5月15日の金曜日にレンマークを出て、バスに乗る事4時間、アデレードに到着だ。アデレードセントラルバスステーションで翌日の土曜日の夜出発のメルボルン行の夜行バスを予約した。前回も今回もアデレードに来た目的はメルボルンとレンマーク間の乗継のためだ。前回は単なる中継地点とはいえ、初めて訪れる場所なので、せめてCBD内ぐらいはトコトコ歩いて見て回ってみようかなと思い、そのための時間の余裕を持たせるために3泊したが、今回は本当にただの乗り換え地点としてしか考えていなかったので、今回の滞在期間はもっと短くてもいいなと思った。最初はアデレードに着いたその日の夜に夜行バスでアデレードを出発してメルボルンに向かってしまおうかなとも思ったが、休みを入れずに長時間のバス2連チャン(4時間と9時間)はキツイかなと思い、アデレードで1泊して次の日に出発する事にした。(バスの出発は夜なので予約しておいたのは2泊分だが)

 

アデレードに到着してからバスの発車まで特にやる事がなかった僕は、テキトーに時間をつぶすために図書館に行く事にした。アデレードのCBDにはState LibraryとCity Libraryの2つの図書館があり、この内City Libraryの方には英語に翻訳された日本の漫画がけっこうおいてあって、立ち読みし放題である。前回来た時はNARUTOを読んでいて、続きを読みたいな~とも思っていたので、ちょうどよかった。State Libraryの方はネットがやりやすい。無料WiFiはどちらの図書館でも使えるのだが、僕の持っていたパソコンはコンセントが差さっていないとロクにバッテリーがもたないので、まずインターネットをしたかった僕は、コンセントを差した状態でパソコンを使いやすいState Libraryの方へ向かう事にした。

 

図書館に向かう道を歩いていると、なんだか見慣れた光景が目に入ってきた。iPadと何かのパンフレットらしきものを持った男が通り行く人々に声をかけまくっているではないか。うむ、これは間違いなくセールスの人ですな。僕自身もセールスの経験があるので、無視して冷たく立ち去られる時のむなしさは知っている。だから特に急いでいなければこういうセールスの人に声をかけられたらとりあえず立ち止まって話を聞いてあげる事にしているので、今回も話しかけられたら止まってあげようと思っていた。案の定、セールスマンは僕にも話しかけてきた。Hi!と言いながら握手をするための右手を差し出してくる。インド出身の青年だ。彼は最初は「どこから来たの?」等のよくある質問をいくつかしてちょっと世間話をすると、「ところで僕は、絶滅危惧種の動物保護活動をしているんだ」と、いよいよ本題に入りだした。

 

インド人「ところでさ、君ってペットとかって飼ってる?」

 

僕:「いや、ペットは何も飼ってないねぇ」

 

インド人「そうかぁ。じゃあ好きな動物とかっている?」

 

僕:「いやぁ、普段そんな事意識しないから特にいないねぇ」

 

インド人「そっか。実はね、今ここにパンフレットがあるんだけど、ここにいる4種類の動物は全部絶滅危惧種で、人間たちの活動によって数が激減してきているんだ。もしこの4種の中からお気に入りを選ぶとしたら、何がいい?その君が選んだ動物の今置かれている状況を説明するよ!」

 

僕はこういうストリートセールスを一概に悪いと言うつもりはないが、それでもやはりたまにチャリティ組織のフリをしてお金を巻き上げる集団はたまにはいる。そして、今目の前にいるセールスマンがまっとうなセールスの人なのか、インチキの人なのかをその場で判断するのはやはり難しいと思うので、僕は仮に資金援助活動に協力するとしても、とりあえずその場で契約はしない事にしている。

 

そして、このようにセールスマンから「○○のうちどれが一番好き?」などという質問をされた場合は「どれが好き」とか具体的に答えを言わない方が良い。こちらが具体的な事を言えば言うほど、セールスの誘導尋問に乗せられてしまいやすいからだ。

 

僕:「う~ん、そもそも普段動物の事を意識してないから、どれも大して違わないようにしか思えないな」

 

インド人:「そう言わずにさ!どれが一番かっこいいなとか、ないの?

