3月に入り

すっかり春の陽気溢れる日々が続いていますね。


無事に先日

約1ヶ月に及ぶ入院生活が終わり

自宅療養とはなりますが

我が家に帰って来る事が出来ました。


今回は

退院当日のことについて

書いていこうと思います。


入院中

朝と夜

毎日担当の看護師さんが

挨拶に来てくれるのですが


退院前日の夜

担当の看護師さんに


いよいよ明日退院ですね!

何か聞いときたい事とか

不安な事とかあったらなんでも聞いて下さいねと

優しく笑顔で言って頂き


最後の担当の看護師さんが

この方で良かったなと思いながら

色々と質問させて頂きました。


なんせ初めての入院だったもんだから

退院の仕方なんてそりゃ未知の世界だったし


家族にも言ってないし

友人が迎えに来てくれると言ってたけど

不安でしょうがなかったので…


質問したのは

「退院手続きの方法」

「何時から手続きができるのか」

「何時までにこの場所から出ていったらいいのか」

「友人はどこまで迎えに来てくれていいのか」

「薬の副反応が出たらどうしたらいいのか」

「市販の薬(痛み止めや花粉症の薬)は飲んでいいのか」

「入院費がいくらくらいなのか」

「分割は出来るのかどうか」

などなど


一つ一つの質問に丁寧に

わからないものは時間をおいて

調べて来てくださったりしながら

教えてくださり

頭の中では

お世話になった皆さんに

極力迷惑をかけないように

速やかに出ていこうと思っていました。


退院と言っても

完治してるわけじゃないから

呼吸も全然乱れるし

体力も思っている以上に落ちてるからと

言われていたので…


最後の夜のうちに

片付けられるものは片付けとこうと思って

少しずつ

且つ最小限の袋の数になるように

衣類を小さく畳み直したりしながら


退院日に着る服と

洗面用具を残して

ほぼほぼまとめておきました。


なんせ

6時起床

7時くらいまでに

検温と血圧、酸素濃度の測定

8時から朝食

8時半から退院受付開始っていう感じだったので


前の僕なら

多分当日に朝起きて準備すりゃいいと思ってたと思うけど…


当日片付けるには

普通の体ならまだしも

今の体には純粋にキツイなと汗


朝から慌てたくもなかったし

体に負担もかけたくなかったから

そのためには前もって動こう


ただそれだけの事で

心にも体にも余裕が生まれる


昔の僕は自分の時間を

とにかく無駄にしたくないタイプの人間だったから


これも随分と変わったもんだなと

自分で思いながら片付けてましたね…笑


即日入院だったし

2月だったので

今着るには暑すぎるだろうって服しかなかったし

生活用品なんて何一つなかったのに

友人たちが色々入院生活に必要だろって

用意してくれた差し入れの数々のおかげで

カバン一つで来たはずだったのに

すごい量の荷物になって退院することになりました。


下着やスウェット

洗面用具にお風呂セット

スキンケアやヘアケアとか

おまけに加湿器まで…笑


その他にも

ティッシュや除菌シート

ゼリーやふりかけ類や本や

お菓子などなど


家からもってきてくれた物もあれば

新品で買って来てくれた物もあって


これ全部に助けられて来たなって…


当たり前のように

ティッシュとかって使うけど

無いと結構困るって事

少し潔癖症なとこがある僕は

発熱してた時期とか

シーツとかも週に1回しか替えられないのもキツくて

ファブリーズしたり

枕には毎日タオルを替えて敷いたりしてて


入院患者なんだから

贅沢言うなとか言われそうだけど

入院したからって

自分は自分であって

病でやつれたようにはなりたくなかったし

髭面にだって

肌荒れし放題だって

そんな姿で死にたくないし

自分の感情も殺して1ヶ月の入院とか

耐えられる気がしなかったから


少しずつ

必要なものを集めて

友人に持って来てもらいつつって感じでしたね…


最終的には

コストコのカバン一つと

ユニクロの大きな紙袋一つと

入院時に着ていた

1番かさばる服を着て

唯一持って来た自分のカバンにまとめて


当日の朝を迎えました。


起床時間の6時より少し早めに目が覚めて

耳栓を外し

天井をボーッと見つめながら

「いよいよ今日退院か…」って思いつつ

ちゃんと手続きとか出来るかな?とか

お金のこととか大丈夫かなとか思いながら


