レンマークからアデレードを経由し、メルボルンに戻ってきた時点で、セカンドビザを目指さない事にしていた僕のオーストラリアの滞在期間はあと1か月ほどとなっていた。このタイミングでメルボルンに戻ってきたのだから、ここから仕事を探すつもりは全くなく、代わりに2つの事をやりたいと思っていた。
そのやっておきたかった事の1つは日本に戻る前にメルボルンでできた友達やお世話になった人にもう一度会うという事。みんなそれぞれの都合があったのでみんなで一度に会う事はできなかったが、最初のセールス会社で友達になったビクトリア、最初のシェア先で唯一仲良くなれた中国人のレオ、メルボルンの高校で日本語の先生をしているマット、5か月強住んだセイントキルダのアパートの時のベトナム人のルームメイトのキャサリンとはそれぞれ個別にランチやディナーを共にして話をする事ができた。このメンバーと過ごした時間は本当にいい思い出だし、最後に再び会う事ができて嬉しかった。
以前働いていたトゥーラックロードのカフェにも顔を出しに行った。キッチンのチーフであるサイモンは「メルボルンに戻ってくる時は連絡してね!またここで働いてほしい」と言ってくれていて、実際にメルボルンに戻っては来たのだが、ビザの関係上もうここでは働けない。だけどやっぱりここも思い出の場所だから、直接会いたかった。残念ながらこの日はサイモンはいなかったが、僕がここに勤めていた時に一緒に働いていたメンバーの何人かには会う事ができた。マネージャーのダニエルとポール、ウエイトレスのグレイス、それからキッチンで一緒に働いていた時間が最も長かったメンバーの1人である、ネパール人のシェフ見習いのスシ。(←もちろんネパール語の本名ではなくイングリッシュネーム(?)だが、なぜこの名前にしたのかは謎^^;)久しぶりに会ってみたら懐かしい気分になってきた。
オーストラリア滞在の残り期間でここを訪れるのも最後だし、挨拶だけでなくここで食事もしていこうと思った。ポールは最初僕がまたここで働けると思っていたようだったが、そうではない、セカンドビザがこういった事情で取れていないので、そもそもオーストラリアにこれ以上合法的に滞在できないのだという旨を伝えた。それを聞いたポールは少し残念そうにしていたが、その後も他のお客さんがいる中でも隙間時間を見つけては話しかけてくれた。僕の接客に当たってくれたウエイトレスはグレース。12月の終わりに日本からメルボルンに遊びに来てくれた日本の職場の時の同期のメンバー2人と一緒にこのカフェに来た時も接客してくれた子だ。僕がファーム探しの目的地としてレンマークかタスマニアかで迷っていた時も、それぞれの場所のいい所を地元オーストラリア人の視点で話してくれたのがありがたかった。今回戻ってきた時も、僕がセカンドビザの発給に至らなかった経緯を聞いて、外国人として滞在をする際に発生するビザの問題の難しさに理解を示していた。
今回僕が注文したのはリゾット。味はよくて食事自体は楽しめたのだが、サイズも特別大きいわけでもないこれ一皿だけで27ドルもする。はぁ~高いのう。これでもメニューの中ではけっこう安いのを選んだんだったんだが。日本でも普段外食しないもんだから余計に高く感じる。でもこんな値段設定だからこそ、僕みたいな下っ端のキッチンハンドにでも時給15ドル払えてたんだよな~。しかもそれでも最低賃金を下回った違法賃金だという。日本なんて時給千円超えてたらけっこういい時給ってイメージだもんな~。
お会計を済ませ、帰る前にキッチンにも顔を出すと、そこではかつての同僚であり先輩でもあるスシがせっせと仕事をしていた。スシもオーストラリアの出身ではなく、僕と同じくこの国の外からやってきた人間だったため、僕のセカンドビザに至らなかった経緯をよりディープに理解できていた様子だった。スシは元々オーストラリアには学生ビザで来ていて専門学校でAccountingを勉強していたが、シェフになると決めて以前の僕と全く同じキッチンハンドの身分からスタートして、今はいずれオーストラリアで正式なシェフになるべく見習いシェフとして奮闘中である。この前誕生日が来たばかりでまだ21歳。ペイヴァンの時もそうだったが、10代の時に既にオーストラリアに移住すると決めて乗り込んでくる発展途上国出身の人たちは珍しくないんだなぁ。
僕との話のために少し手を止めてくれたスシは写真撮影やFacebookの交換にも応じてくれた。今でもスシの近況がアップデートされると、住んでいる場所や人生の目標は違うながらも、あぁお互い頑張ってるんだなぁと感じさせられる。