自分でもなぜこんなにタイに行きたいのか説明がつかない。2009年に初めて行ったその時から、なぜなのか理由も分からないまま特別な国になってしまった。チェンマイとプーケットしか知らないので、私にとってタイはその二つの場所ということになる。


2009年は手酷い失恋をした年で、忘れられない。あの時の胸の痛みは、初めて味わったものだった。あれほど誰かに否定されたことはそれまでなかったから。


そういうもの一切合切がタイへの旅によって癒された。タイは、タイの人々はおおらかだった。マイペンライの国の人々。救ってもらった。


今は、もちろん2009年のタイではない。私ももう12年、ひと回り生きてしまっているのだ。当たり前だが、あの時救ってくれたタイと同じタイはもう存在しない。


それでいい。それでも行きたい。救ってもらいに行くなとど考えてもいない。


イギリス、アメリカ、イタリア、インドネシア、香港、これが私の行ったことのある国の全て。その中でなぜタイなのかを問うのは、なぜ生きるのかを問うのと同じようなことかもしれない。


後悔を残さずに、やりたいと思ったことを逃さずに、心の奥の声に従ってみようと思う。