カフェの仕事をあと1か月ほどで辞めるとサイモンに伝えたら、「新しく入ってくるキッチンハンドの子の教育に時間を割かないといけない」と言われたのは以前書いた通りだが、あの日から数日後、早速新しいキッチンハンドの子が入ってきた。フランス人の女の子で、僕と同じくワーキングホリデーでオーストラリアにやってきたのだそうだ。フランス語での本名は忘れてしまったが、英単語だと「オーシャン」がその子の元の名前と発音が近いので、みんなからはオーシャンと呼ばれるようになった。
このフランス人の女の子はたちまちキッチンスタッフの(特に男たちの)間で人気者になった。とても可愛らしい顔をしていて、モデルさんのようなスラッとした体型で、誰に対しても礼儀正しくてフレンドリーで話しやすいし、仕事の覚えも早かった。これだけいろいろ揃っていれば人気が出ない方がおかしいというぐらいだ。
仕事場においては彼女は僕の後輩だし、最初の数日は僕が一緒に働いて仕事をいくつか教えていたので、当然この期間職場で彼女と最も距離が近いのは僕という事になる。こうなると、サイモンにとって僕はいじりやすいキャラになり、オーシャンに関する絡みがサイモンから来るようになった。
サイモン:「ショーン、あの子の電話番号はもう聞いたの?」
僕:「え?いや、まだですけど」
サイモン:「『まだ』だってぇ!^^俺が後でテキストで送ったるわ~(^皿^)」
といった感じだ。他にも、「ショーン、バッドニュースだ。あの子、既に彼氏いるんだってさ!」などと、別に聞いてもいない情報が勝手にサイモンから流れてきたりする(笑)いや、たしかにあの子は見た目は可愛いくて性格もいいし仕事もきっちりこなせるけど、だからといってそれをすぐに自分の彼女にしなきゃいけないというものでもないでしょうが^^;ま~そういう絡みも嫌いではないので自分もそれなりに楽しんではいたが。なんだかんだでサイモンみたいな楽しい人が上司でよかった。
そういえば、サイモンはこのキッチンでのチーフなのに、遊び心満載なだけじゃなくかなりテキトーな性格だった気がするな。普段僕はジョンと同じシフトになる事が多かったから、よくジョンの指導を受けていたのだが、そこで教えられていたようにやっていると、逆にサイモンから「そんな事気にしなくていい」とか言われたりするし。例えば、フライパンを洗い終わったら1つずつ拭いてちゃんと乾いた状態にしてから棚に戻すようにジョンからは教えられていたのだが、サイモンと同じシフトで働いている時にそれをやると逆にそれを直されたりしたものだ。
サイモン:「ショーン、フライパンはいちいち拭かなくていい。そのままここに重ねとけばいいんだ」
僕:「え?いいんですか?いつもは洗い終わったフライパンは一つ一つ拭いておくようにと言われてるんですけど。。。」
サイモン:「一体誰がそんな事言うってんだ?」
僕:「ジョンです」
サイモン:「気にすな気にすな!フライパンなんて使ってればそのうち乾くわぁ(^ω^)」
といった具合だ。これでも世の中ちゃんと回ってるんだよな(笑)