第1代表・三菱重工East (横浜市)

◯2年連続14回目



1971年の創部以降、クラブ化や幾度もの改名を経たが、2021年の再編で現在の名称に。日産や三菱ふそう川崎が休廃部した2010年代から力をつけ、以降は都市対抗10回出場の強豪だ。


〈予選の足跡👣〉

ブロックT   ⚪️10-0 (7回コールド) リベラック小田原

代表決定リーグ ⚪️4-2 ENEOS ⚪️11-6 東芝



 ​第2代表・ENEOS (横浜市)

◯5年連続54回目



2022年王者。都市対抗優勝回数は全国最多の12回で、日本石油時代から長らく社会人野球を席巻してきた名門中の名門だ。現監督の大久保秀昭(元近鉄)をはじめ、高梨雄平(巨人)や塩見泰隆(ヤクルト)らNPB選手も多数輩出する。


〈予選の足跡👣〉
ブロックT   ⚪️12-0 (7回コールド) 茅ヶ崎サザンカイツ
代表決定リーグ ⚫️2-4 三菱重工East ⚪️8-2 東芝



サムネイル

〜おしながき〜
SEASONS的 本戦の見どころ
②注目のドラフト候補
③本戦の展望



SEASONS的 本戦の見どころ


三つ巴の死闘を制し、見事に本戦出場を勝ち取った横浜市2チーム。共にフレッシュなルーキー、そして百戦錬磨のベテランの活躍が鍵を握るだろう。


三菱重工East


元々投手力に定評があるが、池田陽佑(智辯和歌山〜立大)&川和田悠太(八千代松陰〜仙台大)の加入により厚みが増した。そこに東芝から補強の笹森公輔(白樺学園〜上武大)が加わればかなりの脅威だ。

また、打線には東芝からプロ注目の好打者・齊藤大輝(横浜〜法大)、下山悠介(慶應義塾〜慶大)が補強され厚みが増す。1971年の創部以来いまだ優勝はないが、間違いなく優勝候補筆頭と言えるだろう。


ルーキー

池田川和田東芝から補強の笹森による右腕トリオに加え、好守のサード・中前祐也(浦和学院〜中央大)に注目。


 

 

池田は高校時代エースとして甲子園出場。現ヤクルト・奥川(星稜)と投げ合い、高校日本代表に選出された。大学では1年春から毎シーズン登板。2年時にはチームの全20試合中17試合に登板したタフネス右腕だ。昨秋ドラフトでは惜しくも指名漏れしたが、順調にスキルアップを続けている。


7試合(3先発) 16回2/3 9奪三振 防御率3.24




川和田悠太、4年春大学選手権(vs明大)でのピッチング


川和田は高校でヤクルト・長岡と同期。大学では下級生時から全国のマウンドを経験し、抜群な制球力が武器の技巧派右腕だ。佐伯監督は「将来的にうちの軸に期待している投手」(社会人野球NOW vol.19より)



期待を寄せており、一発勝負の都市対抗で重宝されることは間違いないだろう。


6試合(4先発) 19回 9奪三振 防御率2.84 BB/9 1.42

※BB/9…9イニングでの与四球数。1.5を下回ると非常に優秀。


 

 

笹森(東芝)は大学で日ハム・進藤とバッテリー。140キロ中盤ほどを計測する速球とカットボールのコンビネーションが光り、外角低めの精度が高い好右腕。JABA京都大会では、昨秋選手権王者・大阪ガスを3安打0封、3登板20イニングを防御率0.45の驚異的な活躍で優勝に貢献した。


6試合(4先発) 28回2/3 19奪三振 防御率1.26
WHIP 0.77 BB/9 0.94 K/BB 4.75

※WHIP…1イニングあたりの与四球、被安打による出塁数。1.0を下回ると非常に優秀。

※K/BB…1四球を与える間に奪える三振数。4.0を超えると優秀。


 

 

 

中前は好守巧打の内野手。浦和学院、中大と主将を務め、ドラフト候補にも名前が上がった。社会人でのメインポジションはサードで、軽快なフットワークと正確なスローイングが光る。打撃でも好調をキープし、スタメンの座を守り抜いている。本戦では補強の下山、齊藤とポジションを争い、さらに自分を磨き上げる。


