WOWOWオンデマンドで視聴した映画の感想です
☆あらすじ☆
1942年、ナチスドイツに捕まり、大勢の同胞とともに処刑される運命にあったユダヤ人青年のジル。自分はペルシャ人です、ととっさに嘘を言ったことから命拾いしたジルだったが、その後彼はユダヤ人強制収容所に連行され、折しもペルシャ語を習いたいと思っていたナチスの将校、コッホ大尉に言葉を教えるはめに。かくしてジルは、偽のペルシャ語の単語を幾つもその都度自らこしらえて記憶しながら、命懸けのレッスンを開始する。
(WOWOWより)
2020年ロシア・ドイツ・ベラルーシ合作映画。
観るべき映画がないかオンデマンドで探していたところ、あらすじにひかれて視聴してみました。
ナチスに捕まり処刑寸前だった主人公のジルは、自分はユダヤ人ではなくペルシャ人であるととっさについた嘘で命拾いする。
そして収容所に連行されたジルは、ペルシャ語を学びたいクラウス・コッホ大尉のもとへと連れていかれる。
(いかにも怖そうな大尉…)
ペルシャ人だという嘘がバレたら命はない状況で大尉にペルシャ語を教えることになってしまったジルは、昼は料理番に従事しながら
夜はマンツーマンでペルシャ語のレッスンをすることに…。
しかしペルシャ語の知識は皆無のジル。
必死に偽ペルシャ単語を作り出し、大尉に教授する綱渡りの日々が始まりました。
果たしてジルは生き延びることができるのか…?というお話。
戦争映画に詳しくはありませんが、過去に観たホロコーストを扱う作品としてパッと思い浮かんだのは『戦場のピアニスト』と『ライフ・イズ・ビューティフル』かな。
ユダヤ人への扱いが同じ人間に対するものとは思えなくて辛くなりますが、どちらにも共通するのは生きることを諦めず必死に難局を乗り越えようとしたユダヤの人々の姿が描かれていること。
そしてこの『ペルシャン・レッスン』もまた然りです。
本作では、ユダヤ人の主人公目線だけでなくナチスドイツ軍の兵士たちの素顔も描かれています。
単なる狂信的で非道な人間ではなく、彼らもまた恋もすれば歌も歌うような普通の人々であったことが分かります。
彼らには普通の人間としての日常がある一方、その対極のようにユダヤ人の命がいとも簡単に奪われていく様子が残酷に感じました。
そしてそんな不条理に「普通の人間」が加担していることの恐ろしさも痛感しました。
コッホ大尉は別れた兄がいるテヘランに行き、そこでレストランを開くことが夢だと語る。
そのためにジルが作った偽ペルシャ語を必死に覚えていくのでした。
最初はペルシャ人と偽っていないかと疑っていた大尉の信頼を、ジルが徐々に勝ち得ていくストーリー展開がよくできているなぁと思いました。
偽ペルシャ語を教えるという綱渡りが図らずもジルの身を助けることになったりする。
不安そうな見た目からは想像できないくらいジルの肝の据わり方が常に凄いし、記憶力も凄すぎです。本人は必死だったでしょうけども…
嘘がバレることへのハラハラが常に緊張感をもたらしている作品でしたが、最後のオチまで完璧でした。
観終わったあとは、うわぁ~そうきたか…という言葉にできない複雑な気持ちに。
そして、偽ペルシャ語に最後は胸がグッときました。
戦争映画としては異色な描き方が面白い作品でした。