さて今日も仕事だ。いつものように午前の研修を終え、ターフ(セールスの現場)へ向かうVan(車)の準備ができるまでオフィスのあるビルの入り口の所でセールスチームのメンバーと一緒に待つ。ふと見ると、僕と同期で入社した3人のうちの1人のドリューが、ユニフォームではなく私服でリュックを背負って出てきたではないか。どうなってんの?
オリビア:「ドリューはもう辞めてパースに旅立つんだって」
ヴァネッサ:「もうドリューに会えなくなるのね~。寂しいわ~」
なんと。3日目で既に辞めているとは。2日目終わった時点で明らかにうまくいってないメンバーのうちの1人だったが、もう辞めるのか??というか、辞めたい日にオフィスに行って「辞めたい」と一言言えばその時点で即辞められるのか???何という軽いノリなのだ。まだこれからセールストークも上達させて仕事が楽しくなってくるかもしれないのに。もったいないなぁ。
その後特に何も考えずにボーっと立っていると、ビクトリアという女の子が話しかけてくれた。両親が香港からの移民の香港系オーストラリア人だ。彼女の事は、彼女がこの日僕に話しかけてくれる前から知っていた。というのも、この会社では研修室の外の壁に、セールスの成績に応じて社員の顔写真が貼られるのだが、彼女の写真は「最優秀セールス」として貼られていたので、初日の時点で既に印象に残っていたのだ。だから初めて彼女に話しかけられた時は、「あ、この人最優秀セールスの人だ」と、名前よりも先に肩書で思い出してしまったものだった。
流石に最優秀セールスに輝くだけあって、やはりコミュニケーションが上手で話していて楽しい感じの人だ。それに加えて、彼女は学生時代に選択科目で日本語の授業を取っていたり、日本のアニメや歌手などにも興味があったという事もあり、彼女とはあっという間に仲良くなった。ターフへ向かうVanに乗っている間はほぼ毎回彼女と隣の席で、行き帰りの道が荒い運転に耐えるだけの時間でなく楽しいお喋りの時間に変わっていた(ちょうどトニーの荒い運転に慣れてきたというのもあるが)。この後も彼女とは仕事の外でも一緒に食事に行ったりカラオケに行ったりする事になる。
ちなみにこっちでは、別に恋人同士の関係でなく「良きお友達」のレベルでも2人きりで食事に行ったりとかは普通である(実際ビクトリアには彼氏いたし)。別れ際とか、久しぶりに会った時に「久しぶりー♪」とか言いながらぎゅーっとハグするとかも当たり前にやったりしていた(ハグはこっちでは仲のいい友達の間での挨拶程度の意味合いしか持たない)。
日本のバラエティ番組とかで恋愛の駆け引きの話とかを聞いていると、「そんな早い段階で2人きりでご飯に行こうとしちゃダメでしょ~」と誰かが誰かにダメ出しをしたりとか、「いかに『気になるあの子』と自然な流れで2人きりで会うか」というテーマで、あーでもないこーでもないと熱く語る人たちがいたりする。それはつまり一般的に日本では異性が距離を縮めるには、たとえ「ただのお友達」レベルから入るにしても相当慎重にいかねばならないという事なのだろうが、こちらでは「今度2人で一緒にゴハン行かない?」「うん、いいよ^^」の一言であっさりOKだった。
更には、もっと先までイッテしまいそうになるケースもある。少し話が飛ぶが、この数か月後に、フランス語圏であるニューカレドニアから来た女の子が僕の当時住んでいたシェアルームに引っ越してきて、彼女と同じベッドルームになった事があった(※こちらでも原則ベッドルームは男女別だが、場合によってはカップルでなくても男女で同じベッドルームで過ごす事もありうる※)。彼女はいかにもラテン系にいそうな明るくて愛嬌があり可愛らしい女の子だった事もあって、彼女とはけっこう簡単に仲良くなれた。そして彼女と同じ部屋で過ごす最後の日、彼女にお別れの挨拶をしたら、ハグされただけでなくキスまでされそうになった。僕が少し動揺した様子だったのに気づき、彼女は「あ、ゴメンね。いけなかった?テヘペロ(*^_^*)」という感じだった。いや、まぁ、別にいけなくはなかったんだけどね。でも、今度似たような事が起こっても、慣れた手つきでサラッと対応する自信はないです。。。
