あれがこうだからと言って直ぐ反応するのもどうかと思うようになった。
何も跳んだり撥ねたりが忍術の本質ではない。
肉体を使って働くのは下人の役目である。
下人を追い使う地侍は、知恵を巡らし策謀を練った。
術をかける相手の「心」を読み解き、その「心」につけ込むことで勝ちを得る。
そして、その真価を発揮するためには手段を選ばなかった。
『万川集海』には、そんな十二家評定衆の気分が僅かに知れる箇所がある。
「必ず侵入できる夜の八箇条」のひとつに、「愁歎の事ありし後二、三日夜之事」と臆面もなく記されているのがそれだ。
嘆き哀しむことがあった者の家にはその当日ではなく、二、三日後に生じる虚に付け込んで忍び込め、という。