 

粘られてもそれに乗せられてはいけない。あくまで具体的な答えは言わずに通し切る。

 

僕:「いや~、んなこと言ったってないものはないんだよ。選べないものは選べないから、この4つ全部上から順に説明してったら?」

 

インド人:「時間の都合上、全部を説明するわけにはいかない。そうだな、それじゃ僕のお気に入りはこの虎だから、虎についてちょっと話をするよ」

 

そう言うとインド人はトラについて語り始めたまぁ早い話が、このトラは数が減ってきているから、その保護活動のための資金集めに協力してくれという事だ。原理としては僕が以前所属していたセールスチームの発展途上国の支援のためのチャイルドスポンサーと同じだ。そしてこういう「○○の支援活動」といった類のセールスでよく聞かれるのが、次のような質問である。

 

インド人:「みんなが協力して少しずつお金を出していけば、無理なく支援活動の支援が集まるんだ。人間のせいでこういう動物たちがトバッチリを食らうのは可哀想だよね?助けるために何かしてあげたいよね?君だったらさ、こういう動物を助けてあげるために1か月いくらぐらいまでなら出してあげられそうだい?」

 

ここでも、具体的な数字を言ってはいけない。数字を言ってしまうと、「じゃあその金額なら払えるんだね」と、毎月その金額を払う事に既に同意した前提でどんどん話を進められてしまうからだ。

 

僕:「いやぁ、わかんないね。こういうのってどのぐらい出すモンなのかよくわかんないしさ。」

 

インド人:「他の人がどれだけ出してるかなんて気にしなくていいさ!大事なのは、君がどれぐらいまでなら彼らの力になってあげられるかって事なんだ」

 

僕:「答えられないものは答えられないんだからしょうがないでしょ~」

 

それでもインド人は粘るので、僕はここでセールス対策の伝家の宝刀を出す事にした。以前にも書いた事があったが、こういう慈善活動(を名乗る)団体は1年や2年以上の長期的な献金を期待しているので、滞在期間に制限のあるワーホリの人は対象外となる。だからそれをほのめかしてやればこういう連中は一発で引き下がるこの「連中は僕を契約まで持っていく事はできない」という絶対の自信があるからこそ、僕は余裕をもって敢えて立ち止まって話を聞いてあげる事ができるのだ。

 

僕:「ところでさ、これってどれぐらいの期間の間資金援助を続ける前提でいるの?」

 

インド人:「どれだけでも構わないさ!できれば長期的なスパンで、年単位で支援してもらいたいけどね!」

 

僕:「ああ、それじゃあ残念だなぁ。実は僕のビザはワーホリでね、あと1か月ちょっとしたらもう日本に帰っちゃうんだよぉ」

 

どうだ。これでもうこれ以上深追いはできまい(^ω^)ヌッフッフッフ。

 

インド人:「大丈夫大丈夫!ウチの組織はそういうの気にしない所だから!1か月とかの短期でも最初に登録さえしてもらっちゃえば大丈夫だよ^^」

 

ナヌーーー??話が違うぞ。。。こういうチャリティ系のセールスってワーホリビザの人間は対象外になるんじゃなかったのか?「あ、でも僕のビザはワーホリだから」の一言はセールスマンを一発で黙らせる切り札ではなかったのか?これでは、「黄門様」のドラマで「この紋所が目に入らぬかぁ!」と言ってるにもかかわらず誰もひざまづいてくれないようなものではないか。こいつは誤算だったな(滝汗)

 

やろうと思えば「じゃあとりあえずホームページを教えてもらって、後で宿泊先に戻ったらチェックしとくよ」の一言で終了させる事もできたが、こういうセールスに話しかけられたら、自分から話を終わらせて逃げるのではなく、向こうに諦めさせて向こうに話を終わらせさせるのが僕の信念というもの(←何わけのわからんプライドにしがみついとるんじゃ^^;)。なんとか向こうが諦めるキッカケを作らねば。

 

僕:「そうかい?でもねーもう1つ心配があるんだよねぇ~。僕の今のクレジットカード、もうすぐ期限が切れちゃうんだよ。だから登録しても意味ないと思うんだあ」

 

実際、嘘はついていない。僕のクレジットカードは、本当にもうすぐ期限が切れるのだ。だがインド人もここですぐには引き下がらない。

 

インド人:「ちなみに君ってさ、どこのクレジットカードなの?日本の?」

 

僕:「そうそう。日本のクレジットカード使ってるよ」

 

インド人:「そっかぁ。残念ながらオーストラリア以外のクレジットカードでは引き落としができない事になってるんだ。君にこの活動に参加してもらえないのは残念だけど、ホームページを教えるから是非後でチェックしてね」

 

