地震が起きたせいで作品に傷がついた

しかし、波山の妻はその作品を絵付けでなんとか誤魔化して納品できないかと言う

しかしそれでは名が汚れると拒否したと言う


年末の米代が支払えない

助手の男性まで気落ちしたそうで

助手に慰めの酒を買ってやれと(さらに借金)妻に言い

酒を買いに行っている間に絵付けができないように作品を割ってしまったという


帰ってきた婦人は相当気落ちしたそうだ。


そんな頑固な人物からは想像できない

穏やかな作品





優しい淡い色




白磁に藍という色の美しさ。


そして波山は勲章を受けたり色々褒められたりするのだけど

あまり気にしてないようで

生家の近所のお年寄り全員に杖を作って自ら一軒一軒渡しに行ったり

戦争で命を失った方の家に香炉を送り続けた

作陶の熱意は強く厳しく人には優しい

すんごい男前なんである。


波山が贈った杖の持ち手は鳩の意匠になっていて

鳩杖モナカというお菓子まである。


そして戦争で命を失った方への香炉は

どんどん戦死者が増え、制作が間に合わず

量産できる型取りの観音像に変わったというから

戦争の凄さも垣間見えるのだ。


昭和生まれの私は観賞用のために皿を買い

寝室にまで食器(陶器のインテリアではない、普通の食器!)を飾り

今日は何の食器でコーヒーを飲もうかなとか。

平和でしかない。


食器にかける情熱を少し社会の為に分散しよう。

しかし、生産地に行って今の時代の陶芸家の作品を購入するのも

文化の維持に役に立っているのだとしたらそれもまたいいことかなと。

思うのでした。