昨日、駅で
急に名前を呼ばれて振り向くと、
同じ歳くらいの男性が居た。
でも、なんとなく彼の顔には見覚えがあった。
取り敢えず、
『えっ…と?ごめんなさい。どなたでしたっけ?』と聞くと、
「〇〇の時、同じクラスだった!」と言う。
思い出せずに怪しんで居ると、
学校名を言われて、
本当にクラスメイトなんだとわかった。
すると、
「久しぶりだしさ?時間あるなら、ちょっと話さない?」と言うので
『ん~…まぁいいよ?ちょっとだけなら』と答えて、
あまり気乗りはしてないけど
近くのカフェに行く事にした。
正直、思い出せないから
何を話せばいいのか分からなかったけれど、
相手が、学生時代の思い出をひたすら話してくれたので、
変な間があかずに助かった。
でも、そんな自分の事など気にも留めず、
彼は思い出を語りながら、
懐かしそうに笑っていた。
それから、話をたくさんして
彼が2杯目のコーヒーに口を付け、
自分が3本目の煙草に火を付けた時、
不意に、
「なんか、(海月)さんが煙草吸ってるの見るのが不思議だ…」
と言ったので、
『自分としては、君とこうやって話してる方が不思議だよ?』
と、答えた。
「なんで?」と聞くので、
『きっと、君が気付かず、自分に話し掛けて来なかったら、あの頃の事を思い出す事も…無かったと思う。』
と言って、煙草を吸った。
自分は、学生時代の記憶が…ほぼ、無い。
思い出そうとしても、
モヤが掛かった様な感じになる。
彼の話を聞く限り…
学校生活は、楽しかったんだと思う。
友達も、たくさん居たようだし
一途に好きだった人も居たみたいだ。
彼曰く、
「(海月)さんはムードメイカーで、いつも周りを楽しませてた印象がある。」
と、言っていたので
まぁ多分、割りと人気者だったんだろう。
(嘘か真実かは判らないけど。)
…でも、そんなコトも何一つ覚えていない。
なんで思い出せないのかは…
今は…まだ書きたくないから書かない。
でも、彼に会った事で
抜け落ちた記憶のキャンバスに色を付ける事が出来た。
彼と別れる時に、
「そう言えば、来年の〇月に同窓会があるみたいだけど、一緒に行かない?」
と、誘ってきたけど
『いや、遠慮しておくよ。また機会があったら会おう。』
と言って、手を振った。
電車に乗って家路に帰る途中、
学生の頃の事を思い出そうしてみた。
でも、やっぱり思い出せ無かった。
しかし、1つだけ思い出せた事があった。
それは…
その学生時代で唯一、
自分にラブレターを渡して来たのが
彼だった、という事。
これだけでも思い出せて良かった、と思った。