娘が進学のために家を出るまで残り僅かとなった
最近風邪をひき、寝ていることが多かった
普段やってくれているお手伝いもお休みがち
まあ、残り少ない親元での生活
のんびりさせよう
4月からは嫌でも自分で身の回りのことをしなければならないし、甘えさせてあげようと思った
しかし、夫は違った
実家でご飯を食べた帰り道
突然吠えた
「あんた、一日中ゴロゴロして何してるわけ!?そんなんだったらバイトにでも行ってちょっとでも金稼いできてくれたらよかったのに‼︎」
「家のこともしないで、本当に4月から一人暮らし大丈夫なの?少しは台所に立って料理でもすればいいのに。惣菜なんか買うなよ?そんな金はないからな!」
「元々国立の大学行かせるつもりだったのに、私立ばっかり受けて。話が違うじゃないか‼︎金ばっかりかかることしやがって」
娘は惣菜嫌いで外食嫌いだ
そして娘は簡単な卵焼きやウィンナー、味噌汁は作れる
国立大を諦めて私立大に変更したのは夫の承諾済みだ
何を今更言い出すんだ
わたしはしばらく黙って聞いていた
言い返せば、事態は悪くなるだろう
助手席に座っていた娘は黙って聞いていた
視線はまっすぐ前を向いて
その目は全てを諦めているようだった
同じ話を何度も聞かされ、わたしもイライラしてきた
「あーうるさいな‼︎同じこと何度も言って」
「一度言えばわかるのに、あんた狂ってんの?」
つい口から出た
「18年暮らしてきて娘が惣菜や外食が嫌いこと、自分知らんの?
娘1人が食べる量なんてたかが知れてるのに食費節約しろとかマジで言ってんの?好きなものばかり食べないでバランスよく美味しいものお腹いっぱい食べなさい、体壊さないようにねって言うのが親でしょ。それに娘は簡単な卵焼いたりウィンナー焼いたりできるし。あんたの言う料理って何のこと言ってんの?肉じゃがとか?あんた、自分が専門学校入った時、それできたんか?思い出してみてよ。自分はできんかったくせに」
言い出したら止まらなかった
「いやー、俺は好き嫌いばかりして栄養が偏ったら‥」
モゴモゴ話している
痛いところを突かれた証拠だ
「さっき節約って言ったよね!?違うでしょ」
論点を晒そうとしていたが逃さなかった
目をひん剥いて怒鳴り散らしてきた
「金出してやるのに好き勝手使われるのが嫌なんだよ‼︎」
これが本音だ、とうとう本音が出た
父親という仮面を被った金に目が眩んだ悪い大人
「親なんだからお金出して食べさせるの当たり前でしょ、何言ってんの。あんた父親じゃないの?」
「国立大に行こうが、私立大に行こうが生活費は同じようにかかるし今更それ言ってどーなるのよ」
「親元での暮らすのも残りわずかなんだから、穏やかに過ごさせてあげてよ、これ以上言わないで黙って頂戴」
その夜、娘が言った
「なぜなの?お母さん。他の家は普通にさせてもらえることがわたしにはさせてもらえない。わたしがやること全てがお父さんには目障りみたい。頑張っても頑張っても認めてもらえなかった、わたしは周りの友達に比べたら成績も良くて悪さもしたことがない、心配もかけずにきたつもりなのに‥ま、もうどうでもいいけどね。あんなやつ」
娘は優等生だ
周りからいつも褒められる自慢の娘だ
優しいしみんなに愛されている
約1名除いて。
18年間、彼は娘の何を見てきたのだろうか
何も見えてなかったようだ
