合羽坂下と地名が書かれた信号機の先に見える建物は日本の領土、領海、そして領空を守る防衛省である。
「こんな所まで何しに来たの?」
それも平日の昼間、12時少し前、カミサンだけでなくガキ(娘)もいます。
『はらまさ』(※1)
ここのランチを食べに来たのである。
しかし、こんな店構えでは、この暖簾の先が『はらまさ』だなんて思いもしないだろう。
足元を見ると『はらまさ』と書かれた”灯り”がありますが、下を向いて歩く人はいないと思います。
夜ならわかるとは思うが、昼間は”灯り”が灯るはずはなくわかりづらいからと思うからです。
一品目は、ホタルイカ、菜の花、赤貝、ソラマメにからし酢味噌がついていました。
まず、見た目の彩りがとても良いです。春が来たような・・・
ホタルイカも赤貝も臭みがまったくなく、からし酢味噌の絶妙な味わいは素材が損なわれないような気がしてならないし、そのからし酢味噌によって素材を際立ててるような気がしないでもない。美味い・・・
こんな美味しいひと皿が出て来るのであれば美味しい冷酒が飲みたくなります。
冷酒のメニューを見ると「越乃寒梅」を除くと知らない銘柄ばかりで困ってしまい、店主に「辛口が飲みたいのだが・・・」と伝えて勧められたのは「越乃寒梅」でした。
「越乃寒梅かい・・・」
と思いつつ出された一升瓶は青色でした。
こんな色合いの「越乃寒梅」を見るのははじめてである。
『純米吟醸 灑』(※2)
「越乃寒梅」に『純米吟醸 灑(さい)』という銘柄は聞いたことがなかったので、調べてみたら2年前の6月17日に新発売されたことがわかりました。
「越乃寒梅」と聞くとどこにでも置いてある銘柄かと先読みしてしまいますが、これは珍しい銘柄だなと興味が湧きました。
香りは品の良さを感じさせるやさしさがありました。
でっ、ひと口飲んでみると、やさしい味わいながらもすっきりするような”凛”としたものを秘めてる感がしました。
辛口なんだろうけどキレッキレの味わいではなく、ふきよかな味わいを楽しみながらスッ!と喉越しを潤してくれます。
「美味いっ!」
ちなみに『精米歩合55%に磨いた五百万石と山田錦を使用。越乃寒梅らしい上品さ、キレの良さは、長年使い続け、その特性を熟知した酒造好適米を原料米に、吟醸造りでしっかりと低温熟成させたからこそ表現できる特徴です。』(※2)と云い、『日本酒をはじめて口にする人にもお楽しみいただけるよう、米の旨味を感じやすい純米酒でありながらも、ライトで飲みやすく、飽きの来ない味わいに仕上げております。』(※2)と・・・
お酒は飲まないガキ(娘)がボクの徳利を勝手に手に取り、ひと口飲んで「美味い」というのだから、”日本酒をはじめて口にする人”でも楽しめるようだ。
これは刺身です。
ひらめがふた切れ
黒むつがふた切れ
これに、わさびをつけて醤油をつけて食べる訳ではなかった。
のりが4枚
手前にある味噌のような大きな塊は・・・
味噌も使ってるかも知れないが、”あん肝”を裏ごししたものだという。
のり1枚を手に取って刺身をひと切れにわさび、それにねぎなどの薬味、最後に”あん肝”を裏ごししたものをどぉ~んとのせて、のり巻きみたいにくるくるっと巻いて準備完了となります。
それを、醤油にちょっとつけて食べるのだが、ただの刺身がものすごくゴージャスな味わいになります。
もっとも、”あん肝”を裏ごししたものはつけて食べるべきだったのかも知れませんが、どちらにしても、既成概念を覆されたようなインパクトがありました。
それに冷酒にまた合うのだからタマラナイです。
茶碗蒸し
茶碗蒸しと聞かされたら、海老とか筍とか、そんな具が入ってるものと考えますが、・・・
この茶碗蒸しは違ってました。
真ん中にどーんと構えた大きな塊、それは”蟹みそ”なのです。(嬉)
その周りは茶碗蒸しにしては色が濃く橙色に近い色合いがありますが、これは卵黄なのです。
そして、スプーンですくって食べますが、”蟹みそ”の下には”蟹の身”までたっぷりと入っていてすごく美味でした。
もちろん、冷酒に合います。
と言うか、冷酒は何にでも合います。
お吸い物
白っぽいのは真丈(しんじょ)です。
出汁は何だろと思いながらひと口飲めば、これは”貝類”からとったものだとわかります。
となると、その真丈は何なのか?と気になってきますが”蛤”(はまぐり)なのです。
