☆解説&あらすじ☆
筋ジストロフィーにかかりながらも自らの夢や欲に素直に生き、皆に愛され続けた実在の人物・鹿野靖明さんと、彼を支えながらともに生きたボランティアの人々や家族の姿を描いた人間ドラマ。
北海道の医学生・田中はボランティアとして、身体が不自由な鹿野と知り合う。筋肉が徐々に衰える難病・筋ジストロフィーを12歳の時に発症した鹿野は、いつも王様のようなワガママぶりで周囲を振り回してばかりいたが、どこか憎めない愛される存在だった。ある日、新人ボランティアの美咲に恋心を抱いた鹿野は、ラブレターの代筆を田中に依頼する。しかし、実は美咲は田中と付き合っていて……。
(映画.com解説ページより)
私、実はあまり闘病する映画を観に行かないんです。
元々かなり涙もろい質ではあるのですが、感動の押し売りが透けて見える映画が好きではなくて。
もちろんこのストーリーは実話ですし、ただ悲しい話ではないと感じたのと主演が大泉洋さんだったので観に行きました。
12歳のときに筋ジストロフィーと診断され、この病と闘ってきた鹿野靖明さんのお話です。
彼は自立生活をするため病院や家族に頼らず、24時間多くのボランティア達と生活していました。
観ていると最初はわがまま放題言っている彼にイライラしましたが、ところどころで彼の言葉にハッとさせられる瞬間があるのです。
障害者だからと多くの人が諦めてしまっていることを鹿野さんが諦めずに実現し、自分らしい生き方を貫こうとしていること。そして彼の生き方は同じような病気と闘う人達を勇気づけているのでした。
“人に迷惑を掛けることを恐れない”
鹿野さんの言葉ですが、これはとても大事なことだと思いました。
人は誰しも一人では生きていけないですし、お互いに迷惑を掛け合って生きています。
その事を彼は人一倍よく知っています。
誰かに頼るのは悪いことではありません。
その代わり常に感謝の気持ちを忘れずに生きられれば、こんな素晴らしいことはないですよね。
この作品ではいろんなことを考えさせられました。
まず第一に介護の問題ですが、今の日本では医療制度的に子が親を、または親が子を介護しなければならないという家族への負担が非常に大きい。そして風潮的にも家族が介護すべきだという考えが根強く残っていますよね。
鹿野さんの生き方はそんな現状に風穴を開けたのだと思います。
その意味でもこの話が映画化された意義はとても大きいのではないでしょうか。
そして鹿野さんとボランティアの方々との絆、そしてご両親との絆にじ~んとしました。
ボランティアの方々は一方的に鹿野さんを助けているように見えて、実は支えている彼らも鹿野さんから多くを学び精神的に支えられていたのだと感じました。
そしてご両親が本当に素晴らしいなと思いました。本当は息子を近くで支えたいし会いたいけれども、鹿野さんの意思を尊重してずっと遠くから見守っていました。
しかし両親を遠ざけていた鹿野さんも本当は甘えたいけれど親の重荷になりたくない気持ちもあり、それはきっと言葉にしなくてもお互いに伝わっていたと思います。
そういう場面は自然と目頭が熱くなりました。後半はずっと半泣きで観ていたような気がします(笑)
役者さんも全体的に凄く良かったです。
大泉さんの人を惹きつける力ってやはり凄いなぁと感じました。鹿野さんを演じたのが彼だったから、わがまま放題しても愛されるキャラクターになったのだと思います。役作りの為にかなり減量されたのも凄い。
三浦春馬さんや高畑充希さんも良かったし、萩原聖人さんをはじめボランティアの方々の温かい人柄が伝わってきて皆さん素敵でした。
ご両親役の竜雷太さんと綾戸智恵さんも良かったなぁ。
不自由な事も出来ない事も健常な人に比べて多かったけれども、今なお多くの人に愛され続けている鹿野さんはきっと幸せな人生だったんじゃないかなぁと思います。
彼の生き方を見て、自分らしく生きることについて改めて考えさせられました。
世代問わず多くの方が共感できる作品だと思います。