り続けた。
奈義が自らステージに立つ事を望むまで、奈義が戻って来れる場所を残された二人で守り続け、いつかまた3人揃ってステージに立つ日をじっと辛抱強く待っていたのだ。
しかし、季節が一巡しても一向に奈義から連絡が入る事は無かった。
奈義の傷は男が思っていた以上に深かったと言う事を、あの時にはまだ知らなかったのだ。
「奈義・・・?」
男は奈義の名を呼びながら室内へと入って行く。
「奈義・・・?」
声を掛けながらキッチンを覗き、反対側の浴室も覗くが、そこに求めている姿が無いと分かると、男は廊下を進んで奥へと続くドアをゆっくりと開けた。
カチャン・・・
軽く音を立てて扉が開く。
そこには12畳程のリビングが広がっており、大きなソファが置かれているのが目を引くが、昼間でもカーテンを閉め切った室内は薄暗い。
男はサングラスを外すと、それを胸元に引っ掛け、ソファへと向かおうとした。
室内に入ると、男は顔をしかめ、厳しい表情を顔に浮かべる。
プンと鼻を突く酒の臭いが男には気に入らなかったのだ。
「あの・・アホ・・・」
男は小さく舌打ちしながら呟くと、ずかずかと大股に歩を進め、ソファを通り越して窓際へと歩み寄り、分厚い重厚なカーテンに手を掛けると一気にそれを押し開いた。
途端に眩いばかりの太陽の光が室内を明るく照らし出す。
男は外のテラスへと続くそのガラス戸を大きく開け放つと、潮の香りと共に微かな波の音が風に乗って聞こえて来た。
「や・・めろ・・・・やっ・・・」
力の無い声がソファの方から上がる。
男はその声の持ち主を憐れみと憤りの入り混じった表情で見据える。
その目に抑え切れない怒りが宿っていた。
奈義に対する怒り、そして、自分への怒り・・・
目の前のテーブルに突っ伏した奈義を見るその目には憤怒と共に「悔恨」の色が宿っている。
何故、こいつのこの苦しみをもっと早く救ってやれなかったのか・・・
自分に対する怒りが男の目に光る物を浮かばせた。
「奈義・・・」
男は静かに声を掛けると、奈義の元へ歩み寄り、そっとその足元に跪いて奈義の背中に手を掛けた。
184cmの長身を折り曲げ、テーブルに突っ伏した奈義の顔を下から覗き込むように見上げている男の名前は日向仁。
ALMAZのメンバーで最年少ながら、一番の野心家でも有り、元々ソロデビューを目指していた為、結成当時は何かと奈義と衝突する事が多かったが、奈義の持つ自分には無い才能に強く惹かれ、奈義の人一倍熱い魂に触れる内に、いつしか奈義の一番の信奉者になっていた。
自分は奈義の全てを理解してると思ってた・・・
その想いが仁には有った。
いつか奈義は俺達の元に戻って来る、そう思ってた・・・
それが、どうだ!?
目の前の奈義はもがき苦しんでいる。
立ち切れない喪失感と孤独の海の狭間で浮かび上がる事も出来ずに溺れ掛けているその姿に、何故、自分はもっと早く助けの手を伸ばしてやらなかったのか・・・と、仁は自分を責めずにはいられなかった。
「奈義!?」
仁は伸びっ放しになって青ざめた頬を覆い隠している髪の毛をそっと掻き上げながらもう一度奈義の名前を呼んだ。
「ぅ・・う、ん・・・・」
「奈義っ!?俺や、仁やっ!」
「じ・・・・んっ・・・・」
「そうや、仁や。分かるか?」
仁は奈義の顔を覗き込みながらそっとその頬を何度も優しく撫でる。
「・・・・ほっ・・と、ぃ・・・・・・」
奈義の物とは思えない程にしわがれた声で何か言おうとする奈義の口元に耳を寄せ、仁は奈義の言葉を聞き取ろうとした。
奈義の背中に回した手に思わず力が篭る。
「奈義、何て?」
聞き返した仁に返って来た言葉はたった一言。
「ほっ・・とい、て・・・」
それだけだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・to be continuied
えっと、更新サボりっ放しの癖に、久々の更新がこんなんでごめんなさい
ちょっと気分が乗らなくてイチャコラナギラジについてはまた改めて書こうと思いますが、何だかALMAZのもどきを書きたくなっちゃって^^;、まぁ、私の事ですから、ALMAZって言ってもJNがメインになるのは目に見えてるんですけどね![]()
これはあくまでも2.0のその後を勝手に妄想劇場しちゃったモノなので、実際のALMAZとは何の関係もございません![]()
只次へと繋げるならこんな風だったらイイなと思って書いてるに過ぎません。
青春ラブストーリーなALMAZが見たかったと、未だに夢は諦め切れておりませんので(笑)、せめてお話を勝手にでっちあげちゃおうと言う目論見の元書き始めちゃいました
でも、わたくし散々言っておりますが、SSじゃなく、あくまでも「もどき」しか書けないど素人でございます。
しかも物語風に書いた事って多分今までに無かった試みなので、「この先どうしよう
」な感じなんでございますが^^;、取敢えず、敏腕マネージャー翼を登場させるまでは頑張ってみようかと(笑)
と言う事で、しょうもないお話に最後までお付合い頂いた方がいらっしゃいましたらありがとうございました。
また、更新の無い日にもここへ足を運んで下さった方々にも心より感謝申し上げます。
ありがとうございましたm(__)m