「戦争映画オススメ10」
若い頃、戦争映画が苦手だった。
単純に嫌な気分になるのを避けてほとんどそのジャンルを観てこなかった。
歳を重ねる毎に絵に描いたようなハッピーエンタメ映画に興味が無くなっていった。想像が付くものがつまらない。常に驚きを欲していた。
自分が知らない事を映画を通じて体験していく事に興味が増していった。
映画って擬似体験による人間観察なんだな、と。
ある時期から戦争映画を観始めた。
みるみるハマっていった。
もちろんカッコイイなんて論外!
悲惨であればあるほどリアルだし記憶に残る。戦争映画はいかにツライかが重要なんだと。。
ただ、一口に戦争映画と言ってもアプローチは様々。
基本パターンは戦場で兵士達が命をかけて戦う。友情、不条理、悲しみ、怒り、、を描いたものがほとんどだったんだけど、近年は戦場がメインじゃないタイプ、ナナメからの視点の作品がかなり増えてる。予算もかなり節約できるのも大きな理由だと思われるが、これはこれでかなり興味深い。
てなわけで、今回はちょいと異色な戦争映画のオススメ10。
監督、キャストはあえて省略。
王道の「プライベート・ライアン」
先日紹介した「この世界の片隅に」などなど、お馴染みの名作は今回外します。
では、、
「1917 命をかけた伝令」
2019年イギリス・アメリカ
第一次世界大戦時の2人の若いイギリス兵の1日を描いた戦場映画。
全編1カットノンストップ映像に圧倒される。まさしく戦場の臨場感!
「縞模様のパジャマの少年」
2008年イギリス・アメリカ
ユダヤ人強制収容所の敷地内で出会った2人の少年。1人はドイツ将校の子、もう1人はユダヤ人の子で、、
無数にあるホロコーストものの中でもこれはかなり強烈な後味を残します。
「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」
2015年イギリス
今時の戦争はハイテクで遠隔でドローン操作攻撃が主流になりつつある。で、この作品は軍の会議室でのやり取りを描く。
人道派と国家派のせめぎ合いはかなりリアルかつエンタメ。
「J S A」
2000年韓国
韓国と北朝鮮の南北ものは傑作が多いがこれは日本での韓国映画の知名度を一気に上げた名作。
南北境界線の兵士達の敵味方を超えた友情から起こる悲劇を描いた作品。
「野火」
2014年日本
塚本晋也、監督主演によるリメイク作品。
監督の最新作「ほかげ」もオススメだけど、戦争モノと言えばまずはこれ。
フィリピンのジャングルを彷徨う日本兵らの極限状態を描く。
かなりエグいので覚悟して視聴してくださいませ。
「ガザの美容室」
2018年パレスチナ・フランス・カタール
戦時下のパレスチナ自治区ガザの小さな美容院を舞台に、過酷な日常をたくましく生きる13人の女たちを描いた異色の人間ドラマ。
戦争映画と言えば男が主役が基本だけど、これは完全にほぼ女性ばかりのワンシチュ密室劇。
「ナワリヌイ」
2022年アメリカ
戦争映画ではないが、反プーチン派のロシアの政治活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件を追うドキュメンタリー。
結局、この映画の後、、ついにナワリヌイ氏死亡の衝撃ニュース!
「帰ってきたヒトラー」
2015年ドイツ
現代に蘇ったヒトラーがわけも解らず芸人と勘違いされてメディアに引っ張りだこになる、てなブラックコメディ。
戦争モノにコメディ?しかもヒトラー?でも、ちゃんとメッセージあり、一見の価値あり。
「戦場でワルツを」
2008年イスラエル
戦争モノにもアニメ作品はいくつかあり。何故アニメなのか?生々しい悲惨な映像回避もあるが、ドキュメンタリーの場合当事者の証言の匿名性の意図もあるそうな。
レバノン内戦を描いたこの作品以外にもカンボジア内戦を描いた2020年アニメ「FUNAN フナン」や2021年ベルギーのファンタジー的「アンネ・フランクと旅する日記」など、興味ある方はどーぞ。
「キャタピラー」
2010年 日本
日本の戦争映画は無理矢理感動の美談にしてる作品が多いイメージなんだけど、それに反発してるかのような作品もいくつか存在する。この若松孝二監督作は戦争後に戻ってきた兵士とその妻の話。とにかくトラウマ級の救われない話。
名作「ジョニーは戦場へ行った」的と言えば分かる人には分かるでしょう。視聴される方は最大限の覚悟を。
戦後79年。
戦争を知らない子供達である我々はせめて映画で擬似体験を。
言うほど簡単では無い事は解ってはいるけれど、、
戦争のない平和な世界を!!