そういえば、アメリカで留学していた時、ブラジル人のルームメイトがいた時期があったが、そのルームメイトのブラジル人仲間が集まってきてパーティをした時にも、別れ際の挨拶でブラジル人の女の子とハグをした時にキスをされそうになった事があった。その時も、僕がまごついていたのもあり、結局実際にはしなかったのだが、当時のルームメイトだったブラジル人のルーカスから後で指導を受ける事となった。
ルーカス:「おい、なんでさっきあの子とキスしなかったんだ」
僕:「は?そりゃしないでしょ。あの子、別に俺のガールフレンドでもないんだし」
ルーカス:「ガールフレンドであろうがなかろうが、別れ際にはキスをするのが常識というものだ。」
僕:「そ、そういうモンですか…^^;でも、結局あの子の方も最終的には俺にキスしてこなかったし、別にあれでもよかったんじゃない?」
ルーカス:「それはお前がモタモタしていたからだ。お前さえしっかりしていれば、間違いなくブチューっといっていたはずだ」
とこんな感じだ。
こういった話を聞くと、「ほぉ(・∀・)ラテン系の国に行けば、誰でも簡単にギューギューしたり、チュッチュチュッチュしたりできるのか!」と思う人がいるかもしれないが、そうでもないと思いますぞ。確かに日本と比べたらそういう傾向は強めではあるだろうが、もちろん全員が全員やるわけではない。結局の所は人によるのだ。なので、ラテン系の国だろうがオーストラリアだろうが、間違った憶測で「ガバーッ」といき、「バチーン」とやられる事のないように、くれぐれも気を付けよう。
おぉ、ビクトリアの話だったはずなのに、いつのまにかラテン系のキスの話になってしまった。いかんいかん。。。ビクトリアの話に戻そう。
ビクトリアはただフレンドリーなだけでなく、なんだか知的な雰囲気があるなとは思っていたが、オーストラリアの中でも優秀な大学の卒業生だという事がわかった。話を聞いていると、どうやら彼女も最初はこの仕事が訪問販売のセールスだとはよく知らずに応募して、後になってそれがわかり「ちょっと騙されたかも」と思ったらしい(笑)
そして彼女は、社員の平均年齢が20歳そこそこであるこのセールス会社で僕よりも少し年上と、珍しく高めの年齢層の人だ。そして他の多くの社員と違って、中くらいのザンギエフの研修にも洗脳された様子はなかった。それでも最優秀セールスに輝いていたし、それも中くらいのザンギエフやシドニー支部の助っ人のように威圧感を使って契約させるのではなく、ニコニコ笑顔を絶やさず、アグレッシブさを使わずにこれだけの結果を残すのだから大したものだと改めて思った。
このようにビクトリアと友達になれたこともあって仕事の方は楽しくなってきていたのだが、シェア先ではむしろ不快感が日に日に大きくなってきていた。「こんなの聞いてないぞ」と言いたくなる事がいくつも出てきていたからだ。
まず、ルームメイトたちが窓を開けっぱなしにするのだ。南半球にあるオーストラリアの7月は冬であり、メルボルンはタスマニアと並んでオーストラリアとしては寒いエリアの1つだ。マイナスにこそならないものの、気温は1~3℃になることも珍しくなく、なおかつこの時期のメルボルンは風が強く雨もよく降るため体感気温はもっと下がる。そんな時に窓を開けっぱなしにされたらたまったものではない。しかも、エアコンが設置されているのに電気代がかかるという理由でそれをつけないのだ。どうしてもつけるのなら、電気代を全て僕1人で負担することになるのだという。しょうがないので窓が開いているのを見かける度に閉めると、今度は「窓を閉めるのをやめてくれ」と注文をつけられる。窓を閉めるとビルの中に通っているダクトの音が響いてうるさくて眠れないというのだ。
