ノンフィクション作品を読み漁る | セコンドアウト!

ノンフィクション作品を読み漁る

 職業柄、なるべく本を読むようにしているのだが、私が読むのは基本的にノンフィクションものが多い。ノンフィクションっていうのは、その名の通りフィクション(架空の物事)ではなく、基本的に現実世界で実際に起こったことが書かれているわけだ。
 非常に優れたフィクションならば、読んでいてその作品の世界観にずっぽりハマってしまうこともあるが、ノンフィクションだとほとんどが随所に現実の世界で起こった出来事ならではのリアルさを感じることが出来るので、結構容易に作品の世界観に入り込むことが出来る。

 映像のノンフィクションは画で見せてしまうというインパクトの強さや説得力があるが、活字のノンフィクションの場合、基本的には画で見せることが出来ない分、著者も出来るだけ読者にも自分で実際に見聞きしたものを伝えようとしている。
 活字だけで人に物事をリアルに伝えるのは非常に難しい作業だが、出版化されるノンフィクション作品はほとんどが優秀な読み物として仕上がっているので、読んでいれば大体自分の頭の中で、ドキュメンタリー番組のような画を描くことが出来る。

 今回読んだ作品は下記の2作品。

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)/著者不明

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逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録/市橋 達也

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 英会話講師殺人事件の犯人である市橋達也被告が書いた『逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録』のほうは、市橋被告本人が書いたものなので、完成度の高い読み物ではない(編集者が編集作業をしているから、キチンと読みやすく仕上げているが)。ただ、犯行現場が私がよく知っている場所だったため、妙に身近なところで起きた凶悪事件というリアルさはあった。

 一方の『凶悪―ある死刑囚の告発』は殺人罪などで死刑判決が確定した元暴力団組長が、上申書でさらなる殺人を告白したことで話題になった通称上申書殺人事件について書かれたノンフィクションなのだが、この元暴力団組長が表沙汰になっていなかった殺人を告白することになった際、相談したのが『新潮45』の編集者さんだったため、元組長の告白から隠されていた殺人が明るみになったことで、新たなる犯人が逮捕されるまでの様子が非常に細かく、かつ分かりやすく記されている。
 これが元組長本人が書いた本だったら、ここまで読み応えのある本にはならなかった。たまたま編集者が元組長に相談されたことで、直接この事件に関わり、緻密な取材を重ねた結果、衝撃的なノンフィクション作品に仕上がったのだ。しかもこの文庫版の巻末には“最終章”が書き下ろしされていて、そこではキチンと事件の結末までが記されいる(最初に単行本が出版された時点では、事件が明るみになったことで新たな逮捕者が出た時点までしか書かれておらず、実名が伏せられている)。

 この元組長が告白していなければ、いくつかの殺人事件が公になることがなかったという、とても現実の世界で起きたこととは思えないような話だが、そういう話を報道する以上、しっかり裏取りをした著者の苦労と努力がしっかり記されている。
 途中、かなりエグい描写もあるが、それもまた現実の世界で起きたことであり、決して自分とは関係ない世界で起きたことではない。もしかしたら壁一枚向こうではそういうことが起きているのかもしれない。いや、もしかしたら自分がそういう事件に巻き込まれてしまう可能性だってある。世の中、一寸先はハプニングなのだ。

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