新型インフルエンザの感染が道内でも学校を中心に急激に拡大し始めた。道などのまとめでは25日、新たに14校で集団感染を確認、同日までに札幌大通高、札幌・百合が原小、同苗穂小など計39校が休校や学級・学年閉鎖となった。感染児童・生徒は疑いも含めて263人に上り、各学校は拡大防止に追われている。
休校などとなった学校では、新学期の自由研究発表会やスポーツ大会などの延期や中止が続出。感染者が出ていない学校でも予防指導を進めている。
児童25人の感染が21日に確認され、1週間休校とした札幌市立東札幌小は26、27日の宿泊学習や、31日と9月1日の授業参観を延期。佐藤辰也教頭は、感染拡大を防ぐため「(保護者や児童に)外出を控えるようお願いした」と話す。
3人の感染で24日から5日間休校する網走管内遠軽町の南中は、2年生の職場訪問などを延期。同校は「休校中の授業を、どこで確保するか」と頭を抱える。
休校した各校は授業再開時、教室などに消毒液を常備する予定。感染者がいない札幌市豊平区のあやめ野小も「こまめに手洗いやうがいを行うよう指導している」(渡辺聡教頭)と言う。 新型インフルエンザ:厚労省、ワクチン接種案公表 1歳未満の親も優先 厚生労働省は4日、新型インフルエンザワクチン接種の実施案を公表した。医療従事者や基礎疾患のある人など約1900万人が優先接種対象で、その他の対象者として小中高校生や高齢者約3500万人を挙げた。10月下旬に出荷が始まる国産ワクチンは原則として優先接種に使い、その他の対象者には12月下旬以降に使用可能になる輸入品を接種する。6日から1週間、厚労省のホームページなどで意見を募り、9月中に正式決定する。
厚労省はワクチン接種の目的を「死亡や重症化を減らすこと」と定義。必要な医療を確保するため、インフルエンザの診療に携わる医療従事者を最優先にした。次いでリスクの高さから、妊婦と基礎疾患のある人を2番目に、1歳から就学前の小児と、1歳未満の小児の両親を3番目に位置づけた。また、小学校低学年(10歳未満)も、可能なら優先接種対象にするとした。
1歳未満の小児は、ワクチンで免疫を付けるのが難しいため、両親に接種して感染を防ぐ。「基礎疾患のある人」の詳細な定義は、今後詰めるとしている。 優先ではないものの接種対象とされた小中高校生と65歳以上に使う輸入ワクチンについては、国産にはない補助剤が入っており、国内臨床試験などで安全性を確認し、問題があれば使用中止もあり得るとした。
国産ワクチンの生産量は、2月末までに2200万~3000万人分とされる。全量を優先接種に使い、余った場合は基礎疾患がない小学生らに割り当てることも検討する。ただし、生産効率が下がった場合は1800万人分にとどまる可能性もあるといい、その場合は優先接種にも輸入ワクチンを使用する。
接種場所や費用負担などは今回の案で触れておらず、厚労省は8日に開く自治体への説明会で大枠を示す予定だ。【清水健二】