14試合 .395(38-15) 11打点 10四球
出塁率.500 IsoD.105 BB/K 2 BB% 19%

※IsoD…打率を差し引いた四死球による出塁率。0.1を超えると優秀。 

※BB/K…1三振あたりの四球の数。選球眼の良さを測る。1.5を超えると非常に優秀。

※BB%…1打席あたりの四球の数。15%を超えると非常に優秀。



​ベテラン

傑出するのは11年目32歳のチーム最年長・小栁卓也(春日部共栄〜日体大)だ。


 

小栁はチーム再編時に三菱重工名古屋から転籍。以降は不動の4番打者として活躍し、打率3割を継続する安定感と好球必打で力強い打撃が光る。まだ全盛期真っ只中。今年も東京ドームにアーチをかける。


16試合 打率.301(53-16) 3HR 11打点 9四球
OPS.952 (長打率.528+出塁率.424)
IsoP.227 IsoD.123 wOBA.412

※IsoP…打率を差し引いた純粋な長打率。.220を超えると優秀、.280を超えると非常に優秀。 
※wOBA…得点貢献率。.400を超えると非常に優秀。




ENEOS


打線の軸である山﨑錬、度会隆輝がOUTし、再起を求められる22年王者。早くも存在感を放つ大型新人を筆頭に、若手の活躍が鍵となる。ただ、若手からベテランまで経験豊富な投手陣は社会人屈指の層を誇り、こちらもまた優勝候補筆頭と言えるだろう。


​ルーキー

日向の韋駄天・松浦佑星(富島〜日体大)と伊予の大砲・村上裕一郎(宇和島東〜九州共立大)の活躍に期待。


 

 

松浦は大学時代に類稀な脚力でドラフト有力候補として名前が上がった好遊撃手だ。山﨑の背番号1を継承し、春先のスポニチ大会から1番遊撃に定着。打率.500(12-6)の活躍を見せ、予選でも活躍した。本戦でも走攻守で躍動し、打線の活性剤となる。


13試合 打率.333(48-16) 7打点 12得点 4盗塁 Spd 7


※Spd…盗塁、三塁打、得点といった走力に関わるプレーを0〜10で数値化したもの。平均は5。


 

 

村上裕は期待の大型スラッガー。九共大では3年時に選手権&神宮大会出場。入社後は公式戦初安打をHRで飾ると、そこから右肩上がり。西関東・三菱重工East戦では外角直球を逆方向へと叩き込む衝撃弾。来秋のドラフトが非常に楽しみな選手だ。


12試合 打率.281(32-9) 2HR 8打点 

OPS.930 (長打率.562+出塁率.368) IsoP.281




​ベテラン

9年目のエース・柏原史陽(桐光学園〜同志社大)は盤石で、最年長捕手・柏木秀文(阿波〜城西国際大)の存在も忘れてはならない。また、東芝から補強の松本幸一郎(横浜〜立大)も精神的支柱となるだろう。


 

 

柏原は今季からリリーフ専念も、最速151キロをマークするなど留まることを知らない。東芝戦ではその球を柏木が受け、代打で出場した松本がヒット。ベンチを温める機会も多くなってきたが、ここぞで頼りになるのはやはり百戦錬磨のベテランだ。


柏原:8登板 13回2/3 12奪三振 1四球 防御率1.32
   WHIP 0.80 BB/9 0.66 K/BB 12
柏木:4試合 打率.222(9-2)
松本:9試合 打率.300(20-6) 2打点

東芝戦 柏原史陽ー柏木秀文バッテリー

ENEOS戦の9回に代打安打を放つ松本幸一郎(東芝)





​注目のドラフト候補


三菱重工East


  山中稜真(木更津総合〜青学大)​


2年目。広角に強い打球を打ち分ける左の強打者


西関東・ENEOS戦では、執拗な外攻めから多少中に入ったスライダーに上手く対応。ライトスタンドへと放り込んだ。強く振れば打球速度は桁違いだが、柔らかさもあり変化球への対応も上手い。打者としては社会人屈指だろう。


 

現在はファーストを守るが、両翼での起用も可。守りの動きも格別で、捕手育ちの捕球技術も一級品。打者としての評価が肝心となるが、都市対抗期間でどう上乗せできるのか楽しみにしたい。



