先週の金曜日にジャックの懇切丁寧な指導の下での研修が終わり、今日から実際にターフを歩き回る事になる。金曜日の夜に僕にテキストメッセージを送ってきたボスがどんな人なのかと思いながら午前研修の部屋に入ってみると、そこにいたのはいかにもチンピラのような見た目の若者だった。聞けばまだ18歳で、この会社に入社してからまだ3ヶ月余りだが、セールスの成績が良かったため既にチームリーダーになっているのだという。ニュージーランドから来ていて、既に妻と子供がいるらしい。
なにはともあれ、ターフに出発する前の午前研修が始まった。ここの研修は前の会社のように爆音の音楽をズンチャッズンチャッといわせながらやるわけではなく、普通に騒音のない環境で行われていた。最初は各自所属するチーム毎にそのチームリーダーからレクチャーを受け、それが終わると全てのチームが大きめの部屋に集まりなおし、各チームリーダーよりもう1ランク上のボスが全員にレクチャーするというスタイルだ。後半の全体レクチャーを担当するのはリーという男。これだけ聞くとなんか中国人や韓国人みたいだが、これは彼のファーストネームで、モロ金髪碧眼のイギリス白人である。彼は元々ワーホリビザでバックパッカーとしてオーストラリアに来たが、セールスで成功してそのままスポンサーシップを得て永住というパターンで今に至るらしい。なんかマネージャーやそれ以上の役職でイギリス人けっこういるようなイメージがあるな~。前の会社のヘッドのトムもイギリス人だし、トニーの後に僕のいたセールスチームのリーダーになった「お父さん」もイギリス人だったし。
研修が終わってターフ(セールス現場となるエリア)に向かうVan(車)の中で、iPadがそれぞれの社員に配られた。ここで前の会社と違うなと気づいたのは、こちらの会社の方がハイテクなシステムを使っているという事だ。前の会社ではターフ内を歩き回る時の地図と、どの家を訪ねてどの家でセールスをセールストークのどの段階で断られたか、またどの家で契約まで持っていけたかを記録するワークシートは紙で渡されていて、それにボールペンで手書きで記入していたのだが、この会社ではそれらは全てiPadで管理されている。どうやらこの訪問販売のセールスの業界のためにiKnockというアプリが開発されていたようで、これ一つでセールスに必要なデータ全てがカバーされてしまうのだ。
まず、マップ内に自分に割り当てられたターフが色づけされて目立つようになっているのだが、「セールスお断り」の意味であるDo Not Knockのドアは既に別の色で表示されるため、前の会社の時と違って家のドアの前まで行ってみなくてもそれが訪問禁止の家だとすぐにわかる。そして、どの家でどのようにセールスを断られたかや、どの家で契約がとれたかも全てこのアプリ内で入力されている。このアプリの内容はセールスチームのボスがリアルタイムでいつでも閲覧可能なため、どのメンバーがどのような働きぶりなのか(何時までに誰が何件のコンタクトを取れたのか等)ボスには一目でわかるようになっている。しかも、各メンバーがこれまで何km歩いたのかという歩行距離まで表示されるという優れものだ。それにしてもiPodやiPadに続いて今度はiKnockかい。なんでもかんでもi ○○っていう形で次々出てきそうですな。とりあえずiをつければいいという。
前のセールス会社の時と同じ様に、新入社員は初日はただ先輩社員のセールストークを見学するという内容だったため、今日は僕は1日中自分の担当のボスの後をついて回る事になった。そしてターフを一緒に歩いていて、ふと思った。やっぱりこいつはただのチンピラみたいな柄の悪い奴なんじゃないかと。
まず服装。セールスチームは下は黒のズボンに黒い靴、上は会社から支給されたユニフォームとジャンパーを着る事になっているのだが、こいつはそのどれも身につけておらず完全に私服状態である。前の会社ではトニーやマットはちゃんとユニフォームを着ていたし、「お父さん」は何らかの事情でユニフォームは着ていなかったが、ちゃんとフォーマルな服装にはしていた。今僕が所属しているこの会社でも、他のセールスチームのリーダーは普通にユニフォームを着ていたのに、こいつだけはその辺にたむろしている不良の若者みたいな格好だ。こんなんでいいのか?
