私の男 | Secret Passage

Secret Passage

毎日の暮らしの中に、私だけの
Secret Passage-秘密の抜け道-を探して・・・

桜庭一樹の『私の男』
父と娘の歪んだ愛のものがたり。

嫌悪感を抱かずには読めない、
性描写と粘っこい感情表現。
男女の、社会的な通念を越えた愛を描きたいなら、
読者に嫌悪感を抱かせてるのは
ある意味作家の勝ちだと思う。
厭だと思っても、読み進めてしまえる中毒性。
自分のなかにかすかにある歪んだ熱情が
ことり、と音をたてて呼び覚まされている気がしてしまう。

今の自分からは遠く離れた物語なのに。
花を思うと込み上げる言い様のない切なさ。
どうしようにも離れられない"私の男"には
出会うことがないであろう自分の運命と、
花が願わずも出会い過ごしてしまった、"私の男"。

自分のなかの得体の知れない情熱や嫉妬を自覚したときに
読みたい小説です。

ところで、わたしには人を納得させられる
長所がひとつ。
それは、物持ちがいいこと。
子供のころはもらったおもちゃや遊んでいたものを
あっという間に壊してしまっていて。
その度にパパに怒られ、呆れられ。
ついでに、片付けもできなかったので、
一度おもちゃを全部捨てられたことがある。
(玄関の外に出された、というのが正確だけど)

それから、しばらくすると
人からもらったものも
お年玉やおこづかいで買ったものも
すごく大切に使えるようになった。
無くさないし、壊さない。
気に入っていてもし壊れてしまっても
自分でいいように器用に直してまた使う。

わたしは恵まれた子どもだったから
その分あっという間にものも増えていって
今でもいわゆる"断捨離"が得意ではないけど。
それでも、とにかく物持ちがいい。

今使っているブックカバーも
11歳の時にパパが
「たくさん本を読みなさい」と言って
自分も使っていたものをくれた。
それから使わない時期も随分あったけど
かれこれ10年以上はわたしの持ち物だ。

高3の冬に買った、Afternoon Teaの、
赤い水玉のペンケースも
大学を卒業するまで使い続けたから
かれこれ5年は持っていた。
社会人になるときに、赤はさすがに、と思って買い替えたけど、
使おうと思えば今でも使える。

バッグの中身が特別少ないわけでも
丁寧に丁寧に使っているわけでもないと思う。
高価なものでもないし、
普通に使っていると自然と一緒に月日が流れてる、
そんな感じ。
でも、壊れたときや買い換えないといけないと分かったときは
ものすごくがっかりする。
きっと、無意識に気に入って愛着が湧いてるんだろう。
失くして初めて、本当に大切だったことに気付くんだ。

初めてそれを手にして使い始めたときのことを
自分でもびっくりするほどに覚えていることがある。
ぎこちないただの新品だったものが
わたしに使われ、バッグのなかであちこち転がされ、
時に落とされ、乱暴に使われ。
そうして、わたしの手にすっぽりと形が合うようになって
ふしぎとわたしに似合ってくれている。

今日は、雪との予報で出掛ける予定もキャンセルして
家でのんびり過ごします。






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