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第十五問 瑕疵担保責任

一 小問1について

 1 甲は乙に対して、水道設備の修理を請求できるか。<判例不明・法廷責任説>

   甲・乙間の売買契約は、建売住宅を内容とするものであり、当事者がその、目的物の個性に着目して契約を締結していることが明らかであるから、特定物売買といえる。したがって、目的物に隠れたる瑕疵があれば、甲は瑕疵担保責任(570条)を追及できる。

 具体的には、買主は一年以内に、損害賠償の請求、契約目的を達成できない時は、無催告で解除をなしうる。以上につき、売主乙は無過失責任を負う。

   しかし、買主としては、折角手に入れた住居をこれからも使っていきたいであろう。そこで、特定物売買において、瑕疵あるものを給付した場合に、完全履行請求権としての瑕疵修補請求権が認められるか問題になる。

 2 特定物売買では、売主の債務は、「その物」を給付することにつき、たとえ目的物に瑕疵があっても、売主としては「瑕疵あるその物」を給付すれば足りる(483条)。なぜなら、瑕疵の部分については原始的不能であり、不能を目的とする契約は無効だからである。

   したがって、売主としては瑕疵あるものを給付しても、自己の債務を完全に履行したことになり、債務の不履行とはならない。しかし、これでは買主の保護に欠けるし、有償契約である売買の信用性を損なうことになるから、570条は売主に特別の責任を課したとみられる。

   すなわち、その責任は、債務者の意思表示に基づくものではなく、買主保護の見地から、法が特別に定めた法定の責任である。

   したがって、瑕疵担保責任は、法定の特別責任であるから、570条、566条所定の効果しか認められず、瑕疵修補請求権は発生しない。したがって、甲は乙に対して、水道設備を修補してくれと請求できず、自ら適当な業者に修理を依頼するほかない。

   もっとも、法定責任説の立場からも、契約当事者間に、瑕疵修補を認める旨の明示ないし黙示の特約がある場合には、買主は売主の瑕疵修補を請求しうるのは当然である。  

本件においては、かかる事情が存在したか定かではないが、かかる事情が甲乙間にあった場合には、瑕疵修補請求できると解する。

二 小問2について<判例は高裁しかない。法定無過失責任→履行利益の損害賠償否定・

          信頼利益説で>         

1 甲は乙にじゅうたん・家具等の損害につき、賠償請求が出来るか。

   甲に生じた損害は、売買目的物の瑕疵に起因するところの拡大損害である。

   この場合、売主たる乙に故意・過失があれば、当然に不法行為責任を請求しうる。

   それでは、契約責任を追及できないであろうか。これが認められれば、帰責自由について、立証責任、責任追及期間等、不法行為責任より有利である。

    本問においては、甲は乙に対して、瑕疵担保責任を追及しうる。そこで、瑕疵担保責任としての損害賠償の範囲が、どこまで及ぶのかが問題となる。

    担保責任は法定責任であり、瑕疵の部分については契約当時から履行が不可能であったのだから、原始的不能と認められ、これに対応する損害賠償は信頼利益になる。

    しかし、この瑕疵の存在の認識について、売主に過失があった場合にも、なお右の範囲しか賠償が認められないとするのは妥当とはいえない。契約締結上の過失とは異なり、566条の場合は、民法がわざわざ明文をもって規定している趣旨を考えると、少なくとも売主に過失のある場合は、履行利益まで含むと解すべきであろう。

  2 それでは、買主の他の財産に対する損害まで、契約責任として追及することができるであろうか。これは、いわゆる拡大損害の問題である。私は、これを、4162項の特別事情と解し、売主がこれを認識しえた場合についてのみ、賠償の責任に任ずべきであると考える。

    

    したがって、2階の水道設備に瑕疵があるという特別事情についての乙の予見可能性を甲が立証すれば、水漏れ事故により階下の財産が損害を被ることは通常ありうるから、甲は乙にじゅうたん・家具等の損害につき、賠償請求が出来る。

                                      以上

瑕疵担保責任…目的物に隠れたる瑕疵がある場合には、売主は担保責任を負う。この責任は、瑕疵担保責任という。

   →無過失責任。

瑕疵担保責任の要件…①目的物に隠れたる瑕疵があること。

          ②隠れたる瑕疵であること

          ③売買の目的物は特定物に限ること。

法定責任説から→

契約締結時を基準に、原始的不能と後発的不能とを分類し、後発的不能は債権者の帰責事

由の有無によって、415条の債務不履行と、534536の危険負担に分けて処理し、原始的

不能は全部不能と一部不能に区分し、全部不能は契約不成立に関する諸問題(契約締結上

の過失)として処理し、一部不能を瑕疵担保(570条)の問題とする。

関連条文

(売主の瑕疵担保責任)

570条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、566 の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)

566条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。

2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。

3 前2項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。

(特定物の現状による引渡し)

483条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。

(損害賠償の範囲)

416条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。

2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる

Cf請負の瑕疵担保責任と売買の瑕疵担保責任の比較

請負(634条~640条)

売買(570条)

対象

請負の目的物すべて

特定物(法定責任説)

法的性質

債務不履行の特則
無過失責任

法が特に定めた責任(法定責任説)
無過失責任

瑕疵

すべての瑕疵

隠れたる瑕疵

代金減額請求

×

×

瑕疵修補請求

○(634条1項)
但し、
重要でなく、かつ過分の費用がかかるときは、
×(634条1項但書)

×(法定責任説、特定物ドグマ)
但し、黙示の合意が認定できる余地

損害賠償請求

○(634条2項)
履行利益

○(566条1項後段)
信頼利益(法定責任説)

解除

目的不達成のとき、○(635条)
但し、建物ほか土地の工作物のときは、
×(635条但書)

目的不達成のとき、○(566条1項前段)

適用除外

注文者の供した材料・指図に従ったとき
(636条)

除斥期間

引渡時(引渡ないとき完成時)より1年
(637条)
但し、
土地の工作物・地盤の瑕疵は、
引渡時より5年、滅失から1年
特に堅固な工作物は、
引渡時より10年、滅失から1年
さらに、特別法で新築建物の特則10年
(住宅品質確保法)

契約締結上の過失→第二問へ