ソウル関係の南部ローカル・レーベルを掘ってると、白人のレコードにぶち当たることも多い。FAMEのダン・ペン等レーベル関係者の物も多いが、ビートルズの影響下結成されたと思しきローカル・アマチュア(?)ビート・バンドにも当たる。

  

QUINVYと言えば、ディープ・ソウルのドン・ヴァーナーやトニー・ボーダーズで有名だが、こんな地元バンドもレコードを出していた。”カスタム”とあるので、自主製作盤か??メンバーなどの詳細は・・・・当然不明。。。

 

 

  

ジェームス・カーやオヴェイションズ、スペンサー・ウイギンスで有名なGoldwaxでも、ヨーヨーズという何ともふざけた名前のグループがレコードを出していた。2012年に英国のAceから出たEPは写真付きだったので、こんなお坊ちゃまのバンドだったのネ!とほほえましく思った次第。

 

更にマイナーなレーベル、XLからのバーバラ&ザ・ブラウンズ(下左)は、ディープ・ソウル・ファンの間では超メジャーだが、何と1965年に日本でも流行った、サム・ザ・シャムとザ・ファラオズの「ウーリー・ブリー」、実はXL-906がオリジナル!(MGM-13322  65年全米2位)

   ←こんな変な恰好で・・・際物だよネ♪

ソウル・ファンがこのレーベルに気づいたのはもう随分と後だが、日本でもMGMレーベルでXL物がひっそり出てたんですね、知らなかった、っていうかMGMは南部の弱小レーベルにも食い込んでいたのが驚き。71年にオズモンズのマッスル・ショールズ録音「ワン・バッド・アップル」(MGM 14193)は全米1位・・・。MGM恐るべし!

 

同じMGMから出ていたのが、ザ・ジェントリーズの「キープ・オン・ダンシング」。こちらは超レア盤のモダン・ソウル・トリオやフランシーヌ・カーでマニア垂涎のYoungtownからの1枚だったんですね、ビックリ!←当時(65年)そんなこと知ってたヒット・パレード・ファンは皆無ですよぉ~。

  

Youngtown Y-601で出したものをMGMがひろいあげ、MGM-13379で出し直したら大ヒット!(65年全米第4位)

それに気を良くしたのか、Y-605でロニー&ザ・デヴィルス(上右)がデビュー(66年)、これは後年ベル系(Mala 565)で「ザ・レター」(邦題「あの娘のレター」)を出したボックス・トップスの前身。ヒェ~~。

 

そんなYoungtownのY-608は、ザ・ソリップス。

  

知らんワ、そんなグループ!って貴方。私も知らなかった(私だけかも・・・)けど・・。

これが、なかなかいいのよね♪そこでレーベル凝視したら、作者:Nancy Jeffries ってあった。ん?!この名前、どっかで目にしたことがある。B面もボブ・ディランやザ・バーズでお馴染みの「He Was A Friend Of Mine」だし。興味津々。

 

そうです。この人、インセクト・トラストの人!っていうか、このソリップスがインセクト・トラストになったのネ♪

   

CDジャケットの裏面右から2人目の女性です。

このインセクト・トラストのデビューLPは米Capitol SKAO 109、日本でも東芝音工から69年10月10日に発売されました(CP-8776)。ジョンとヨーコの『未完成 作品 第2番』(AP-8782)とジョージの『電子音楽の世界』(AP-8783)と同じ月だった。NMMの評では、『”世界最高のカントリー・ジャズ・フォーク・ブルース・ロック・スイング・バンド”といわれるだけあって、多くの音楽がごったまぜになっている。・・(中略)・・かなり考えてつくられたアルバムのように思う。けれどあんまり一般受けはしないだろうな。ちょっと難しいみたい。』と小倉エージ氏も書いているように、全く受けなかった。今聞くと、このバンド、とても良いです。

 

ちなみにYoungtown盤の作者でリード・ヴォーカルのナンシー嬢、その後は裏方に回り、74年にRCA、84年にA&M、その後Virgin、Elektraとレコード会社で働いたそうです。お偉いさんだったんだ。

南部ソウル系レーベルの意外なお宝発掘、楽しいですよ。って、ワシだけか・・。

 

*2023.6.27追記:YouTubeを見ていたら、昨年Fat Possum Recordsの太っ腹な善意でアップされた、Memphis '69: The 1969 Memphis Country Blues Festival | Full Documentary に、このInsect Trustの演奏シーンがシッカリ残されていました!デビュー・アルバムの頃の貴重な映像!いやぁ~、ビックリしました。後半50分位のところネ♪