12月のカフェの仕事でシフトに入れる日は21日の日曜日が最後だと、ボスに仕事を辞める事を伝える時に言っておいたのだが、実際にこの週にシフトに入った最後の日は19日の金曜日だったため、それ以降は完全にフリーとなった。なぜこのタイミングで仕事を辞める事にしていたのかというと、そろそろファームの仕事を探しに行かなければいけない時期になったからだというのは以前にも書いたが、なぜ21日をシフトに入れる最後の日にしたのかというと、そこにはもう一つ理由がある。
実はボスに仕事を辞めるという話を出すより前の時点で、日本でフルタイムで働いていた時の同期のメンバーから「この年末にメルボルンに遊びに行くよ^^」というメッセージをもらっていたのだ。12月の4週目にメルボルンに来る予定だと聞いていたので、仕事を21日までにしておけばその後は完全にフリーな状態で、来てくれる友達を案内してあげられると思ったのだった。
今回来てくれる事になった同期のメンバーは2人。他のメンバーは仕事が忙しくてなかなか休めなかったらしい。そして実際に来てくれた2人も余裕で休みが取れたわけではなく、直前まで仕事に追われていて航空券とホテルを手配しておいた程度だったので、メルボルンで具体的に何をするかまでは決まっていないノープランな旅となった。僕自身もオーストラリアに着いてからというもの、毎日仕事ばかりであまり遊んでいなかったので、こうして日本から来てくれた友達と一緒にメルボルンを見て回るというのはとても貴重な時間だった。
初日は2人の予約しておいたホテルの部屋まで一緒に行き、そこでいろいろとお喋りもしながら旅行プランについて話し合った。ここで僕はホテルの部屋というのはこんなにも広くて快適でくつろげるものなのだなぁとしみじみ思った。なにせ今まで1つの部屋に2段ベッドが2つも3つもあるような狭い部屋で4~6人が寝る安宿に泊まっていたり、アパートの部屋が見つかってもそこもやはり2段ベッドだったり、今住んでいるセイントキルダのアパートは比較的広いもののやはり4人が住んでいるし。
話し合いの結果、2人の到着日の翌日である12月25日はセイントキルダビーチにペンギンを見に行き、26日にはグレートオーシャンロードツアーに行く事になった。2人が泊まっていたホテルはCBD内にあるため、セイントキルダビーチまではトラムを使って行く事になる。
トラムは運転手によってその運行の質はマチマチである。日本の電車のようにキチッとした運転をし、各停車駅でいちいちアナウンスしてくれる運転手もいるし、同じ路線でもそういうアナウンスを全然してくれない人もいる。自分の都合で勝手に道の途中で停車し、何のアナウンスもせずに客を待たせ、脇道に出て行ってトイレに行くのもいる。今回同期のメンバーとセイントキルダビーチに向かう時に乗ったトラムの運転手は最後に挙げた、途中で勝手に停まってトイレに行く奴で、「何てフリーダムなんだ」と軽くカルチャーショックを受けていた模様だった。
その次の日はグレートオーシャンロードツアー。メルボルンからはけっこうな距離があるので、丸一日かかるツアーだ。今回ツアーをお願いしたのは、ここメルボルンで日本語ツアーをやっているSさん。最初オーストラリアにはワーキングホリデーでやってきたらしく、Sさんの頃はワーキングホリデーという制度はできたばかりだったそうだ。ビザの発給番号もまだ3桁とかで、オーストラリアの移民局の人ですらワーホリビザの仕組みをあまり把握していないという時代の渡豪だったのだという。
ツアー当日は天候にも恵まれ、カンガルーやコアラウォッチングが楽しめたり、ポートキャンベルにある12使徒の奇岩が見られたりと充実した内容だった。ツアーの合間にはSさんともちょこちょこ会話をする機会があり、お互いに現在の日本とオーストラリアの事情をそこに実際に住む人の視点で話して情報交換をする事もできた。
Sさんにはお子さんがいるため教育の話も出てきて、子供の教育費はどれだけかかるのかという話にもなったりした。今オーストラリアは教育費がもの凄く高く、子供を学校に行かせる親の立場としてはなかなか大変なのだという。例えば私立の高校に通わせるのだとしたら、日本円にして大体年間250万円ぐらいの費用がかかるらしい。日本ではまだ私立の大学でも年間100万円ぐらいですよと言うと、Sさんは「そんなに安くてすむんですか」とビックリ。オーストラリアは日本よりも景気が良く収入も高い傾向があるが、それを計算に入れても子供の学費の負担感は決して軽いものではないようだ。
さらに少し極端な例になると、ボンボンの通う私立の高校では学費が年間で軽く1000万円を超えるものもあるのだという。全寮制で、勉強だけでなく普段の生活習慣もきちんとしたものが学べるというのがそういった学校の売りらしい。こういう学校に子供を行かせた結果、今までは家ではメイドさんが服をたたんだりするのも含めて身の回りの世話は全てしてくれていたから自立的な生活態度のかけらもなかったのが、他人にやってもらわなくても自分で身の回りの事ができるようになり、「ウチの子がこんなに自立していろんな事をできるようになって!」と親御さんが感動するのだという。なんのこっちゃ(^^;)そんな事のために年間1000万円もかけるんですかい(笑)こんなもん、日本の普通の公立高校でも生徒が自分で掃除したり野外学習とかで布団とか畳んだり食堂で食器片づけたりしますがな。そういえば日本のボンボンの通う学校については僕自身は話そのものを聞いた事がないけど、日本でもこういう本末転倒的な事やってんですかねぇ?ちょっとその辺調べてみるのも面白いかも。
その次の日は、ビクトリアマーケットやBig Wやその辺のお土産屋さんに行ってショッピングをした。クリスマスシーズンで閉まっている店がいつもより多く多少苦労したが、2人とも帰国前までに欲しいものは何とか買う事ができた。
数日間はあっという間に過ぎ、2人は日本へ、僕はこれからのファームの仕事探しのための本格的な情報収集へと戻っていった。短い期間だったが再会して楽しい時間を過ごせて本当に良かった。またお互いに頑張って仕事ができそうだ。