高齢の男性がカウンセリングルームの扉を開けて入ってきた。

 

硬い話し方と固い表情。 感情の筋道はなかなか読み取れなかった。

 

 

彼は言った。

 

私の妻と子供たちは 私をお金を稼ぐ機械としてしか考えてこなかった。

 

声は断固としており、視線は遠かった。

 知識と論理で自分を守る方だった。

 

彼は自分を『もう学ぶことのない人』と表現し、 カウンセラーにも感情を表さなかった。

 

私は彼に今必要なのがもっと多くの知識ではないということが分かった。 

 

人生というものは、本のように整理されないものだから。

 

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 彼が求める論理的な正解の代わりに、日常の軽い会話から始めた。

 

「今朝はどんな食事をされましたか?」 

 

「最近一番好きな歌は何ですか?」

 

最初彼はそのような質問をつまらなく取るに足らないものと思ったが、 

やがてその質問が心を叩き始めた。

 

彼は自分が日常について話したことがないという事実を 遅まきながら気づいた。

 

彼は退職後になってやっと 自分が長い間錯覚の中にいたということを知った。

 

表面的には多くの人と付き合って生きてきたが 実は誰とも深い対話を交わしたことがなかった。

 

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幼い頃の父は厳しく学問を重視し、 彼が千字文を早く覚えたり 漢詩を上手に作ったりすることを誇らしく思っていた。

 

そのように褒められる方式に慣らされ 知識で存在を証明するうちに

 

誰かと『心を分かち合う』ということ自体が 馴染みのないものになっていた。

 

 

彼は深い親密さが何かを知らずに生きてきて、 家族との関係でも 常に誰が正しく誰がより論理的かを問う対話が続いていた。

 

しかし相談を通じてごく些細な対話を交わし始めると、 彼は初めて『別の方式』のコミュニケーションを経験した。

 

正解を言わなくてもよく、 よく見せようと努力しなくてもよい対話。

 

 

私たちは誰でも、 誰かの温もりに寄りかかりたい時が来る。

 

時には言葉なく隣にいてくれる存在一つだけでも 孤独は少しずつ退き始める。

 

今、彼がそのように… 少しずつ、一人ではない道へ歩み出している。

 

 

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"このブログの記事は、クライエント保護のためのカウンセリング倫理に従い、複数のカウンセリング経験を総合し脚色して構成した教育用資料です。"

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