「あんたのとこへなんか

これっぽちも行く気はないんだから」


 ゲオルグが舌打ちしたその時

助け船が現れた

 

 

恋の行方(13)

 

 

「どうしたの、マヌエラはてなマーク

 

「あ、シュテファン」


 シュテファンはマヌエラとゲオルグの間に割って入り、

 

「何か御用ですか、代官代理」と尋ねた

 

動揺したゲオルグは

眉をしかめてシュテファンを睨みつけた

 

「お前は誰だはてなマーク

 

「ここはあなたの管轄外だから

答える義務はありませんが……

僕はエメッテンのシュテファン・バウムガルテン」


 ゲオルグの目をまっすぐに見て

シュテファンは答えた

 

「エメッテン……ということはニトヴァルテンの者か

ここで何をしているはてなマーク

 

「三圃制を学習しています」

 

「三圃制はてなマーク


 三邦内では

今や当たり前のように使われるようになった三圃制だが

ゲオルグは耳にしたこともなかった

 

「周りを見てください」


 シュテファンは

ゲオルグの背後を指していった

 

「今、このあたりの畑にいる若者の多くが

ウンターヴァルテンの者たちです」


 ゲオルグは

ここへ来る途中に見かけた農夫たちの多くが

若いことに気づいていた

 

だが、このあたりのブドウ畑のあちこちに

若い農夫が散見される事に

全く違和感を覚えていなかった

 

なるほど、ベリンゲーの農園に働く農夫らは

そこまで若い者たちばかりではない

 

「新しい農法をウンターヴァルテンに持ち込んで

より豊かな土地にする為に

ウーリに来て学んでいるのです」

 

 

つづく