道教委のいじめ調査、北教組の組織的非協力に批判の声(北海道)
北海道教育委員会が昨年12月に実施したいじめ実態調査に対し、北海道教職員組合(北教組)が道内21支部に、調査用紙の配布や回収に協力しないよう「指導」していたことが23日、明らかになった。多くの学校は協力したものの、小樽市では、教員が調査回答や回収を拒否。一部の学校では校長が保護者に直接、回収協力を求める事態となり、保護者から、「非協力は常識外れだ」と批判の声が上がっている。
北海道では昨年10月、滝川市の小6女児のいじめ自殺が発覚。道教委は12月、いじめの実態把握などのために、小中高生ら計約46万人を対象にした調査を行った。児童生徒にはいじめられた経験やどんな行為をいじめと思うかなどを尋ね、教員にはいじめに対処した経験などを聞いた。
小樽市教委によると、実施前、北教組小樽市支部から「調査に協力できない」と通告された。市教委は「現実と向き合い、調査結果を指導に生かすことが必要」と説得したが、支部側は「調査結果がどのように使われるか不透明」「調査を実施することでいじめ問題が早期に解決するかどうか見えない」――などとして協力を拒否したという。
教員らが協力を拒否した学校では校長、教頭が回収を代行した。市教委は12月26日までに各校から回収したが、教員からの回答率はわずか3割にとどまった。
市内の小中学校に子ども3人を通わせている主婦(41)は、「小学校長から『すべての教諭に用紙の配布・回収を拒まれ困っている。手を貸してもらえないか』と相談を受けた」と話している。
主婦は、「中学生の娘が、担任から調査用紙を配られた際、『出さなくていいからな』と言われたそうだ。そんなことを教諭が言うのは問題だ。いじめ問題の解決には実態把握が必要なはずで、理解できない」と憤慨している。
また、小学校長は、「この調査を子供たちの人権と命を守ることに生かさなければならない。協力を頼む」と校内の北教組分会長に訴えたが、拒絶された。校長は「教員も行政も一つにならなければいじめ問題は解決できない」と憤る。
一方、北教組に加入する札幌市内の40歳代の男性小学校教師も、「いじめで死んでいる子供たちがいるのに、事の重大性をまったくわかっていない」と、本部方針に困惑している。
北教組本部の小関顕太郎書記長は読売新聞の取材に対し、調査への組織的な非協力を文書で指導したと認め、「いじめの実態は学校現場で把握し、対応している。全道一律の調査は必要ない」などと話している。
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■北海道教職員組合 日本教職員組合の傘下団体。道教委のまとめでは、2006年の道内教職員の加入率は36・9%で、日教組全体の加入率28・8%に比べても高い。学力テストや主任制導入などを巡り、教育行政と対立してきた。
>「調査結果がどのように使われるか不透明」
>「調査を実施することでいじめ問題が早期に解決するかどうか見えない」
>「いじめの実態は学校現場で把握し、対応している。全道一律の調査は必要ない」
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【ご参考】読売(2006年12月27日)
道教委、国歌演奏妨害教諭の処分取り消しで再審請求(北海道)
後志・倶知安町の中学校で行われた卒業式の最中、国歌演奏を実力で阻止した男性教諭への戒告処分を取り消した道人事委員会裁決に対して、道教委は26日、再審請求を行った。なぜ懲戒処分は覆されたのか。裁決には、不透明な「ヤミ協定」が影を落としていた。
◆卒業式
裁決によると、問題の卒業式は2001年3月15日午前10時、教頭が進行係を務めて始まった。来賓席前に国旗が掲揚されたことに反発した北海道教職員組合(北教組)員の教員らが協力を拒否したからだ。教頭は全員の起立を求め、国歌を唱和できる者は唱和するよう告げて、カセットデッキの再生ボタンを押した。
男性教諭は、演奏開始後まもなく職員席後列から校長席の前に歩み寄り、机の上のデッキに手をかけた。
「先生」。驚いた校長はデッキに手をかけ制止しようとした。教諭は校長の手を振り切ってデッキを持ち去り、体育館出入口に向かった。その際、テープ演奏を停止しようとして、操作を誤り「ザー」という雑音が一瞬、館内に流れた。
◆伏線
式に先立ち、校長は01年2月、職員会議で卒業式の国旗・国歌実施を提案したが、組合員らは反発。式当日の朝まで複数回話し合いが持たれた。組合員らは式進行への非協力や、国歌斉唱の際には歌わないなどの方針を表明。校長は、組合員も積極的な妨害行為にまでは及ばないと判断。国旗・国歌実施を決断した。
組合員らが頑強に反対し続けた背景には、道教委の出先機関・後志教育局と北教組小樽、後志両支部が取り交わしてきた「労使確認」があった。国歌斉唱などは教職員の共通理解を得て実施するとの内容だった。
裁決は、校長の“抜き打ち的な”対応に重大な瑕疵があったと指摘。ヤミ協定に過ぎない労使確認の法的拘束力は否定したが、男性教諭が労使確認に基づいて卒業式が運営されることに強い期待を持つのは「無理からぬこと」で、長年容認してきた道教委側にも責任があるとして、処分取り消しの結論を導いた。
裁決はさらに、「類似のケースより、処分が重すぎる」との理由を挙げた。
◆勝者なき裁決
面目をつぶされた道教委教職員課は「生徒の目前で、式典を妨害したケースはこの1件のみ」と、男性教諭の突出ぶりを強調する。01年3月の卒業式では道内で計16人が訓告処分となったが、いずれも式典前などに、国旗を撤去するなどした行為で、式の最中に妨害行為をした例はなかった。
北教組側ももろ手を挙げて裁決を歓迎しているわけではない。「日の丸、君が代の歴史的な問題に踏み込んでいないのは許し難い。校長の瑕疵を認めたが、逆に言えば、手続きさえ踏めば強制が認められる」と小関顕太郎書記長は語る。
裁決は明確に教諭の行為を「公務員の信用失墜行為」と認定した。裁決は国旗・国歌法で日の丸・君が代論争は決着済みとの立場で、「国旗・国歌の強制」に反対する組合側の主張は根本を否定された。
道教委側は01年3月末、「法令上不適切」として、労使確認の無効を両支部に通知。以後、国旗・国歌実施率はほぼ100%だ。今春も全道で小中学校、高校での実施率は100%となっている。02年度以降、道内の国旗・国歌関連での教職員処分は0件だった。
解説 「自分の主義に合わない」からと言って、進行中の児童生徒の式典を大人が妨害する行為が、許されるだろうか。
人事委も裁決で懲戒相当と明示している。それなのに処分が取り消されたのは、道教委が長年不適切なヤミ協定を放置してきたことを重視したからだ。裁決は、過去の道教委の無責任さを指弾したものと言える。
その道教委がこの時期に再審請求を起こした背景には、来春の卒業式、入学式を前に、毅然とした姿勢を示さなければならない事情があった。裁決には、学習指導要領の法的拘束力を否定するなど、最高裁判例と食い違う不可解な部分もある。異議は異議として唱えておくべきだろう。
幸い、昨今の式典は平穏だ。教師には「処分による強制は許さない」などと主張する以前に、引き続き自身の職責と大人の良識を踏まえた行動を期待したい。
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