何気なく、今更に問題集やら過去問やらを漁りに本屋に寄ったら、『魔性の子』という小説を発見して、思わず衝動買いしてしまいました。

小野不由美さん著の、いわば<十二国記>シリーズの番外編です。(新潮文庫)

十二国記は大好きなのですが、別の出版社から番外編が出ていたなんて全く知りませんでしたよ。というか、十何年も前の作品がちゃっかりと平積みされていたりするあの本屋が珍しいのかな…。

私は本編(?)を全部読んでるので、「あぁ、要くんが日本に戻ってた頃の話なんだー。懐かしいなぁ」ぐらいの軽い気持ちで読み始めたんですよ。
でも………暗い。暗い暗い。話が、読んでも読んでもめさ暗いのです……。
なんてったって、テーマは醜い人間のエゴ・逃避・深層心理ですから。
誰もがここは自分の居場所ではない、と感じるときがある、っていう。
ただ私は要くんについての事はは既に知っていたんで、途中から教生さんに共感できなくなり、最後まで結局延王が出ずに終わったり(笑)と、自分的にしっくりこなかったのですが。ってこの話は十二国については殆ど説明が無い、あくまで『こちら』の話なのだから当たり前ですけどね。

自分にはこの世界とは別に、真の故郷があるのではないか。
…私は普通の、平凡でそれなりに運の良い生活をしてきたので、そういう深い事を考える状況でもないし、アタマもそこまで成長しなかった(と思う)のですが、まぁ、こんな世界に生まれてたらいいのになー、ぐらいは昔考えてましたよ。それもただの現実逃避なのですがね。
しかしあの教生さんは、自分を取り巻く現実から、心のどこかで逃げてしまいたいだとか、自分は異質であるのだからヒトには結局理解されないのだ、とかなんとかいう考えを持つ人々の、象徴なのですね。なまじっか幼い頃に本当に実体験(?)しているのだから、余計に残酷ですよね。
はじめは要くんも教生さんも、どちらも異質であり同類である、みたいに見えるのですが、教生さんが要くんに共感し理解していけばいくほど、最後に自分の汚さを知ることになってしまうんですね。だって要くんは本当に胎果であり泰麒であり、人間では無いのですから。対する教生さんは、どうあがいても、人間なんですよ。。。