あと、鍵が1人1つずつない。正確には、鍵自体は1人1つずつあるのだが、ビルの入り口や部屋のある15階まで上がるためのエレベーターやトレーニングジムのドアは電子キーがなければ開かず、その電子キーが1人1つずつない(ちなみにエレベーターの他に非常階段もあるが、非常階段のドアは1階は外から開けられないので、エレベーターが使えなければ上の階には行けない事になる)。
ホント、こんなの聞いてないぞ?事前に説明しとけよ、こういうのは。「おたくの部屋では冬でも暖房をつけずに窓を開けっぱなしにしますか?」とか「電子キーは1人1つずつありますか?」なんて質問、入居前のあの段階では思いつくはずもなかったし、部屋のホスト側から予め言われなきゃこんなことわかるはずがない。インスペクションの時に家賃に電気代や水道代諸々は全部含まれてるって言ってたのに、実際には暖房が使えないとはなんてことだ。知ってりゃポートメルボルンのノルウェー人のジョンの部屋に行ってたさ。
さらに、この日はカチンとくる事がもう一つあった。夜10時以降は洗濯機を使うなと、これも後出しジャンケンのように言ってくるのだ。以前の記事にも書いたように、僕の仕事は終わるのが夜遅く、家に着くのは夜10時ぐらいだ。そしてこの時期は雨が多く、日中仕事でターフを歩き回っているうちに着ているものはびしょ濡れになるし、特に靴下は家に着き次第なるべく早く洗いたい。それなのに洗濯機は使うなと?何でかと理由を聞いても、「ルールはルールだから守れ」とロクに理由を説明しようともしない。「ルールがあるから守れ」という主張をする事自体は構わんが、だったら入居する前に知らせとけっての。それに、後から知らせるにしても、ちゃんと理由を説明しろっつーの。
夜洗濯機を使っちゃいけない理由はライアンからは結局知らされないままだったが、自分で考えてみたらせいぜい思いつくのは夜使うとうるさいからダメだというぐらいのものだろうか。でもそれもおかしな話だ。夜の12時半や1時近くになっても大声で遠慮もなくベラベラくっちゃべってゲラゲラ笑っているルームメイトがいるのだが、そいつらには静かにするように注意してないんだから。でも僕がスカイプで夜8時から9時ごろに小さな声で喋らず普通の声で喋ったり笑ったりするとうるさいらしいのだ。完全に矛盾している。
そしてこれは前から気になっていたのだが、ここのルームメイトの連中は皆意識が低い。僕以外は全員台湾か香港出身で、部屋では実質Mandarin Chinese(北京で話される、いわゆる「標準語」の中国語)が公用語になっている。奴らは中国語で情報収集をし、中国語環境でテキトーに仕事をし、チャイニーズマーケットに通い、中国語のビデオや音楽ばかりを視聴し、Free timeは中国語の通じる人間とつるんでばかり。稼ぐほど仕事を頑張っているわけでも、地元のオージーたちや他の国から来た人たちと積極的にコミュニケーションを取ろうとしているわけでも、特に自主的に英語を勉強してるわけでもない。語学学校に通っていても平気で毎日30分~1時間ぐらい遅刻する。あんたら、何しにわざわざオーストラリアまで来たの?こんなことしてるんだったら、最初から台湾や香港にずっといればいいじゃん?そしてそれだけならまだしも、普段特に何の努力もせずにただ呆けているだけ、なおかつ夜はうるさいだの食器や調理器具をすぐに洗って次の人が使えるようにしておかないだのでこっちに面倒な思いをさせてるくせして、こっちにはいろいろとイチャモンをつけてくる。ライアンも最初は印象がよかったが、この頃にはそんな印象は消し飛んでしまっていた。この部屋もそろそろ見切りをつけるべきですな。さっさと次の部屋を探そう。