味覚バカなボクの舌では説明がないと「(この真丈は)いったい何なのよ?」と戸惑っていたと思います。
何となく”貝類”だろうと思いつつ、”蛤”だとは思いつかなかったから・・・
でも、”蛤”の真丈と知ってから、あらためて食べてみると確かに”蛤”でした♪(爆)
”白子”をあえた温かいそうめん
橙色っぽい粉のようなものがかかっていますが、それは”カラスミ”なのです。
裏側に隠れていてわかりづらかったのですが、この通り、”いくら”と”キャビア”が添えてあったのです。
これらを混ぜ合わせて食べるのですが、ふた口でなくなってしまいますが、絶品でした。
”白子”、”カラスミ”、”いくら”、そして”キャビア”を使ったそうめんなんて贅沢の極みという感がします。
”桜鱒”とふき味噌
”春”という季節感を捉えた食材を使った一品になります。
”鱒”(マス)は馴染みがありますが、”桜鱒”(サクラマス)というのははじめて聞かされました。
色合いは桜色とでも言ってよいと思いますが、身はややしっかりしていて焼き加減が良いのか、ふっくらしていました。
それにふき味噌をつけて食べますが、ふき味噌がなかったら味に物足りなさずあったかも知れません。
”桜鱒”は川から海に下った後、1年後に生まれた川に戻ってきたのを言います。その戻って来る時期が桜が咲く頃であること、もしくは身が桜色であることから、そう呼ばれるという。
ちなみに、川から海に下らずに川に残るのは”ヤマメ”と呼ばれます。また、”桜鱒”は新潟県では”本鱒”(ホンマス)とも呼ばれます。
ちょっと気になったので調べてみました。
「越乃寒梅」の後、他のお客さんが飲んでいたのが気になって追加したのが、この『きりんざん』(※3)の「グリーンボドル 純米」である。
『ふくらみのある味わいと、キレのあるのど越しが特徴。』(※3)だそうで、『辛口のしっかりとした旨みを堪能できる純米酒です。』(※3)
と言うだけあって、ひと口飲んだだけで「越乃寒梅」の「純米吟醸 灑」とは違って、クッ!と辛口感が利いていて、いかにも日本酒という味わいのある冷酒である。
「越乃寒梅」(石本酒造)も『きりんざん』(麒麟山酒造)も新潟県の日本酒になりますが、それ故に「新潟県は美味い日本酒が揃ってるなー♪」とつくづく思いました。
これは(黒)トリュフのスライスを出汁で炊いたご飯の上にかけているところです。
トリュフご飯
このトリュフご飯が食べたくなって『はらまさ』にやって来たので、これを食べなければ意味がないのです。
今までトリュフに出会うことはありましたが、イマイチ香りがわからないままにありました。
その点、『はらまさ』ではたっぷりとかけてくれるためか、トリュフの香りというものをはじめて確かめることができたように思えます。
トリュフそのものを食べると特に美味しいという感想はなく、トリュフは香りなんだという気がしました。
そんなことが実感できたトリュフご飯になります。
はっきり言って美味でした。
一杯目はシンプルにトリュフご飯を食べ、二杯目はトッピングをお願いしたところ、”雲丹”と”牛肉”がのって、そこにタレのようなものをかけた上に”卵黄”がかけられ、その上にトリュフのスライスをこんなにかけてくれました。
見てるだけで、口の中が「じゅるじゅる」として来ます。
いったいどんな味わいなんだろと想像できませんでしたが、贅沢の極みであり、美味でした。
ちなみに、トリュフご飯がまだ少し残っていたのを三杯目として食べたところ、この三杯目のシンプルなトリュフご飯がいちばんの絶品でした。
デザート
食後のデザートは、ババロアとイチゴ、緑色の粉は抹茶でした。
<お知らせ>
『はらまさ』(※1)は片町2丁目から四谷4丁目に移転しています。
※1 はらまさ
https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130903/13151542/
※2 越乃寒梅 純米吟醸 灑 - さい -
http://koshinokanbai.co.jp/product_11.html
※3 麒麟山 辛口シリーズ
http://www.kirinzan.co.jp/lineup.html
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