あの超ノロい運転のせいで、30分で着くところ、1時間30分もかけて病院へ着いた。みんなは俺を待ってくれると言ったので、急いで母さんに会いに行った。

 母さんの容体はかなりよくなり、今日がちょうど退院の日だった。

「そういえば、何で入院したんだっけ?」

俺はふいに気になった。すると、母さんは、

「あぁ、ちょっと疲れがたまってて、事故に遭っちゃったみたい。蓮、心配かけてごめんね。」

俺はホッとして、

「気にすることないよ。元気になってよかった。」

って返した。そういえば、みんなを待たせてたんだ。母さんも準備ができていたので、一緒に帰ることにした。

 けど、桜の兄が運転と聞いた母さんは、急に、

「タクシーで帰るからいいよ。」

って苦笑して俺に言った。俺はすぐに察した。みんなには悪いけど、俺も母さんとタクシーで帰ることにした。

 家に着くと、家の前に桜の兄に送ってもらった楓がいた。母さんは疲れが取れきっていないので、楓に挨拶をするとすぐに、

「ごめんだけど、お母さん、寝るね。」

と言って家に入った。

 楓と俺も家に入り、リビングの椅子に腰かけた。楓と久しぶりに2人きり。何もないけど緊張する。すると、楓が口を開いた。

「私が成仏できなかったのはね、……」

 

 

つづく