そしてこいつは服装だけでなく、他にもセールス業界のルールをいろいろ破っている。例えば、これは前の週に僕が受けた研修でも勉強した事なのだが、この業界ではお客さんの家の中には入ってはいけない事になっているのに、むしろ奴の側から「家の中に上がらせてもらう時は靴を脱いだほうがいいかい?それとも履いたままでもいいかい?」と家の中に入る事を前提とした話の展開に誘導し、ズカズカと人の家に上がっている。
他にも、お客さんに「No」とか「Not interested」とか言われて、明らかに嫌がられている時は執拗に喰らいついては駄目だという事になっているのに、しつこく喰らいつくだけでなくお客さんと喧嘩し出す始末だ。しかも警察を呼ばれそうになるほどの雰囲気になってようやく引いたかと思いきや、「何だよ、せっかくこっちがもっとお得な料金プランを紹介してるってのによ。何でわかんねぇんだよ。ケッ。まぁいいさ。せいぜい高い料金払い続けてろ」と捨て台詞まで吐いていくのだ。トニーだったら絶対にお客さんと喧嘩なんかせずに、断られても「わかった、じゃあしょうがないよね。でもわざわざ時間割いてくれてありがとう^^」と笑顔でその家を後にしていたものだったのに。
む。いや、待てよ。そういえばトニーもお客さんたちの事ボロクソに言ってた事があったな。ある日、全員揃いも揃って契約が全然取れなかった事があったが、その時のトニーは、オフィスに帰る前の車の中での「今日の総括」でなかなかお怒りのご様子だった。んで、
「今日はどうしちゃったのあんたたち!お金稼ぎたくないの??何でもっと強気に行かないの!あいつらはどうせこっちの話の内容なんかロクに聞いちゃいないのよ!とにかく押してやれば売れるんだから!所詮あいつらは単細胞のピ―――――(←放送禁止用語)なのよ!!!」
とか言ってたな。あ、でも、これはあくまでお客さんが目の前にいない車の中での発言で、お客さんの前ではこんな態度はかけらほども出さなかったから、やっぱりその点ではトニーはプロフェッショナルだったな。
それに比べてこのチンピラみたいな男ときたら、車の中だけでなくお客さんの目の前ですら悪態をつく始末だ。本当にこいつはチームリーダーの器なのか?そもそも何でこんな奴が契約を取れるのだ?トニーやデックス、「お父さん」やマットと違って、こいつは何だかボスとして見る事ができない。今回はハズレな職場環境に入ってしまったかもしれない orz
なにはともあれ、ターフに出発する前の午前研修が始まった。ここの研修は前の会社のように爆音の音楽をズンチャッズンチャッといわせながらやるわけではなく、普通に騒音のない環境で行われていた。最初は各自所属するチーム毎にそのチームリーダーからレクチャーを受け、それが終わると全てのチームが大きめの部屋に集まりなおし、各チームリーダーよりもう1ランク上のボスが全員にレクチャーするというスタイルだ。後半の全体レクチャーを担当するのはリーという男。これだけ聞くとなんか中国人や韓国人みたいだが、これは彼のファーストネームで、モロ金髪碧眼のイギリス白人である。彼は元々ワーホリビザでバックパッカーとしてオーストラリアに来たが、セールスで成功してそのままスポンサーシップを得て永住というパターンで今に至るらしい。なんかマネージャーやそれ以上の役職でイギリス人けっこういるようなイメージがあるな~。前の会社のヘッドのトムもイギリス人だし、トニーの後に僕のいたセールスチームのリーダーになった「お父さん」もイギリス人だったし。
研修が終わってターフ(セールス現場となるエリア)に向かうVan(車)の中で、iPadがそれぞれの社員に配られた。ここで前の会社と違うなと気づいたのは、こちらの会社の方がハイテクなシステムを使っているという事だ。前の会社ではターフ内を歩き回る時の地図と、どの家を訪ねてどの家でセールスをセールストークのどの段階で断られたか、またどの家で契約まで持っていけたかを記録するワークシートは紙で渡されていて、それにボールペンで手書きで記入していたのだが、この会社ではそれらは全てiPadで管理されている。どうやらこの訪問販売のセールスの業界のためにiKnockというアプリが開発されていたようで、これ一つでセールスに必要なデータ全てがカバーされてしまうのだ。
