めでたし聖寵満ちみているマリア

めでたし聖寵満ちみているマリア

聖母マリアやキリスト教(主にカトリック)の書物を読んだ際に、気になった箇所を紹介し、自分なりに思ったことを書いていこうと思います。拙い文章ですが、ご一読いただければ、幸いです。




『秋田の聖母マリア』(聖体奉仕会)

 安田貞治 著より


『八月四日。典礼暦が変わって今は、聖ヨハネ・マリア・ビアンネの記念日であるが、当時は聖ドミニカを祝う日であった。 

 夕の聖務に聖堂に入ろうとした姉妹笹川は、突然背後からグイと肩をつかんで引き戻されるのにおどろいた。(なんと乱暴な…)と左うしろを見返ると、何か黒い影が蔽いかかっている。 あわてて手を上げて肩のあたりを払いのけようとしたが、盤石のような力がわしづかみにしていて、身動きもできない。ゾッと身ぶるいしながら、とっさに「アヴェ・マリア!守護の天使、お助けください!」と心に叫んだ。たちまち、いつもの天使が姿を現し、聖堂に導くように、先立たれる。とたんに肩にのしかかっていた力は消えた。彼女は普段のように聖水を指につけ、十字の印をして入堂し、自席につくことができたのだった。

 その後も同じようなことが、同じ場所で再度起こったが、こんどは「主よ、お助けください。憐れみたまえ!」と祈り、即座に助けられた。

 これが悪魔の攻撃とは、本人もすぐ気づいた。なぜなら、神の恵みとの出合いは、心の甘美さと深い平安を残すのに反し、こうした経験は、まことに君の悪いあと味と、恐怖を残すからである。』


日本の秋田市内にある聖体奉仕会という修道院で、

1975年から1981年までに木彫りの聖母像が101回に渡って涙を流すという出来事があった。私も何度もこの修道院を訪れたことがあるが、この奇跡の素晴らしさにも感動したが、修道院の環境やシスターたちの暖かいもてなしに何度も心を癒された。やはりこういう環境だからこそ素晴らしい奇跡が起きたのか、はたまたそういうことが起きたから、素晴らしい環境になったのか、それとも両方なのかそれは分からないが、聖地と呼ぶのに本当に素晴らしい場所である。それはさておき、この引用からもわかる通り、悪魔は、間違いなくマリア様を恐れている。私が驚いたのは、前回のルルドのときとは違い、マリア様ご自身が姿を現さず、姉妹がマリア様の御名を呼んだだけで、悪魔が力を緩めてしまったという点である。また、ご自分で姿を現して、悪魔と対峙しなかったという点は、マリア様の謙虚さを強く感じる。聖母はなるべくご自分をお隠しになりたがるという、話を聞いたことがあるが、まさに謙虚さこそ、本当の強さということをマリア様は私たちに教えてくださっているような気がする。