一体、この状況をどうやって桜に弁解しろってんだ!

 俺が何も言えずにいると、楓の方が切り出した。

「ここのところ、自分でも驚くくらいいろんなことが起きてて、ずっと緊張の糸が張り詰めてたから、今こうして家にいたら急に糸が切れちゃって……。驚かせちゃって、ごめんね。」

涙声でそう言った。

 うんうん……って、あれ?違うだろ!!どうやら桜は今の楓のウソを信じてしまったようだ。まあ俺を疑いの眼差しで見てはいるが……。

 そこで、俺は1つの矛盾に気づいた。

 楓はこの前、成仏で気づいたら、俺と出会ったと言っていた。つまり、俺が好きと言うのは……。

「おい、楓。何か隠しているだろ。」

まさかと思って聞くと、

「えへへー。バレちゃった……。」

 

 ちくしょう。ウソだったのか。でも、これでは楓が成仏しなかった理由が本当に分からなくなってしまった。いや、まてよ。母さんはあの事故に関係していると言っていたような気がする。あれ?これじゃ、つじつまが合わない。楓は俺より誕生日は後なハズだ。事故があった日は、まだ生まれていないハズ。

 考えられるたったひとつの可能性、それは楓が俺より前に生まれていて、その事故に遭った。でも、何かしらあって、俺の幼なじみとして生き、俺を見守ってきたとしか考えられない。

 俺は、はやる気持ちを抑え、聞いた。

「楓。お前、誰だ?」

すると、楓は急にマジメな顔になった。

「実は、私はね、……」

 

 

つづく