今日は、事業承継のご相談に行ってきました。
あまり細かいことは書けないのですが、「これはよくあるし、しかも一番こじれやすいパターンだな…」という実例だったので、ぼかしつつ共有します。
親御さんは70代。
お子さんは40代の男兄弟、長男と次男。
もともとは、
「長男が会社を継ぐ」
という前提で動いていました。
実際に、
株式や会社に関わることも、ある程度は長男側に寄せて進めていたそうです。
ところが…。
実際に経営に関わってみると、
どうも思うようにいかない。
そんな中で次男さんが会社に入ってきて、日々の業務を切り盛りしていくと──
これがもう、メキメキと頭角を現す。
社内からも
「経営は次男のほうが向いている」
という声が自然と集まり、最終的には満場一致で
次男が経営を担う
という流れになったそうです。
……まぁ、長男さんの気持ちを考えると、
そこは相当つらかったと思います。
「自分は経営に向いていない」
そんな烙印を押されたように感じたでしょうしね。
で、
ここからが本当の問題でした。
その会社、営業所がいくつかあるそうなんですが、
その営業所の土地・建物をすべて兄(長男)名義にしたんです。
会社は、その土地・建物を
「借りて使う」
という形。
つまり、
・兄 → 土地・建物のオーナー
・会社 → 家賃を支払う立場
兄は経営からは一線を引いたものの、
大家として家賃収入が入る。
親御さんとしては、
「これで兄弟平等に分けた」
と思っていたようです。
……が。
ここ、めちゃくちゃ危ないところです。
兄は、
「経営者として選ばれなかった」
という気持ちをどこかに抱えている。
そして、
経営にとって極めて重要な資産(不動産)を握っている。
兄弟の感情がこじれ始めると、
・家賃を上げると言い出す
・条件について細かい文句を言う
・弟が移転しようとするとそれを阻止しようとする
などなど…。
会社の経営判断に、
感情がガッツリ入り込む状態になってしまったそうです。
結果、
兄弟関係はどんどんギクシャク。
経営のスピードも、自由度も奪われていく。
これ、中小企業では本当によく見かけます。
・土地は個人持ち
・建物は別の家族名義
・経営者は借りて事業をしている
貸している側は、
家賃収入だけでも生活できる。
でも借りている経営者側は、
・移転したい
・もっと攻めた展開をしたい
と思っても、
どうしても「身内」に遠慮してしまう。
私はやっぱり思うんです。
経営に必要な資源は、できるだけ分散させない方がいい。
株も、不動産も、意思決定権も。
感情が入り込む余地を、最初から作らない。
「平等に分けたつもり」が、
あとから一番大きな火種になることもあります。
皆さんは、どう思われますか?
事業承継って、
税金の話だけじゃなくて、
“人の感情”をどこまで読み切れるかが、本当に難しいですね。