先月、久しぶりに有休が取れたので前から行こうと思っていた場所へ行ってきました。
地下鉄の淀屋橋駅から徒歩にて
途中、
大阪府立中之島図書館
大阪市役所
などの立派な建物を通過し、到着。
大阪地方裁判所
大阪地方裁判所は、大阪高等裁判所ならびに大阪簡易裁判所との合同庁舎となっています。
ところで、裁判所の石垣のところに石碑が。
ここは昔佐賀藩蔵屋敷があった場所のようです。
裁判所の中に入ると、入口で空港の保安検査場のようなセキュリティゲートと手荷物検査がありました。
以前来た時には無かったのですが、今年から行われるようになったようです。
と言ってもそれほど入念に調べられることもなく、あっさりと通過しました。
入口の横にある開廷表で、この日行われる裁判の一覧を確認することができます。
開廷表には事件名、被告人名、法廷の番号、審理の段階(新件・審理・判決)が書かれています。
裁判には刑事裁判と民事裁判がありますが、民事裁判は分かりにくいことも多いようですので刑事裁判を見ることにしました。
そして、こちらの建物では地裁と高裁があるのでどちらも見ることができますが、高裁は地裁で行われた内容を把握していないと分かりづらいと思われますので、今回は地裁を傍聴することにしました。
ちなみに法廷内の様子はこんな感じになっています。
そして、刑事裁判はこのように進められていきます。
(裁判所ホームページの法廷ガイドより)
この日傍聴した裁判は5件。
簡単に雰囲気や内容などを書いてみたいと思います。
①出入国管理及び難民認定法違反(新件)
裁判開始予定時刻の少し前に傍聴席に座ると、すでに検察官や弁護人は席についていました。
私の他にも傍聴人が何人か座っていました。法廷内は静かな緊張感が漂っています。
よくテレビで観るような光景にドキドキしながら開始を待ちます。
それから両側を刑務官に挟まれながら手錠と腰紐を付けられた男性が連れてこられ、被告人は手錠・腰紐を外され弁護人の前の席に座ります。
しばらくすると裁判官(30代ぐらいの若い女性)が入廷し、全員が起立、着席をし裁判が始まりました。
被告人は証言台へ立たされます。
冒頭手続では被告人の氏名や住所の確認から始まり、検察官の起訴状朗読、裁判官による黙秘権の告知がされた後詳細なやりとりが始まります。
今回の被告人はベトナム人のため、裁判で話されている内容を被告人に伝える通訳の方がいました。
冒頭手続きが終わると被告人は席にもどり、通訳用のイヤホンを付けて座ります。
検察官(インテリな雰囲気の若そうな男性)が事件の詳細を述べてゆくのですが、これがもの凄い早口で聞き取りづらい上に通訳の声も同時に聞こえてくるため何を言っているのかよく分からない所が多々ありました(笑)
事件のあらましとしては、ベトナムから日本に留学の為に入国した被告人はアルバイトをしながら語学学校を卒業。その後別の学校に入学しようと考えたが、ベトナムの父が病気になったため一時帰国する。
その後父が回復したため再び日本に戻るも入学の手続きの期限が切れていたが、借金の返済の為日本にとどまりアルバイトを続ける。
その間に在留カードの期限が切れたが、偽造カード(5万円でネットで購入)で日本に滞在し続けた。
彼はベトナムの実家や子供に仕送りをし、家族の生活を支えていたそうです。
今後はベトナムに戻って働きながら借金を返したいと言っていましたが、ベトナムの賃金は日本に比べ安いので返済にはかなり時間が掛かるのだとか。
弁護人(若い女性)は情状酌量を求め、早く家族の元に帰れるように訴えていました。
検察側の求刑は1年6か月でした。
判決は後日、日付を決めて終了でした。
もちろん犯罪には違いないのですが、一人家族の為に日本で稼ごうとした結果罪を犯してしまい、裁判にかけられる被告人を見ているとなんだか気の毒な感じもしました。
②建造物侵入・窃盗未遂(新件)
大阪地裁には本館以外に別館や新館もあります。
こちらの裁判は新館でした。新しいだけあって清潔感がありました。
先ほどの法廷よりも一回り小さく、検察官と弁護人の席が左右逆の配置になっていました。
今回の被告人はまだハタチそこそこの若い男性でした。
某ホームセンターに夜間侵入し、園芸コーナーのレジで金品を物色したが見つけられなかったので窃盗未遂となった。
なお、レジ小屋の窓ガラスが割られており、防犯カメラに被告人が写っていたため逮捕に至った模様。
そしてなんと彼、妻がいるらしい。九州で暮らしているらしい…次回の審理では妻が出廷するようだ。
事情があるにせよ、先輩の家に居候している上に盗みを働こうとした被告人…ちょっと考えが甘いんじゃないの?と思わざるを得ませんでした。嫁さんが可哀想。
ここでお昼になったので、本館の地下にある食堂でランチタイム
このような社員食堂のような学食のような素朴な食堂でした。
お値段もリーズナブル。