何と。思わぬ所でインド人が折れてくれた。でもヨシッ!諦めさせる事に成功したぞ(←下らん自己満足)。一応、嘘はついてないしね。本当はオーストラリアのデビットカードも持ってたんだけど、日本のクレジットカードを持ってるのかと聞かれてそれにYesと答えただけだから、嘘はついてないもんね~。このインド人も、もう少し突っ込んだ聞き方をしてたら僕に支払い能力がある事を突き止められたのにねぇ。

 

するとこの辺りのタイミングで、もう1人のセールスマンがやってきた。韓国人で、この男も僕と同じくワーホリでオーストラリアに来たのだという。最初は彼は僕にセールストークをしそうになったが、インド人が「いや、残念だけどこの人はセールスの対象外だから」と止めてくれたので、それ以上セールスの話をされる事はなかった。

 

一旦セールスの話から離れると、僕たちは友達のように他愛もない話を始めた。特にこの韓国人と僕はワーホリであるため、今までどこを回ったのとか、これからどこに行くのかとか、ワーホリ関連で話が弾んだ。僕にセカンドワーホリビザ狙ってるのと聞かれると、韓国人は「いやいや、俺はセカンドは最初から狙ってないよ。オーストラリアの生活を経験してみたかったのと、英語を伸ばしたかったから今こうしてセールスしてるだけなんだ」と答えた。「セカンド狙ってなくても、良いファームを見つければ稼げるから、ちょっとファーム狙ってみるのもありかもよ」と僕が言うと、インド人が「稼げる仕事」つながりで会話に飛び込んできた。

 

インド人:「稼ぐんだったらね、やっぱマイナリー(鉱山での仕事)だよ!ちょっと仕事の仕方が変則的だけどね。大抵の場合、丸1週間働いて丸1週間休みか、丸2週間働いて丸2週間休みのどちらかを繰り返すんだ。」

 

僕:「ああ、それ俺もどっかで聞いた事ある!でもそんなに一気に休み続けるようなスケジュールになってるって事は、それだけ体にかかる負担が大きいってことなんじゃない?」

 

インド人:「そうでもないよ。筋肉隆々とした奴の力仕事ってわけでもなくて、仕事用の機械がいろいろ揃ってるから、そいつを一日中操作してればいいんだ。それで1200300ドルぐらいは入るし、しばらくして昇格すると1日で500ドルだってもらえるようになるらしいぞ!」

 

僕:「おお!すっげぇなぁ!くそー、俺もファームじゃなくてマイナリー行っとけば良かったかな~。今からやろうにもあと少しで日本に帰っちゃうからなあ。君なんかいいんじゃない?」と、韓国人のワーホリ君に勧めてみる僕。

 

インド:「ダメダメ!こいつは怠け者すぎるから、何やらせてもダメなんだ^^」

 

どういうこっちゃ^^;

 

インド人:「それにしても、いろいろ話をしてくれてありがとう。セールスの話を断られても、君みたいにフレンドリーに話を聞いてくれる人がいるとその日1日が楽しくなるんだよ^^」

 

僕:「いやいや、とんでもない^^でもやっぱこういう仕事は大変だよね~。冷たい態度の人、けっこういるでしょ。」

 

韓国人:「そりゃあいるいる!俺なんて、この前だってちょっとHelloって声かけただけなのに、メッチャ怒鳴られたんだだからたまに君みたいな人が立ち止まってくれると本当に嬉しいんだよ^^」

 

こういう台詞は客をいい気分にさせるための単なるセールストークに聞こえなくもないかもしれないが、一応短期間とはいえセールス経験のある僕から見たら、けっこう本音で心の底から言ってくれているのだろうとも思える。たしかにセールスの仕事は客を口説き落として金を出させてなんぼという現実もあるが、それと同時にセールスをやっている人たち11人はごく普通の人間でもあるのだ当然人間としての普通の感情を普通に持っているし、やっぱり自分の話を敬意を持って聞いてくれる人がいたら嬉しいのは自然な事だ。

 

この日は他に図書館でのネットや漫画の立ち読みぐらいしかしていないが、こういうお喋りがあるだけでも楽しくなるものだ。それにしても、鉱山の仕事、どっかでトライしておけばよかったかな~。このブログを読んでいて尚且つオーストラリアのワーホリを考えている人、もしかしたらチャンスかもしれませんよ?まぁあくまでマイナリーの仕事を直接経験していない僕が、直接経験をしていないインド人から「○○らしいぞ」とかなり間接的に聞いた話なので、どれぐらいまで本当なのかはわかりませんが^^;噂の真偽は保証できませんが、どうしてもやってみたい人は自己責任でやってみてくださいまし~。