ラヴ・アンド・マーシー | Get Up And Go !

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音楽を中心に、映画、文芸、スポーツ など・・・。

より高く! より深く! けれど優雅に・・・ 冗談も好きなんですけどね (*゚.゚)ゞ








ブライアン・ウィルソン
BRIAN WILSON
『 ラヴ・アンド・マーシー / Love And Mercy 』


音譜
安っぽい映画を、
頬杖をついて座って見ていた
そこで起こる暴力に
僕等はとても勝てそうもないように思える

今夜 必要なのは愛と慈悲
君と君の友達に必要なのは愛と慈悲

部屋に寝転がっていると
テレビからニュースが流れてきた
そこではたくさんの人たちが傷ついていて
それが僕をとても怯えさせる

今夜 必要なのは愛と慈悲
君と君の友達に必要なのは愛と慈悲

I was sittin' in a crummy movie
With my hands on my chin
All the violence that occurs
Seems like we never win

Love and mercy, that's what you need tonight
So love and mercy to you and your friends tonight

I was lying in my room
And the news came on TV
A lotta people out there hurtin'
And it really scares me

Love and mercy, that's what you need tonight
Love and mercy to you and your friends tonight

ラブラブ

ブライアン・ウィルソンが、ソロとしては2005年以来となる来日公演を来月 4月に行います (僕自身は12日の東京公演に行く予定)。 今回はその前夜祭といった趣きで、ソロ時代の代表曲のひとつである 「ラヴ・アンド・マーシー」 について、記事にしてみました。

多くのヒット曲を持つビーチ・ボーイズの曲自体は、70年代から知っていますが、ブライアン・ウィルソンとの本当の意味での出会いというのは、個人的にはこの曲でした。 1988年にリリースされた、ブライアンにとって初のソロ・アルバムである 『BRIAN WILSON』 の冒頭に収録された曲。 長く精神を病み、過食とアルコール中毒にドラッグの摂取も加わって、世捨て人のように隠遁生活を続けていたブライアン・ウィルソンの、復帰作ともなったアルバムからの曲です。


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ブライアン自身が 「みんなにスピリチュアルな愛を伝えよう。 みんなを愛で包みたかった・・・・ 僕が書いた曲の中では一番スピリチュアルな曲」 と語っているように、あれから現在までのライヴでは、厳かな雰囲気を持ちながらも癒しをもたらす曲として、多くのひとに感動を与えるライブ終盤のハイライトとなっています。

「今夜 必要なのは愛と慈悲 君と君の友達に必要なのは愛と慈悲」 と歌われる詞は、ブライン・ウィルソンの長かった魂の旅を知る者にとっては、とりわけ説得力を持って響いてきます。こういった簡潔でストレートな詞を歌い切るということは、そこにアーチストの生き様も関わってきて、実はもっとも難しいことだと思います。

片耳の聴力をほとんど失うことにもなった、幼い頃からの父親による暴力。 ヒット要求やビートルズ登場による重圧をひとりで受けて破綻へと向かう精神。 悪徳精神科医による治療。 昨年公開された自伝映画 『ラブ & マーシー』 には、ブライアン・ウィルソンの魂の物語が描かれていますが、あの映画のタイトルがもっとも相応しい愛と慈悲の物語です。

ブライアンの音楽の精神性ばかりを語ってしまいましたが、音楽家として天才的であることは、同業者であるアーチストたちからもずっと言われてきたことです。 ほとんど片耳でありながら、繊細で美しいコーラスワークをひとりで作り上げてしまう才能。 親しみやすくも、美しく豊かさを持ったメロディが、ハーモニーの中で広がっていく快感は他では得られないものです。

アルバム 『BRIAN WILSON』 は、「みんなに愛と慈悲を」 と与えようとしながらも、低迷していた自分自身をも救おうという、ブライアン・ウィルソンの強い意志を感じさせる素晴らしいアルバムです。





1999年 7の月 ブライアン・ウィルソン来日公演
「そうか、"恐怖の大王" とはブライアンのことだったのか」 なんて冗談もちらほらとあった、ブライアン・ウィルソンのソロ初の来日公演からもう17年が経ちます。

あの時は前から10番目のかなり良い席だったのです。 細かいことは忘れてしまったのですが、さらに前方の席に萩原健太さんがいて、コンサートが始まる前も終了後も上機嫌だったのを思い出します。気持ちはよくわかります。「ビーチボーイズのこととなると、客観性がなくなる」 なんてこともおっしゃる氏ですが、あの方のそんなところが好きです。 先日の、映画 『レッキング・クルー』 のトークショーでも、ブライアン・ウィルソンの来日公演のチラシを見せて宣伝していました (^-^)

最も印象に残っているのは、ブライアン・ウィルソンの表情でしょうか。 「サーフィン・USA」 「ファン・ファン・ファン」 のような盛り上がる曲でも、ブライアンは無表情でどこか空中を見ながら歌っている感じ。 正直 「大丈夫なのかなぁ。まだ復調していないのかなぁ」 なんて思ったほどですが、みずから手拍子したりもしていたので元気ではあったようです。




前方の席だったので実はブライアンの顔ばかりを見ていたのです。伝説の人を目に焼き付けておこうと。現在は、多くの映像でその表情を見ることができますが、無表情でも実は機嫌が良かったりもする、まさにあの不思議なブライアン・ウィルソンでしたね。

ひとつとても人間的な表情を見れた瞬間がありました。 ステージ中央に据えられた鍵盤の椅子から立ち上がり座ろうとしたときに、座り損ねて(?)そのまま尻もちか、という場面があったのです。 からだをくの字にしたまま両手を広げ、あわてたような困ったような表情で固まっていたのです。脇から誰か出てきて支えたのですが、思わずクスッと笑ってしまうような場面であっても、思うのは 「ブライアン、大丈夫なのかなぁ」 でしたね (・ω・)

ブライアン・ウィルソンへのリスペクトも感じた、バックを務めたワンダーミンツの演奏がとても素晴らしく、また アルバム 『PET SOUNDS』 からの曲も聴けて、大満足の夜であったことを思い出します。

アンコールの最後、ライヴを締めくくったのは 「ラヴ・アンド・マーシー」 でした。





宿命のライバル、ポール・マッカートニーと




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