韓国ドラマ『錐(キリ)』 | キムチの備忘録♪

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先日観終わったドラマの感想です。

 

錐(キリ) 全12話(GYAO!で視聴)

 

☆あらすじ☆

気弱で臆病者だが、生まれつき不義と不合理な状況は我慢できない人物、 イ・スイン(チ・ヒョヌ)。 最も厳格であるべき軍隊での不条理に耐えられなかったスインは結局、除隊を選び、 社会に出て、外資系流通会社に就職、大型スーパーのマネージャーとして勤務する ことになる。会社は手段と方法を選ばず、全面的に非正規販売職を追い出すことに 躍起になっていた。そんな会社の不義を見ていられず、社会の不条理を結局、突いて しまった<錐>のようなスイン。 会社からの圧迫と対立という絶望的な状況の中で、 スインは労働相談所を訪れ、そこでク・ゴシン所長(アン・ネサン)に出会い、労働法を 武器に不条理を強要する社会と戦うことになる。抑圧された社会を<錐>のように突き、 労働者たちが忘れたままとなっている、自らの権利を取り戻してあげようと、スインの戦いが始まる…。

アジアドラマチックTVより)

 

 

2015年韓国ドラマ。

良い予告編が見つかりませんでしたが…取りあえずこんな雰囲気の作品↓

ざっくり言うと、大手スーパーの不当解雇命令に対し労働組合を結成して立ち向かう従業員達のお話です。

 

 

 

ひらめき電球主な登場人物ひらめき電球(Wikipedia参照)

イ・スイン(チ・ヒョヌ)

フルミマート・イルトン店の野菜青果課課長。元将校。

突然の非正規社員解雇命令に反発し、労働組合を結成する。

フルミ労働組合イルトン支部事務局長。

 

ク・ゴシン(アン・ネサン)

プジン労働相談所所長。社労士。

スインの相談を受け、フルミ労働組合イルトン支部の後ろ盾となる。

昔警察で受けた拷問の後遺症で慢性腎不全を患っている。

 

チュ・ガンミン(ヒョヌ)

野菜青果課主任。

いつも笑顔で従業員からの信頼も厚い。

フルミ労働組合イルトン支部支部長。

 

ファン・ジュンチョル(イェソン)

水産課主任。

チュ・ガンミンとは昔からの親友。

フルミ労働組合イルトン支部組織部長。

 

ナム・ドンヒョプ(パク・シファン)

野菜青果課職員。

フルミ労働組合イルトン支部教育宣伝部長。

 

チョン・ミンチョル(キム・ヒウォン)

イルトン店新鮮食品部部長。

上層部からの指示で各課長に非正規社員の解雇を命令し、それに反発する労働組合員を弾圧する。

 

ムン・ソジン(キム・ガウン)

サムジン社の労働組合員。

プジン労働相談所に居着いて無給で仕事を手伝っている。

 

 

 

 

 

いや~凄く見応えある作品でした!

悲惨な設定の韓国ドラマは数あれど、フィクションを観るのとは全然違う重みがこのドラマにはありました。

非正規社員の扱いとか労働者の弱い立場をこれでもかと突き付けられる内容で観ていて本当につらかった…。

しかも実際にあった闘争を題材にしているそうです。

 

いろいろ考えさせられるというか考えを改めさせられることが詰まっていました。

多くの労働者は自分がどのような雇用契約を結んでいてどんな権利を持っているのかも知らないままに働いていて、いくら尽くしたとしても無知であれば結局会社の都合のままに切り捨てられる可能性もある。

でもそれじゃいけない!簡単に切り捨てさせるな!って闘っていくのが本作のテーマになっています。

 

本作に根本的な悪人はいないと私は思っていて、対立構造にはなっていますが皆自分の立場とか生活を守る為に必死なだけなんですよね。当たり前のことだと思います。(会社側の対応は本当に酷いと思いますが)

家計を支えるパートのおばちゃんの切実さも分かるし、管理職として首を切る立場の人間も、切らなければ自分が切られるという恐怖があるし。

ただ立場の違いで対立しているだけなので、皆苦しい思いをしています。

さらに闘争が長引く中で組合員も疲弊してきたり不協和音が生じたり…出口の見えない泥沼状態。

 

 

 

1話1話観終わるたびに心にズシンとくるものがあってしんどかったですが、キャストの熱演も相まってとても良いドラマだったと思います。

 

まずはク・ゴシン役のアン・ネサンさんの存在感が凄かった。いくつかのドラマで拝見した中で、個人的には『ハイキック3』の面白おじさんなイメージが強いです。今作ではそういったコミカルな部分もありつつのシリアスさを併せ持った演技が素晴らしかったです。演説する場面が特に引き込まれました。影の主役とも言うべき人物でした。

 

チョン・ミンチョル部長役のキム・ヒウォンさんは『疑問の一勝』での良い刑事さん役で拝見したのが記憶に新しいですが、今回は解雇の命令を下す役ということで。労組にとっては完全に敵でしたが、上と下の板挟みで苦悩する役を好演されていました。

 

労組幹部となる従業員3人も良かったです。

チュ・ガンミンは笑顔が魅力的で頼れる存在として従業員からの信望も厚い人でしたが、ヒョヌさんの安心感ある柔らかい雰囲気が素敵でした。こんな人と一緒に働きたいなぁって思いました。

ファン・ジュンチョル役はSUPER JUNIORのイェソンさん。このドラマを観ようと思ったきっかけはイェソンさんでしたが、今作がドラマ初出演とのこと。『ボイス』の時も好演していましたが、気弱でお人好しのジュンチョルもとても良かったです。さらにイェソンさんはOSTにも参加しているので、素敵な歌声も必聴です!

ナム・ドンヒョプ役のパク・シファンさんのお名前、どこかで聞いたことあると思ったら歌手の方だったんですね。もしかしたら音楽番組で観たことがあったのかも。今作のOSTにも参加しています。素敵な歌声でした♪

その他、労組の中心となっていくおばちゃん達も皆さん好演されていました。

 

そして主役のイ・スインというキャラが凄く良かった!

生真面目で人当たりが良くないので超石頭とあだ名されたりして疎まれがちな人物なんですが、不条理を見過ごすことが出来ない人。だから、決して気が強いわけでも鈍感なわけでもないけれど、傷つくと分かっているけれど、闘わざるを得ない。そういう性分の人なんですね。

スインは元将校なので要所要所で軍隊時代のシーンが入るんですが、彼の不器用だけど清廉な人となりがよく分かる場面でした。

ほとんどの人が自分を守ることに必死な中、自分の首をかけて他人の為に闘えるって本当に立派だ。

最初は疎まれていたのに、スインの見せる誠実さがやがて大きな輪を作っていくのが感動的でした。

チ・ヒョヌさんは今作がお初でしたが、とっても素敵でした~!見た目も結構好き…かも。別の作品も観てみたいですね。

 

 

 

最後はまるっと解決、ハッピーエンド(^^)

…とはなりませんでした。それもまたリアル。

ですが、関わった皆が働くことへの意識が変わったんじゃないかな。私のような視聴者も含めて。

決して楽しい気分で観られる内容ではありませんが、得るものは必ずあるドラマだと思います。

是非多くの方に観て頂きたい作品です。