丼ものや麺類、一品物など。麺類はここ、みたいな感じで書かれているのでそこへ行って注文します。
私は「特急弁当」というすでに出来上がっているお忙しい人向け(?)の弁当にしました。
味噌汁が付いて500円です。この日は、照り焼きハンバーグ弁当でした。
味は、まぁ普通です。
そうそう、1件目の裁判の早口検察官の方も食べにいらっしゃっていましたよ。
お昼の時間は裁判も無いので、しばらくぶらぶらと裁判所内を歩き回ったりして時間を潰しました。
午後一時を過ぎ、またいくつか傍聴しました。
③準強制わいせつ(判決)
こちらは1件目と同じ法廷でした。裁判官、書記官、検察官はその時と同じメンバーでした。
判決の場合は被告人を証言台に立たせ、裁判官が「主文、被告人を懲役〇〇に~」と刑罰が言い渡され、その後判決理由を読み上げるという流れになります。
被告人は60~70代ぐらいのおじさんで、タクシーの運転手。
乗客の女性が眠りこけているのに乗じて、服の中に手を入れた容疑であった。
この被告人は過去にも同じような事件を起こしており、常習性もあったらしい。
懲役3年4か月の判決。
判決文を読み上げた最後に、判決に不服がある場合は控訴できる旨が述べられて終了でした。
わずか5分程で終わりました。
④覚せい剤取締法違反(新件)
ちょっと印象的だったのが、若そうな裁判官の男性の口調がとてもやさしげだったこと。
被告人に対して丁寧で穏やかに話しかける感じの方でした。色んな法廷を見ると裁判官や検察官や弁護人にもそれぞれ特徴があったりして面白いのかも知れませんね。
被告人は60代ぐらいのおじさん。
大阪のホテルで注射器で覚せい剤を使った容疑。
被告人は元暴力団員で前科7犯、17歳頃から覚せい剤を使用していたという。
こう言っちゃあなんですが、見た目からしてワルそうに見えました。
被告人質問の時には「親兄弟に申し訳ない」と言っていたものの、「住む当てや仕事は兄次第」(以前からとび職をしている兄の下で世話になっていた)など人頼みな考えの被告人。
しかも前回の出所からわずか8か月での再犯。
兄は金品の差し入れはしてくれたものの、拘置所には1度も面会に来なかったという。
当たり前ですよ…差し入れがあっただけでもありがたく思わなくちゃ。
検察側は懲役3年を求刑し、弁護側は自力で薬物を断つのは難しいので更生プログラムで社会復帰をしてもらいたいと述べていました。
正直、出所したら絶対またやると思いました…
⑤住居侵入・強姦致傷・邸宅侵入・強姦(判決/裁判員裁判)
一度見ておきたいと思っていた裁判員裁判があったので傍聴してみました。
先ほどまでの法廷と比べて広く、傍聴席も多く記者席もありました。傍聴人も多くて注目度の高さがうかがえる裁判でした。
そしてビデオカメラがセットされていて、録画されるとのことでした。
裁判員は一番最後に入廷し、裁判官の左右に3名ずつ席につき公判が始まりました。
裁判員は男女年齢も様々でした。
被告人の男は背がひょろっと高くて、大きなマスクをしていて目以外隠れていたため顔はよくわかりませんでした。
判決文では具体的な場所や被害者の方の名前は伏せられており、事件の全容も分かりませんでした。
分かったのは被告人が複数の家に侵入し、被害者の寝込みを襲ったり、暴行を加え、脅し、強姦に及んだこと。
そして被害者が性行為に同意をしたかのような、自分に都合の良い供述をしたこと。
「女性を支配したい」など歪んだ感情を持っていたこと。
このことから、裁判員や裁判官は被告人が充分に反省をしていないという判断に至ったとのことでした。
懲役11年の判決でした。
正直この年数が長いのか短いのか全く分かりませんが、被害者が心に負わされた傷を考えると、一生後悔しながら生きていって欲しいと思いました。
なお、判決に不服がある場合は控訴できる旨が述べられて公判は終了しました。
先ほどの判決公判よりも長く、20分で終了となりました。
もう何年も前に一度だけ大阪地裁で裁判を傍聴したことがありましたが、今回本当に久しぶりに訪れました。
また来たいなと思っていたのですが平日が仕事の会社なので、傍聴に来ることがなかなかできませんでした。
他人の不幸をのぞき見するようで申し訳ないと思いつつ、色々と考えさせられたりすることもあったのでやはり来てよかったと思いました。
それに法の裁きを受ける事がいつ自分の身に降りかかるとも分からないですし、裁判員制度がある限り自分も裁判に関わる日が来るかも知れませんからね。
周りの人に裁判を傍聴したよという話をすると、予約は必要なのか、勝手に見ても良いのかと聞かれました。皆興味はあるようだけど、実際行くとなると分からない事が多いかと思います。
基本的に傍聴は予約は要りませんし、出入りも自由です。(一部傍聴券が必要な場合も有ります)
一度行くと勉強になることはきっとあると思うので、気になっているけど行ったことが無いという方はぜひ傍聴に行ってみてくださいね