ここでも

早めに動こうと思い

6時になってすぐ

歯を磨き

髭を剃り

顔を洗い

最後の検温等の前には着替えて

いつでも出れるようにベットも整え

後は最後の時間を待つだけに…


検温にきた看護師さんに

「あら、もう着替えてるの?!」って驚かれたけど

早めに動かないと息上っちゃうんで…って言ったら

「確かに!」って笑


「朝食もうすぐ来ますからねー」って言われ

これが最後の朝食か!って窓の外を見ながら

何故か感慨深く感じてましたね…


たった1ヶ月

されど1ヶ月

知り合いには

誰とも会えず

電話もできず

ただ横になるしかなかったベット

いつも同じ景色の窓の外

自分が動きやすいように配置した机や椅子


全てに感謝しながら

最後の朝食を済ませ


8:30

退院受付へ向かいました。


まずはナースステーションで

スタンプラリーのような退院用紙を頂き

それを1階ロビーの入退院窓口に持って行く


エレベーターには既に同じ用紙を持っている方々がいらっしゃって

みんな考えることは一緒なんだなと笑


僕は早く歩けないから

スタスタスタと患者の保護者さん的な女性に抜かされましたが

もうそんなのどうでも良かった


入院中

ここから先は入院患者通行禁止エリアとされていた通路が

目前と迫って来た時


「やっとこの先に行けるんだ」って

目頭が熱くなり

マスクをしていて呼吸がしづらく

久々に歩いて心拍が上がってるのもあってか

涙が止まらなくなってしまって


すれ違う人たちに

不思議そうな顔をされながら


落ち着け

落ち着けと自分に言い聞かせてても


その通路に入った瞬間

病院の入り口の開閉するたびに入ってくる外気が

ちゃんと肌寒く


ずっと温度管理されていて

外の気温なんて数字では見ていても

感じる事ができなかったから


その外気を感じてまた涙腺が緩んでしまって

本当に退院できるんだって

外に出れるんだって

ここで初めて実感した気がしています。


なんとか涙を引っ込めて

入退院窓口に行くと

さっき僕をスタスタ抜いて行った女性がいて

そんなに急がなくても

変わらなかったやんwってちょっと思ってしまいました笑


そして

結構すぐ順番が来て

窓口の人に紙を見せたら

朝イチなのになんだか機嫌悪そうで

こっちも声が普通には出せないから

ゆっくり話してたのもあってイライラさせてしまったのかなと

申し訳なく感じながら…


前日にカウンセラーさんが退院時の支払いのこととか

相談に乗ってくれていて

その時に教わったことを伝えたら

担当の方が変わって出てくるからと言われていたので

伝えることを伝えて

番号札を渡され待つこと10分くらい


思っていたよりも早く

担当の方と別の椅子があるエリアに案内され

座りながらゆっくり話をさせて頂けることに…


まぁ病気が病気のため

守秘義務的なこともあるのでしょう…


個人のことをしっかり守ってくださって有り難いのですが

なんか申し訳なくも感じつつ

立っているのもしんどかったので

座りながら手続きさせていただけるのは

本当に助かりました。


今回僕の入院にかかった費用は

ざっくり言うと約40万円ほどで

突然の入院でこんなの払えるわけがない

高額医療費となってしまいました。


多分入院中に障害者手帳が発行されれば

値段はだいぶ変わったと思うけど

確定申告等をしていなかった僕が悪いのですが

値段を聞いた時はどうしようかと…


ただ、そんなことはカウンセラーの方はお見通しで

現在の収入や預貯金なども素直に話

高額医療費でも所得によっては減額される

厳密に言えば後々返ってくる制度があると教えてくださり


今後HIVや肝炎の治療をしていくのにもお金はかかる

けど無理をして生活できなくなる方が問題

だからどうしたら1番負担なく

支払いをしていけるのか

親身すぎるほど丁寧に説明をしてくださりました。


そして9年前に出会い

今こうして治療に向き合おうとしている僕を見て

「これも何かの縁だと思うんです」

「だから生活のこととか仕事のこととかも」

「今後不安なことがこれだけ入院してたから出てくると思います」

「どんなことでも大丈夫です」

「一緒に乗り越えていきましょう」って


この言葉に

この世の中に善人なんていないと思っていた自分を殺してやりたいと

心の底から思いました


人の優しさを知らなすぎたのかもしれない


