”スキップ”という名前とは裏腹にドンヨリと暗い気持ちになる「Devil Got My Woman」が監督の強い推し(?!)で使われた映画「Ghost World」が何故かリヴァイバル上映された。

 スキップ・ジェームスを知ったのは、1966年のクリーム経由だった。実際に聞いたのはもう少し後かな?サイケ!な「I'm So Glad」。何故かディープ・パープルもカバー(68年)していたが、なにかイギリスで盛り上がることでもあったのだろうか?

 今回の「Ghost World」のリヴァイバル上映のパンフレットでも監督が、”『ゴーストワールド』の音楽について”というコラムで、クリームの「I'm So Glad」にふれており、『そのいまいましいLPから逃れることは不可能だった』と回想しているほど広がった。まあ、日本では最新の”ロック”を聞きたいとアンテナを張っていたファンに限られていたが・・・。クリームを聞き、オリジナルのスキップ・ジェームス・バージョンが聞きたくなり探した。見つけたのは、再発見後のヴァンガードからのアルバム、「Skip James Today!」。70年6月にハンターで発見。1902年生まれというから、このヴァンガードからのアルバムの頃は還暦越えのおじいさん(実際69年10月には天国に召される)。

Skip James Today!  (Vanguard VSD-79219) 1966

 

その寂しげなファルセットで歌われる「I'm So Glad」は、少し怖かった。南部のブルースというと、ロバート・ペットウェイの「Catfish Blues」のようなものを想像していたので拍子抜けというか肩透かしをくらった感じだった。

 テリー・ツワイゴフ監督をして、『60年代にブルース・マニアに再発見された後に作られた質の悪い録音は避けてほしい。』とけなされているそのLPを最初に聞いたわけだ、トホホ・・・監督ぅ~勘弁してください・・・。その後、監督絶賛の1931年録音のオリジナル・バージョンは日本のP-VineからもCD化されたので辿り着いた。

今回のリヴァイバル上映でスキップ・ジェイムスへ軽やかにスキップしながらたどり着き、その個性的な世界に捕らわれる人が出ることを祈ります。

 

 後年、全くブルースと関係ないところで「I'm So Glad」に遭遇してしまった。爽やかなコーラスでソフト・ロック・ファンのマスト・アイテム、Honey Ltd.のCDに当時未発表だったこの曲が入っていて、CD化されたときに陽の目を見ている。

  

The Complete LHI Recordings (Light In The Attic LITA 102) 2013 

 

唯一のアルバムは1968年の録音。その後、69年1月録音ではヒットを狙ったのか馴染みのある既存曲に絞り、ローラ・ニーロの「Eli's Coming」のカバー、カントリー・ソングの「Silver Threads And Golden Needles(銀の糸と金の針)」と一緒に録音。どういった経緯でこの曲(達)が選ばれたのか?不思議なチョイスだ・・・。