旅立ち(4)

 

「きょうも清々しい朝ではあるな……」

 

ブラウベルクの血痕が床に残る食卓で

朝食を済ませたゲスラーは

窓から外を見ていった

 

微かに残った血の匂いのために

ゲオルグは朝に食べたものが今にも

ノドもとまであがって来そうになっていた

 

生唾を飲み込み、どうにか床を汚さずに済んだ

 

信じられない……ゲスラー様は

血の痕など平気なのだ

 

しかし、いくら大丈夫だといっても

早く掃除をして気持ちよく

食事をしていただかねばならないのではないか

 

「しかし、気分がすっきりせんな

ビュルグレンの動きはどうか、ゲオルグはてなマーク

 

やはり血の匂いはお嫌いなのだ

 

「あ、はいビックリマーク

ビュルグレンにもブラウベルク処刑の話は伝わりました

が、テル親子の様子は、特に変わったことはありません

まだ、知らないみたいです」

 

部屋の隅にいたゲオルグは

ゲスラーの近くまで小走りで近寄ってきた

 

「それはいつの情報なのだ」

 

振り返りもせずにゲスラーはいった

 

ゲスラーがすっきりしないのは

血の匂いのせいではない

 

情報が足りないせいなのだ

 

ゲオルグにはそのことが分からない

 

「ええっと……昨夜の報告です」

 

――昨夜に入った情報か

……ならば昨日の午後の情報ということになる

 

「――とすると、遅くともきょうには知るであろうな」

 

 

つづく