「そこの立て札を読んでみろよ」といった

 

 

晒し者(12)

 

ヴィルは吊るされたブラウベルクの前に立った

 

悪臭が鼻をついた

 

一日中、太陽にさらされていたのだ

 

既に肉体の腐敗が始まっている

 

みぞおちの傷が致命傷なのがわかった

 

大量の血痕から

その傷が生前に負ったことをものがたっている

 

絞首刑ではなかったのか――刺し殺した後で

晒し者にするためにここに吊るしたのだ

 

「これはひどいな……」

 

ヴィルは立て札の前に松明を掲げた後

顔をしかめた

 

「まったくだ

吊るしてから、わざわざ腹を剣で貫いている

見せしめのためだろう」

 

「役職に在らざる企て……はてなマーク

 

ヴィルはハンスの言葉に耳を貸さず

立て札の記述に着眼した

 

眉をひそめ

 

「何のことか、見当はつくかはてなマーク」とハンスに問いかける

 

「いや、わからない」

 

ハンスは首を横に振った

 

「きのう、ビュルグレンで何かあったと聞いたが……

そのことと何か関係はあるのかはてなマーク

 

「どうだろう……

きのうはゲスラーがまたティナを城にあげろといってきたんだ」

 

松明をかざしながら

ヴィルは立て札の横から絞首刑台の後ろに回ってみた

 

レベッカがヴィルの後についていく

 

彼の影から

好奇心に満ちた眼でブラウベルクの死体を眺めている

 

「性懲りも無く……か」

 

ため息まじりにハンスがいった

 

 

つづく