蓮が振り返ると、そこにいたのは……ペン先生だった。俺はびっくりした。

「警察に連れて行かれたんじゃ……?」

頭の中がこんがらがっている。

そんな俺にかまわず、ペン先生はゆっくりと近づいてきて、桜の兄に静かに話し始めた。

「君は悪くないよ。僕にも悪いところがあった。君が自分を責める必要はないんだよ。だから、死んではだめ。がんばって生きるんだ。」

桜の兄はこの言葉を聞いて、泣きながらただひたすら

「すいません……」

とつぶやいていた。

「よかったね。」

と、楓。俺もほっとしたそのとき、目も開けられないほどの大きな風が急に吹いた。

 俺が目を開けると、さっきまでいたはずの桜の兄の姿が……なかった。

 

 

つづく