2つ目のセールス会社を辞めてから3日後の木曜日。崩れていた体調はだいぶ回復し、外を出歩けるようになっていた。無職の期間はなるべく短く抑えておきたいので、今日からまた職探しにかかりたいのだが、セールス業界で仕事を探すのはもういいかなと思い始めていた所だった。まだそこまで本格的にレジュメ配りをした事はないし、そろそろこのやり方で仕事をゲットしてみてもいいかなと思った。

 

前回初めてやったレジュメ配りの内容は酷いものだった。選り好みし過ぎで全然数の勝負ができておらず、何時間もあったのに配れたレジュメは1桁。レジュメを配りに行こうと決めた店の前でもなかなか踏ん切りがつかずに店の外をウロウロしているだけのチキンさ。APLaCで読んだ「絨毯爆撃」とはほど遠い内容だ。こんな事ではいけないと思い、今日はターゲットのストリートの店を全制覇するつもりでレジュメを配ることにした。APLaCの仕事探しにおけるアドバイスに出てきた例でも、シドニーのジョージストリートの店を上から下まで全部当たった人もいるらしいし。

 

今日のレジュメ配りで僕が狙いを定めたのはチャペルストリートという、セイントキルダロードよりも少し東に行ったあたりに南北に走っている通りだ。この縦のラインを制覇してやるぞ。往路は南北に走るストリートを車と同じく左側通行で北上し、その通りに面している店を、復路はその反対側にある店を片っ端から当たる事にした。往路はただレジュメを配っていただけで手応えがあまりなかったが、復路にあったトルコ料理店ではなかなかの反応が得られた。店長が「君、日本人なのかい?」と、僕の配った履歴書の国籍の欄をまじまじと見つめるその後も、オーストラリア以外にも海外経験あるのかいとか、オーストラリアに来てどれぐらいになるんだいとか、いろいろ興味深そうに聞いてくる。なんかもしかして俺この人に気に入られてる?「よし、後で電話するよ」と店長

 

おぉー!いい感触だ^^と思い、僕はここでレジュメ配りを中断し、家へ帰ってしまったのだが、これが間違いだった。その後その店長から連絡が来る事は一切なかったのだ。他のワーホリの人の話では「後で連絡する」と言われて数日後や1週間後に実際に連絡が来る事もあるらしいのだが、今回の僕のケースのように「連絡するよ」と言っておきながら全く音沙汰なしな事も決して珍しい事ではない。むしろ、僕の個人的な経験では「『後で電話するよ』と言われたら電話は来ないと思え」と心の準備をするようになったぐらいだ。

 

今日のレジュメ配りは前回と比べたらだいぶ進歩したとは思うが、なんだかんだで選り好みでレジュメを配っていない店が何件かあったし、トルコ料理店の店長に「電話するよ」と言われて調子に乗り、復路ではそこから先の店は配っていないので、内容としてはあまり良いものではないかも。APLaCで書かれているやり方が「絨毯爆撃」だとするなら、今回の僕のはその完成度の低さから、「なんちゃって絨毯爆撃」と言った所かな。