日当たりの良い窓際に一輪の花が細みのガラスの花瓶に挿してある。
彼女はまるで太陽の光が雲を割って話しかけてくる時だけニコッと笑う。
雲が彼女を太陽から遠ざけると、彼女は少しだけ安堵の微笑みを浮かべる。
少しの虚無感を漂わせながら。
彼女は太陽が嫌いだった。
だから雨の日は好き。
太陽が話しかけてこないから。
やがて太陽に代わって月がやってくる。
月は太陽と違い静かに彼女を見守る。
夜露なのだろうか。
彼女から一粒の小さな涙が落ちていった。
彼女はカーテンを閉ざした。
すると太陽が現れなくなった。
彼女は話しかけられないから気が楽だった。
夜はカーテンを開ける。
月は優しく身守ってくれる。
その日は突然やって来た。
なぜだろう。
夜なのに月がいない。
ずっと月を待ったが一向に来る気配はない。
彼女は気づいた。
そう彼女は枯れてしまっていた。
太陽を拒否し続けたからだ。
枯れてしまった花に存在価値はない。
もうこの透明な花瓶にいることはできない。
彼女は誰かの手によって外に連れ出された。
彼女は悟った。
この土の上が自分の最後の居場所になるんだと。
このまま自分も土の一部になるんだと。
今日は好きだった雨。
空が泣いている。
彼女も泣いている。
誰にも気づかれないように。
それから太陽は毎日土となった彼女を温かくかつ優しく照らし続けている。
彼女は今、何を思うのだろう。
