海辺の奇岩城

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イタリアのパイプメーカー CASTELLO のラスティックグレード SEA ROCK BRIAR を中心に紹介していきます。
その他のパイプもたまにはあるかも。
不定期、のんびり更新で。

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非常に人気の高いカステロのオリジナル“ホークビル”シェイプ、84番です。

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第二次大戦後に創業したカステロ社のオリジナルシェイプである84番は、その特徴的な、通常のベントスタイルとは逆反りのシャンク・ステムを鷹の嘴に見たててか“ホークビル”と呼ばれています。
このホークビル、今では一つのシェイプとして普及し、幾多のファームや個人作家がそれぞれのアレンジやバランス感覚を駆使して作っているシェイプですね。
もしかしたら、最も新しく加えられたクラシックシェイプと言ってもよいのかも知れません。

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このシェイプを取り入れたフォロワーの中には、その素晴らしい力量を存分に発揮され、「カステロの84番より余程いい」との評価を受ける作家さんもおられ、又、その作品を拝見するにつけ「さもありなん。」と思わされもするのですが、同一シェイプナンバーの中での造形の振れ幅が大きいカステロ故か、当個体のようにビシッと極まるところが極まれば、やはり他の追従は許さないなと贔屓を引き倒しながら先へ進みたいと思います。
しかしweb上の画像を見比べるとカステロの中てもシェイプのブレが大きいほうに属すると思いますね、84番。
そしてこの個体は想定外の難物でありました…。

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刻印は 84 CASTELLO SEA ROCK BRIAR kkkk MADE IN CANTU ITALY CARLO SCOTTI

ステムに HAND MADE CASTELLO

オーバルの中に小さなKが打たれており、シェイプナンバーがあることから80年代から90年代の作品かと思われます。

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最初に手に取って眺めながら、「ステムのインナーチューブサイズコードは摩滅かなあ?」と考えていました。
一通りの外観チェックを終えてそのリップ周りの造りは相変わらずアレたが「シュッ」と擬音が聞こえてきそうな程カッコいいステムを抜いてみたところ…。

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細いんです、ダボが。ええ、そりゃあもう。
おまけに短い。
上の画像は右からインナーチューブサイズコード5番の物、同3番、そしてこの個体です。

このテノン径による制限によってステム内煙道も細く、それに合わせるようにシャンク内煙道も細く仕上がっています。
清掃後のチェックでもシャンク内煙道はBJ Longの一番安くて細いモールがスリリーっと軽い摩擦抵抗を感じながら通るサイズ。空吸いしてもやや抵抗感があります。
ま、実際にタバコを吸うのに困るようなものではありませんが、ズドンと太いエアホールによる軽いドローはカステロの大きな美点だと思っていますので少し残念ではあります。

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上下に押し潰したキャッツアイ断面のシャンクを逆反りにセットした形状からエアホールの通り道はピンポイントとならざるを得ないんでしょうが、現代作家の緻密な、もしくはわりとおおらかに造ってあるのにこうした内部構造の正確さには抜群の冴えを見せる…、といった作品と見比べると、少しばかり見劣りしますかねえ。

この個体は84番の中でもシャンクのベントが深いタイプに属しますので、もう少し穏やかなベント角を持つ個体ならまた違うのかも知れません。
またシャンクの蹴り上げの強いタイプの中でも当個体だけの特徴かもしれませんが、如何に?

この細い煙道なれば当然のようにインナーチューブはオミットされており、インナーチューブサイズコードは
実際の仕様に合わせて最初から打刻されなかったと考えるのが自然ですね。


もう一つ、この個体に関しては少しばかりの中間煙道となっております。
ボウル底が若干の焦げにより深くなった可能性もありますが、やはりちょっと作るのがややこしいディメンションであるように思えますね。

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と、難癖を重ねてまいりましたが、どう悪口を擦り付けたところでカッコいいもんはカッコいいのでありまして、手触りのよいラスティックに纏ったタンステインはタールの浸透からか下地のグレインの流れを感じさせる部分もあり、まあ、いつの日か吸ってみようと考えながら眺めまわし撫でまわるには最高の一本であります。

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