オリビア:「ドリューはもう辞めてパースに旅立つんだって」
ヴァネッサ:「もうドリューに会えなくなるのね~。寂しいわ~」
なんと。3日目で既に辞めているとは。2日目終わった時点で明らかにうまくいってないメンバーのうちの1人だったが、もう辞めるのか??というか、辞めたい日にオフィスに行って「辞めたい」と一言言えばその時点で即辞められるのか???何という軽いノリなのだ。まだこれからセールストークも上達させて仕事が楽しくなってくるかもしれないのに。もったいないなぁ。
その後特に何も考えずにボーっと立っていると、ビクトリアという女の子が話しかけてくれた。両親が香港からの移民の香港系オーストラリア人だ。彼女の事は、彼女がこの日僕に話しかけてくれる前から知っていた。というのも、この会社では研修室の外の壁に、セールスの成績に応じて社員の顔写真が貼られるのだが、彼女の写真は「最優秀セールス」として貼られていたので、初日の時点で既に印象に残っていたのだ。だから初めて彼女に話しかけられた時は、「あ、この人最優秀セールスの人だ」と、名前よりも先に肩書で思い出してしまったものだった。
流石に最優秀セールスに輝くだけあって、やはりコミュニケーションが上手で話していて楽しい感じの人だ。それに加えて、彼女は学生時代に選択科目で日本語の授業を取っていたり、日本のアニメや歌手などにも興味があったという事もあり、彼女とはあっという間に仲良くなった。ターフへ向かうVanに乗っている間はほぼ毎回彼女と隣の席で、行き帰りの道が荒い運転に耐えるだけの時間でなく楽しいお喋りの時間に変わっていた(ちょうどトニーの荒い運転に慣れてきたというのもあるが)。この後も彼女とは仕事の外でも一緒に食事に行ったりカラオケに行ったりする事になる。
ちなみにこっちでは、別に恋人同士の関係でなく「良きお友達」のレベルでも2人きりで食事に行ったりとかは普通である(実際ビクトリアには彼氏いたし)。別れ際とか、久しぶりに会った時に「久しぶりー♪」とか言いながらぎゅーっとハグするとかも当たり前にやったりしていた(ハグはこっちでは仲のいい友達の間での挨拶程度の意味合いしか持たない)。
日本のバラエティ番組とかで恋愛の駆け引きの話とかを聞いていると、「そんな早い段階で2人きりでご飯に行こうとしちゃダメでしょ~」と誰かが誰かにダメ出しをしたりとか、「いかに『気になるあの子』と自然な流れで2人きりで会うか」というテーマで、あーでもないこーでもないと熱く語る人たちがいたりする。それはつまり一般的に日本では異性が距離を縮めるには、たとえ「ただのお友達」レベルから入るにしても相当慎重にいかねばならないという事なのだろうが、こちらでは「今度2人で一緒にゴハン行かない?」「うん、いいよ^^」の一言であっさりOKだった。
更には、もっと先までイッテしまいそうになるケースもある。少し話が飛ぶが、この数か月後に、フランス語圏であるニューカレドニアから来た女の子が僕の当時住んでいたシェアルームに引っ越してきて、彼女と同じベッドルームになった事があった(※こちらでも原則ベッドルームは男女別だが、場合によってはカップルでなくても男女で同じベッドルームで過ごす事もありうる※)。彼女はいかにもラテン系にいそうな明るくて愛嬌があり可愛らしい女の子だった事もあって、彼女とはけっこう簡単に仲良くなれた。そして彼女と同じ部屋で過ごす最後の日、彼女にお別れの挨拶をしたら、ハグされただけでなくキスまでされそうになった。僕が少し動揺した様子だったのに気づき、彼女は「あ、ゴメンね。いけなかった?テヘペロ(*^_^*)」という感じだった。いや、まぁ、別にいけなくはなかったんだけどね。でも、今度似たような事が起こっても、慣れた手つきでサラッと対応する自信はないです。。。