いや

気づかないまま生きて来てしまっただけかもしれないけど


こんな僕に

こんな社会人としても人としても

終わってると思ってた僕に


また生きて会えたことを縁だと言ってくれる人がいて

これからの未来をしっかり生きていけるように

サポートすると言ってくれる人がいるなんて

想像もしてなかった…


人は

1人で生まれて

1人で死んでいく


自分の生まれた意味や

生きてた証を残したいと思っていた時期もあったけど


そんなもの

一個人にあるわけないともここ最近は思ってた


だけど

僕はこの人たちにそんな荒んだ気持ちを

素敵な想いと言葉と表情で

忘れていた純粋な気持ちを思い出させて頂いた


小さい頃なりたかった物

やりたかった事

楽しかった事

嬉しかった事

そんな事たちを素直に受け止め

笑っていた頃の自分が考えていた事


全部忘れてたというか

心の奥深くに閉まって

鍵を締めていたつもりはなかったけど

錆びて開かなくなっていたのかもしれない感情を

蘇らせてくれた


その制度を使うために

手配をするから

家に帰ったら役所から届く色々に対応すること

入院費用は無理のない金額で分割できるように話をしとくから

当日担当者に毎月いくらなら支払えるのか金額を伝えてという事

通院のたびに近況を伝えに来てくださいと言うことなど


手厚いサポートをして下さったおかげで

当日の受付もスムーズに

毎月1万円以下の支払いで大丈夫ですよと言うことに…


お金のこと

不安になる方も多いと思います。


僕もすっごく不安でした。


病院はなんでもすぐに病名をつけて

お金を搾取する場所だとも思っていたけど


そんなこと言ってた自分の方がバカで

どうしようもないクズだったことに

今じゃ恥ずかしくて仕方ないです。


少なくとも

僕がお世話になった病院の先生方は

みんな男性だったのに優しく

何度も会いに来てくれたし

カウンセラーの方も男性なのに

本当に何度も心を救われました。


HIVであること

ゲイであること

9年間放置してたこと

そのまま人生が終わればいいと思っていたこと

全て知っていたはずなのに


気持ち悪いとか

優しくして惚れられたらどうしようとか

放置してたんだから自業自得だろうとか

そんなの一ミリも感じさせないくらい

いつも真剣に話を聞いてくださり


この病と

向き合おうと思った理由や

入院後に初めて口にした「恐かった」と言う言葉を

伝えられたのは

全てこの方々のおかげです。


看護師の方々は

ただの肺炎患者として接して下さっていたし

人それぞれ対応は違かったけど

人の命に寄り添う

素晴らしい方々だったと思います。


こんなに簡単でいいの?ってくらい

あっという間に退院手続きが終わり

「もう大丈夫ですよ」

「お大事になさって下さい」と言う初めて会った担当者さんに

深くお辞儀をすることしか出来なかった。


その後

書類をナースステーションに渡して

病室で最後の確認

忘れ物がないか

貴重品の確認

薬の処方の説明

次回の来院の確認

その他

気になる事とか色々確認をして

ロビーまで

重い荷物を一緒に持って見送ってくださいました。


そして

久しぶりの友人との再会


普段絶対泣かない人の前で

言葉を発しただけで泣きそうになる…


そんな弱りきった僕を見て

友人が生きてて良かったと伝えてくれました。


その後

家まで荷物もあるからと送ってくれて

なんとか家に到着。


約1ヶ月留守にした家は

また別の友人が定期的に荷物を取りに行くついでに

換気や腐りそうなものやゴミを捨てといてくれたおかげで

軽く掃除をすれば大丈夫な感じでした。


入院中ずっとそれぞれのやり方で支えてくれた

2人の友人にこの場を借りて改めて

「本当にありがとう」と伝えたいです。


っと言うわけで

なんとか無事に退院は出来ましたが

この後またまた色々ありました。。。


それはまた次回

ゆっくり書いていきたいなと思います。


毎回長くなってしまうから

大丈夫かなと思いながらも

伝えたいこと

残したいことが多すぎて

すみません汗


でも

このブログを通して

初めて知ることや感じること

共感してもらえることや

自分や周りの人をもっと大切にしようと

思ってもらえるきっかけになれていたら

大変嬉しいです。


それでは

また。


イマサラ