時代小説に出てくる江戸の風景は大川とそれに続く運河を行き交う猪木舟や屋形船、巧みに漕いで滑らす船頭の櫓さばき、河岸(かし)に停泊する艀(はしけ)から荷を担いで台車に移す人足の姿など、水上交通とともにある。
世界的に見ても大きな町は水上交通の要所だったりする。
物の売買が盛んに行われていた証(あかし)であり、時給自足出来ない生活の総体としての都市の本質を露わにする。
それに比べると陸上交通としての馬や籠はなんだか間が抜けた 感じがしてしまう。
現代ではその印象が逆転してしまった。
いろんな理由はあるようだが、概して人口の集中するスピードに対応するには水運より陸運、陸送の方が効果が高いのだろう。
それでも社会資本の整備は追いつかず、交通の渋滞、河川や大気の汚染の原因となった。
排ガス規制など、技術の向上にも効果としての限界はある。
もう一度水運を高めて、緩い都市を目指してはどうだろう。
郊外の大駐車場に車を止めてビジネススーツを着た人が次々と猪木舟に乗り込み、ビジネス街の数カ所に設けられた桟橋へと移動している姿を想像するのも面白い。
ハイヒールで舟に乗り込む女性達。
そろそろ引き上げないと明日の朝が辛いからと、船べりをシッカリと掴んで川に落ちないように住処へと帰っていく人の姿、などなど。
エンジン付きは高く、手漕ぎなら時間がかかるだけ安い。
そんなまどろっこしい舟に乗らないで街に関わることなく暮らしていける、地に足がついた知恵が生まれてきたり










