統一スリーブ導入で管理の簡素化、経費も削減、業務の合理化が図られた東芝音工のシングル盤。長らく統一規格だとどうしてもマンネリを突き破りたい感情が働くのか、R&Bベスト・ヒット・シリーズとかC&Wシリーズなどのシリーズ企画も出たが、ジャケットでの訴求どまりでスリーブまでは冒険をしていない。

上から、ダンヒル・シリーズ、C&Wベスト・ヒット・シリーズ、R&Bベスト・ヒット・シリーズ、更にニュー・ロック・シリーズでファンタジー・シリーズというCCR?!。音楽のスタイル別は分かるが、ダンヒル、ファンタジーって?レーベルはRの頭に記号で管理してるのに・・・???何故?

 

 そんな中何をとち狂ったのか、67年末に「RUSH!」という謎の企画を立ち上げた!ヒット曲を一早くお届けしたいとジャケットを簡素化、他のリリースと差別化を計るべく別スリーブを作成し発売に踏み切るという暴挙に出、統一スリーブの歴史は崩れた(大袈裟です・・・)。当時は輸入盤もボチボチ一般化してきたが、英米のヒット時期との時差にはあまり敏感ではなかったように思う。欧米と同時に入手したいというファンは一握り(だったと思う)。日本独自のヒットもあり、欧米との時差を縮めたいがために、日本独自の美しいジャケット文化をも切り捨てたファン置いてけぼりの独りよがり企画・・・・・・と、今だからあえて言う!

 1968年1月新譜(1月10日発売)で、CR-1840「恋はフェニックス」グレン・キャンベル、CR-1841「悲しきロックビート」ストーン・ポニーズ、CR-1843「オコロナ・リバー・ボトム・バンド」ボビー・ジェントリー、LR-1844「サマー・レイン」ジョニー・リバースの4枚を「RUSH!シリーズ」として発売。前2枚は67年12月10日、後2枚は67年12月25日発売で、レギュラー発売日前に必死こいて滑り込ませました感を演出。これは、ペラ・ジャケットで歌詞しか載ってない日本人ファン噴飯もののトホホ仕様。カンパニー・スリーブだけは、派手にぶち上げましたが、68年2月10日発売のSR-1869「ボトル・オブ・ワイン」ファイヤー・ボールス、4月1日発売のLR-1886「明日を信じて」ボビー・ヴィーとストレンジャーズ、の計6枚のリリースで終わった(らしい・・・・月報表記が無く実際にジャケットの表記を確認しなければ分からないのでその後もあったのかは未確認)。

 

  

最後のリリース(と思われる)ボビー・ヴィーのシングル。ジャケットに3/2付けの全米チャートの順位が載っているが、この日付号の発売日は2/20、エアーメイルで雑誌が会社に届いて(2月末?)急遽発売を決めても4/1発売がやっと・・・。こんなシリーズにしなくとももう半月も延ばしてカラー・ジャケット付けた方が訴求力あったのに・・・。予想通りあえなく撃沈・・・。

 

 次の暴挙は、1968年4月月報掲載の、ブルーノート・ベスト・シリーズ第1回発売。NP-2001から2010までの10枚のシングル盤を一挙発売。従来のR-1000規格とは別物のNP-2000規格を立ち上げ、スリーブも別物。しばらく置いて、2回目は12月5日発売(月報は12月号だが未掲載!)レコード・マンスリーの69年1月号5枚、2月号5枚に輸入盤ポピュラー扱いでNP-2011から2020までの10枚が掲載。しかも、前のリリースは¥400だったが、この2回目は¥500と値上げ。結局、この後が続かず尻切れとんぼに・・・。69年7月1日に従来のR-1000シリーズの1枚としてNR-2382「真夜中のカーボーイ」リー・モーガンを混ぜて、この別スリーブ企画も完了・・・。ジャズのシングル盤・・・・・もうファンはLPに移行済みだったのに・・・・。またしても空気読めない独り善がり企画???。

   

スリーブは、表・裏にアーティスト満載!の力作。

   

ジャケの「BN Best Series」が眩しい! 最後はR-1000規格にひっそりと、但し袋は使用!

 

 3番目の別スリーブ作戦は、国内企画ではなく、海外物。ビートルズの会社アップル・レーベルの日本発売は黒スリーブの海外仕様を踏襲。当初、両面穴の形状だったが、工程のからみなのか他のスリーブと同じ片穴に代わった。これはおなじみだと思います。その後、アップル消滅とともに、統一スリーブに戻った。まあ、アップル・レーベルだから出来た仕様か?

     

 

RUSH!シリーズは短命に終わったので余剰スリーブは69年頃の見本盤に活用された(哀れ・・・)。ブルーノートの方は、元々そんなに作らなかったのか通常R-1000規格での発売NR-2382に使用以外は見たことがない。