まず、マップ内に自分に割り当てられたターフが色づけされて目立つようになっているのだが、「セールスお断り」の意味であるDo Not Knockのドアは既に別の色で表示されるため、前の会社の時と違って家のドアの前まで行ってみなくてもそれが訪問禁止の家だとすぐにわかる。そして、どの家でどのようにセールスを断られたかや、どの家で契約がとれたかも全てこのアプリ内で入力されている。このアプリの内容はセールスチームのボスがリアルタイムでいつでも閲覧可能なため、どのメンバーがどのような働きぶりなのか(何時までに誰が何件のコンタクトを取れたのか等)ボスには一目でわかるようになっている。しかも、各メンバーがこれまで何km歩いたのかという歩行距離まで表示されるという優れものだ。それにしてもiPodやiPadに続いて今度はiKnockかい。なんでもかんでもi ○○っていう形で次々出てきそうですな。とりあえずiをつければいいという。
前のセールス会社の時と同じ様に、新入社員は初日はただ先輩社員のセールストークを見学するという内容だったため、今日は僕は1日中自分の担当のボスの後をついて回る事になった。そしてターフを一緒に歩いていて、ふと思った。やっぱりこいつはただのチンピラみたいな柄の悪い奴なんじゃないかと。
まず服装。セールスチームは下は黒のズボンに黒い靴、上は会社から支給されたユニフォームとジャンパーを着る事になっているのだが、こいつはそのどれも身につけておらず完全に私服状態である。前の会社ではトニーやマットはちゃんとユニフォームを着ていたし、「お父さん」は何らかの事情でユニフォームは着ていなかったが、ちゃんとフォーマルな服装にはしていた。今僕が所属しているこの会社でも、他のセールスチームのリーダーは普通にユニフォームを着ていたのに、こいつだけはその辺にたむろしている不良の若者みたいな格好だ。こんなんでいいのか?
そしてこいつは服装だけでなく、他にもセールス業界のルールをいろいろ破っている。例えば、これは前の週に僕が受けた研修でも勉強した事なのだが、この業界ではお客さんの家の中には入ってはいけない事になっているのに、むしろ奴の側から「家の中に上がらせてもらう時は靴を脱いだほうがいいかい?それとも履いたままでもいいかい?」と家の中に入る事を前提とした話の展開に誘導し、ズカズカと人の家に上がっている。
他にも、お客さんに「No」とか「Not interested」とか言われて、明らかに嫌がられている時は執拗に喰らいついては駄目だという事になっているのに、しつこく喰らいつくだけでなくお客さんと喧嘩し出す始末だ。しかも警察を呼ばれそうになるほどの雰囲気になってようやく引いたかと思いきや、「何だよ、せっかくこっちがもっとお得な料金プランを紹介してるってのによ。何でわかんねぇんだよ。ケッ。まぁいいさ。せいぜい高い料金払い続けてろ」と捨て台詞まで吐いていくのだ。トニーだったら絶対にお客さんと喧嘩なんかせずに、断られても「わかった、じゃあしょうがないよね。でもわざわざ時間割いてくれてありがとう^^」と笑顔でその家を後にしていたものだったのに。
む。いや、待てよ。そういえばトニーもお客さんたちの事ボロクソに言ってた事があったな。ある日、全員揃いも揃って契約が全然取れなかった事があったが、その時のトニーは、オフィスに帰る前の車の中での「今日の総括」でなかなかお怒りのご様子だった。んで、
「今日はどうしちゃったのあんたたち!お金稼ぎたくないの??何でもっと強気に行かないの!あいつらはどうせこっちの話の内容なんかロクに聞いちゃいないのよ!とにかく押してやれば売れるんだから!所詮あいつらは単細胞のピ―――――(←放送禁止用語)なのよ!!!」
とか言ってたな。あ、でも、これはあくまでお客さんが目の前にいない車の中での発言で、お客さんの前ではこんな態度はかけらほども出さなかったから、やっぱりその点ではトニーはプロフェッショナルだったな。
それに比べてこのチンピラみたいな男ときたら、車の中だけでなくお客さんの目の前ですら悪態をつく始末だ。本当にこいつはチームリーダーの器なのか?そもそも何でこんな奴が契約を取れるのだ?トニーやデックス、「お父さん」やマットと違って、こいつは何だかボスとして見る事ができない。今回はハズレな職場環境に入ってしまったかもしれない orz