そういえば、アメリカで留学していた時、ブラジル人のルームメイトがいた時期があったが、そのルームメイトのブラジル人仲間が集まってきてパーティをした時にも、別れ際の挨拶でブラジル人の女の子とハグをした時にキスをされそうになった事があった。その時も、僕がまごついていたのもあり、結局実際にはしなかったのだが、当時のルームメイトだったブラジル人のルーカスから後で指導を受ける事となった。
ルーカス:「おい、なんでさっきあの子とキスしなかったんだ」
僕:「は?そりゃしないでしょ。あの子、別に俺のガールフレンドでもないんだし」
ルーカス:「ガールフレンドであろうがなかろうが、別れ際にはキスをするのが常識というものだ。」
僕:「そ、そういうモンですか…^^;でも、結局あの子の方も最終的には俺にキスしてこなかったし、別にあれでもよかったんじゃない?」
ルーカス:「それはお前がモタモタしていたからだ。お前さえしっかりしていれば、間違いなくブチューっといっていたはずだ」
とこんな感じだ。
こういった話を聞くと、「ほぉ(・∀・)ラテン系の国に行けば、誰でも簡単にギューギューしたり、チュッチュチュッチュしたりできるのか!」と思う人がいるかもしれないが、そうでもないと思いますぞ。確かに日本と比べたらそういう傾向は強めではあるだろうが、もちろん全員が全員やるわけではない。結局の所は人によるのだ。なので、ラテン系の国だろうがオーストラリアだろうが、間違った憶測で「ガバーッ」といき、「バチーン」とやられる事のないように、くれぐれも気を付けよう。
おぉ、ビクトリアの話だったはずなのに、いつのまにかラテン系のキスの話になってしまった。いかんいかん。。。ビクトリアの話に戻そう。
ビクトリアはただフレンドリーなだけでなく、なんだか知的な雰囲気があるなとは思っていたが、オーストラリアの中でも優秀な大学の卒業生だという事がわかった。話を聞いていると、どうやら彼女も最初はこの仕事が訪問販売のセールスだとはよく知らずに応募して、後になってそれがわかり「ちょっと騙されたかも」と思ったらしい(笑)
そして彼女は、社員の平均年齢が20歳そこそこであるこのセールス会社で僕よりも少し年上と、珍しく高めの年齢層の人だ。そして他の多くの社員と違って、中くらいのザンギエフの研修にも洗脳された様子はなかった。それでも最優秀セールスに輝いていたし、それも中くらいのザンギエフやシドニー支部の助っ人のように威圧感を使って契約させるのではなく、ニコニコ笑顔を絶やさず、アグレッシブさを使わずにこれだけの結果を残すのだから大したものだと改めて思った。
このようにビクトリアと友達になれたこともあって仕事の方は楽しくなってきていたのだが、シェア先ではむしろ不快感が日に日に大きくなってきていた。「こんなの聞いてないぞ」と言いたくなる事がいくつも出てきていたからだ。
まず、ルームメイトたちが窓を開けっぱなしにするのだ。南半球にあるオーストラリアの7月は冬であり、メルボルンはタスマニアと並んでオーストラリアとしては寒いエリアの1つだ。マイナスにこそならないものの、気温は1~3℃になることも珍しくなく、なおかつこの時期のメルボルンは風が強く雨もよく降るため体感気温はもっと下がる。そんな時に窓を開けっぱなしにされたらたまったものではない。しかも、エアコンが設置されているのに電気代がかかるという理由でそれをつけないのだ。どうしてもつけるのなら、電気代を全て僕1人で負担することになるのだという。しょうがないので窓が開いているのを見かける度に閉めると、今度は「窓を閉めるのをやめてくれ」と注文をつけられる。窓を閉めるとビルの中に通っているダクトの音が響いてうるさくて眠れないというのだ。
