天下分け目の大一番

先日のIGF11・3JCBホールは大会前から注目度が高かったのは分かったのだが、今度の日曜日(8日)に行われる新日本プロレスの両国大会の注目度はどうなのだろうか?
出てるメンツを見ると、新日本オールスターズはもちろん、ミスティコ、チーム3D、TAJIRI、田中将斗とゲストも超豪華! 真壁vs飯塚のチェーンデスマッチだって、菅林社長の愛車をぶっ壊してまで話題作りをしたのだから、なかなか楽しみだ。
そして一番はメインのIWGPヘビー級選手権、中邑真輔vs.棚橋弘至の一戦だ。まぁベルトが懸かろうが懸からまいが、中邑vs.棚橋が新日本が誇る黄金カードなのは間違いないが、新鮮味という点ではもうないに等しい。
これまでも何度か大事なシチュエーションで両者は対戦しているし、今年もG1クライマックスの中で両者の対戦は実現していて、そこで棚橋はケガをしている。
普通に見ればケガをしたことで棚橋がベルトを返上し、そのベルトを獲ったのがケガをさせた張本人の中邑。で、ケガが治った棚橋ととしてはケガのリベンジと共に、預けたベルトを返してもらうという、それなりにしっかりとした“戦う理由”のある一戦だ。
ぶっちゃけそれくらいの理由はありふれていて、これまた新鮮味がないのだが、今回の中邑vs.棚橋はそれだけじゃない。
中邑も棚橋も新日本が近年プッシュしてきたエース候補だというのは、いまなら説明するまでもないこと。だからこそ2人はライバルとして“名勝負数え唄”を作り上げることを期待されていた。
ところが、プロレスとは難しいもので、なぜかそういう思惑通りにいかない部分が多々あり、中邑も棚橋もなかなかファンにエースとして受け入れられなかった。
不思議なもので2年くらい前までは大ブーイングを浴びていた、棚橋の“チャラい路線”が根気強くやってきたせいか、昨年あたりからようやく多くの新日本ファンに受け入れられるようになった。
これで恐らく焦ったのが中邑だ。格闘技との二足のわらじ、肉体改造、ヒール転向と中邑なりに棚橋とは違う路線を模索してきたが、どれもイマイチ。そこに来てよもや新日本ファンには受け入れられないと思われていた棚橋の路線が、受け入れられつつあるのだから焦っても不思議じゃない。
そして飛び出したのが、「猪木! 旧IWGP王座は俺が取り返す!」発言である。猪木を避けてきた新日本の中で、敢えて猪木の名前を出し、声高にストロングスタイルを掲げるというのは、本来一番新日本ファンに支持されそうな気がする。
ところが、結局のところ中邑が何をやりたいのかはよく分からなかったのと、猪木ではなくIGFが過剰に反応してしまったこともあって、結果的にIGFのJCBホール大会のチケットが売れただけで、この一連の騒動は終結してしまった。
新日本側には何の旨味もないし、IGFからの挑発にもほぼ無視を決め込んだところを見ると、恐らく中邑のフライングだったのだろう。
そこで8日の両国大会である。棚橋は病み上がり。セオリー通りならここは絶好調の中邑の防衛で堅いはずだが、会社に無断でフライングをした中邑に“ペナルティ”が課せられる可能性だって十分にある。そういう意味で結末が読みにくい一戦である。
それに1日深夜に放送された『Get Sports』の中で、棚橋が「棚橋ワールドの中ではアイツの居場所がないし、中邑ワールドの中では俺の居場所はない」みたいなことを言っていたが、8日の試合はまさにそうなる。
ここで中邑が勝てば、棚橋路線で決まりかけていた新日本の路線を中邑が力ずくで自分に振り向かせた証となる。vs.猪木とかvs.IGFはないだろうが、中邑流ストロングスタイル探求が本格的にスタートする。そうなると、棚橋はせっかくチャラい路線が定着しつつあったのに、ケガさせられた上に強引に自分が最も嫌う路線に変えられるという踏んだり蹴ったり状態に。
その逆に棚橋がセオリーを覆して勝利し、再びベルトを巻くようなことになれば、棚橋のハッピーエンドプロレスが完全に新日本に定着した証。永田がインタビューで「いわゆるストロングスタイルの定義から離れたスタイルを貫いて、結果的にファンからある程度の支持を得て、それを確立してしまった。だから、アントニオ猪木に一番ケンカを売っているのは、棚橋かなと思いますよ」と言っていた通り、中邑がフライングしてまで再び掲げた“猪木”と“ストロングスタイル”の2つを棚橋カラーで消し去ることになる。
つまり勝ったほうの路線が今後の新日本が目指す路線であり、負けたほうは新日本内での居場所を失いかねない。プロレス内ストーリーにとどまらない、これだけ重大なテーマが懸かった中邑vs.棚橋戦はかつてなかったのではないか。十分注目していい一戦だ。
棚橋のハッピーエンドプロレスの顧客満足度は高い。実際、棚橋がエースに定着してから観客動員はいい感じで安定しているように思える。その一方で、ライオンマークにはやはり猪木とストロングスタイルを掲げてほしいと思っているファンも少なくないだろう。
さぁ、天下分け目の大一番は次の日曜、8日両国国技館でゴングが鳴る! もちろん、試合詳報やります!