16試合 打率.250(60-15) 2HR 11打点 9得点 長打率.450
西関東:364(11-4) 2HR 6打点 4得点


  ​下山悠介(慶應義塾〜慶大) *東芝


2年目。広角に打ち分ける打撃にパンチ力を備える好打の内野手。数々の大舞台で培ってきた勝負強さも売りで、1年目は主に4番を任された。


守ってはサード、ファースト。大学ではショートやセカンドを守った経験もあり、そのユーティリティさも武器。同期の萩尾らがプレーするプロへの道も夢ではないだろう。


 


15試合 打率.208(48-10) 1HR 9打点
西関東:打率.364(11-4) 2打点


  ​齊藤大輝(横浜〜法大) *東芝


2年目。大学では日本代表も経験した右の中距離打者。大学時代からドラフト上位候補とも呼ばれた逸材だが、4年時に苦しみ指名漏れ。ただ、社会人では1年目からコンスタントに活躍し、打率.367(109-40)を記録した。

 

 

また、今年からサードにも挑戦。スローイングも安定し、大学時代に主戦場としていたセカンドより動きは良い印象。幅を広げ雪辱を誓う。



14試合 打率.275(51-14) 1HR 9打点
昨季:29試合 打率.367(109-40) 2HR 23打点
   OPS.912 (長打率.490+出塁率.422) wOBA.404


ENEOS



  東山玲士(丸亀〜同志社大)


2年目。万能型最速150キロ右腕。

ホップ成分の強い直球とチェンジアップのコンビネーションが武器で、奪三振能力に長ける。

西関東・三菱重工East戦ではリリーフで3者三振と圧巻の投球。最速は149キロを計測し、持ち味を存分に発揮した。

 


9試合(2先発) 19回 25奪三振 6四球 防御率3.32
奪三振率 11.84 K/BB 4.17


  飯田琉斗(向上〜横浜商大)


3年目。最速154キロ187cm95kg大型右腕リリーバー。本戦では二大大会初登板を目指す。

西関東・三菱重工East戦では3番手で2回3奪三振無失点。課題の制球も、151キロのスピードボールを投じながら好印象だった。フォークも◎

ドラフト戦線浮上か。

 


6試合 7回 11奪三振 1四球 防御率0.00 奪三振率 14.14


  ​阿部雄大(酒田南)


6年目。183cmの長身から投げ下ろす角度のある直球に、同じ軌道からストンと落ちるSFF、カットボールを交える。カーブとの緩急も効果的だ。

西関東・東芝戦では先発5回7奪三振無失点。指にかかった直球は球速以上に威力を感じ、変化球の精度も含め、Honda鈴鹿から巨人へ進んだ森田駿哉に匹敵する好素材だろう。

年齢もまだ23歳で、大卒では2年目の代。指名は十二分に考えられ、注目しておくべき左腕だろう。

 

 


7試合(6先発) 35回 36奪三振 5四球 防御率1.29
奪三振率 9.26 BB/9 1.29 K/BB 7.2 LOB% 94%

※LOB%…走者を本塁生還させなかった割合。平均70%。

  ​山田陸人(桐光学園〜明大)


東京六大学が誇る打撃職人。3年春には打率.500で首位打者を獲得したヒットメーカーだ。

社会人では、昨秋選手権で二大大会デビューを果たし初戦でヒット。HRは入社後3本で、六大学対抗戦では値千金のホームランを放つなど、パンチ力もUPした。

メインポジションはサード&ファースト。狭き門だが、自慢の打撃でアピールすればおのずとプロ入りは近づくだろう。


 


13試合 打率.313(48-15) 6打点


​本戦の展望



 三菱重工East

 初戦は北信越代表の高岡市・伏木海陸運送。伏木には三菱重工名古屋でプレーしたエース・西納が在籍。佐伯監督や小栁とはもちろん縁があり、目が離せない一戦だ。悲願の初優勝へ好発進を切れるか。


西納敦史


 ​ENEOS

  初戦は東海第6代表の豊川市・東海理化。昨年12年ぶり出場で初勝利からベスト8に進出する快進撃。小野賞(特別賞)を獲得した勢いのあるチームだが、ここをモノにし王座奪回へ弾みをつけたい。

 また、勝ち進めば2回戦の相手は東京ガスvsミキハウスの勝者に。東京ガスは22年決勝で当たった因縁の相手。もしこのマッチアップが実現すれば、ここが大きな山場となりそうだ。