あと、鍵が1人1つずつない。正確には、鍵自体は1人1つずつあるのだが、ビルの入り口や部屋のある15階まで上がるためのエレベーターやトレーニングジムのドアは電子キーがなければ開かず、その電子キーが1人1つずつない(ちなみにエレベーターの他に非常階段もあるが、非常階段のドアは1階は外から開けられないので、エレベーターが使えなければ上の階には行けない事になる)。
ホント、こんなの聞いてないぞ?事前に説明しとけよ、こういうのは。「おたくの部屋では冬でも暖房をつけずに窓を開けっぱなしにしますか?」とか「電子キーは1人1つずつありますか?」なんて質問、入居前のあの段階では思いつくはずもなかったし、部屋のホスト側から予め言われなきゃこんなことわかるはずがない。インスペクションの時に家賃に電気代や水道代諸々は全部含まれてるって言ってたのに、実際には暖房が使えないとはなんてことだ。知ってりゃポートメルボルンのノルウェー人のジョンの部屋に行ってたさ。
さらに、この日はカチンとくる事がもう一つあった。夜10時以降は洗濯機を使うなと、これも後出しジャンケンのように言ってくるのだ。以前の記事にも書いたように、僕の仕事は終わるのが夜遅く、家に着くのは夜10時ぐらいだ。そしてこの時期は雨が多く、日中仕事でターフを歩き回っているうちに着ているものはびしょ濡れになるし、特に靴下は家に着き次第なるべく早く洗いたい。それなのに洗濯機は使うなと?何でかと理由を聞いても、「ルールはルールだから守れ」とロクに理由を説明しようともしない。「ルールがあるから守れ」という主張をする事自体は構わんが、だったら入居する前に知らせとけっての。それに、後から知らせるにしても、ちゃんと理由を説明しろっつーの。
夜洗濯機を使っちゃいけない理由はライアンからは結局知らされないままだったが、自分で考えてみたらせいぜい思いつくのは夜使うとうるさいからダメだというぐらいのものだろうか。でもそれもおかしな話だ。夜の12時半や1時近くになっても大声で遠慮もなくベラベラくっちゃべってゲラゲラ笑っているルームメイトがいるのだが、そいつらには静かにするように注意してないんだから。でも僕がスカイプで夜8時から9時ごろに小さな声で喋らず普通の声で喋ったり笑ったりするとうるさいらしいのだ。完全に矛盾している。
そしてこれは前から気になっていたのだが、ここのルームメイトの連中は皆意識が低い。僕以外は全員台湾か香港出身で、部屋では実質Mandarin Chinese(北京で話される、いわゆる「標準語」の中国語)が公用語になっている。奴らは中国語で情報収集をし、中国語環境でテキトーに仕事をし、チャイニーズマーケットに通い、中国語のビデオや音楽ばかりを視聴し、Free timeは中国語の通じる人間とつるんでばかり。稼ぐほど仕事を頑張っているわけでも、地元のオージーたちや他の国から来た人たちと積極的にコミュニケーションを取ろうとしているわけでも、特に自主的に英語を勉強してるわけでもない。語学学校に通っていても平気で毎日30分~1時間ぐらい遅刻する。あんたら、何しにわざわざオーストラリアまで来たの?こんなことしてるんだったら、最初から台湾や香港にずっといればいいじゃん?そしてそれだけならまだしも、普段特に何の努力もせずにただ呆けているだけ、なおかつ夜はうるさいだの食器や調理器具をすぐに洗って次の人が使えるようにしておかないだのでこっちに面倒な思いをさせてるくせして、こっちにはいろいろとイチャモンをつけてくる。ライアンも最初は印象がよかったが、この頃にはそんな印象は消し飛んでしまっていた。この部屋もそろそろ見切りをつけるべきですな。さっさと次の部屋を探そう。