お笑い芸人を辞めて1年が経ちました。




腹の底から笑う回数が減りました。

体の芯から湧き上がる高揚感も減りました。

舞台に向かう時の言い表すことができない緊張感も、感じることがなくなりました。




この1年、僕自身が強く感じたことは、自分で思ってるよりお笑いが好きだったんだなってことでした。


お笑い芸人やるのって、基本的に自己発信だから、自分のお笑いセンスに自信があるからこそやるんだと思うんです。

自分には才能があるんだと、コレで食べていけるようになってやるんだって気持ちがあるから、リスクがあってもお笑いの世界に飛び込むんだと思うんです。

でもそのお笑いを辞めるってのは

「自分が信じた才能を、自分で無いと認める」

ということなんじゃないでしょうか。

もしかしたら、「自分は才能が無いかも……?」なんて脳裏をよぎっている芸人さんもたくさんいるかもしれません。

そこから目をそらし、絶対口に出さず、続けてる方もいるかもしれません。

辞めるっていうのは、それらを自ら認めるということなんじゃないかなって、僕は思います。




今やっている仕事は、やり甲斐もあるし、将来的な目標もできました。

新しい知識を頭に入れたり、自分でやり方を試行錯誤したり、楽しく仕事しています。


しかし、これからの人生は僕にとってお笑い芸人という「一番やりたかったこと」が空いたスキマを埋める作業なのかなって、時々思います。

お笑いが一番やりたかったことだったから、その穴はとても大きく、なかなか埋めることができません。

というか、一生かかってもここは埋まらないと思います。

一番の代わりになるものって、たぶん無いんじゃないかなって思います。



決してお笑いに戻りたいわけではありません。

僕がお笑いを始めた18歳の頃の意気込みには、もはや程遠いです。

今現在の僕には、その当時の勢いも、野望も、そして自分の才能にも自信が持てません。


その頃思い描いてた成功とかは全然叶わなかったけど、やっぱり芸人やってた時はすごく楽しかったです。

お金もずっとなかったし、しんどいこともつらいこともたくさんあったけど、あの頃の楽しさを超えることは、今後ないでしょう。



一応言っておきますが、結婚や子供がいることの楽しさや幸せは、別物ですから。種類が違うものなので。これはこれでものすごく喜ばしいことですから。



こうやって辞めてから、こうゆう発信をすることは、イタイやつだと思います。

すごいダサい行為です。

負け犬の遠吠え以外の何者でも無いと思います。


ただ、芸人を辞めて一年経って、いまどんな心境なのかを言っておきたかったんです。


負け犬の声も、誰かに届けばいいなと思います。


そもそも芸人なんぞやってた人間ですから、自己顕示欲は強いんでしょう。



あのとき辞めずにまだ続けてたら……

なんてことを、一瞬でも考えなかったわけではありません。

芸人さんはやっぱカッコいいなって、辞めてもなお

いや、辞めてから余計に感じます。



面白いことを、人を笑わすことだけを考えて、それをやるって、とんでもないことですよ。



本当に芸人さんはみんな尊敬します。



でも、矛盾してるかもしれませんが、後悔はしていません。



お笑いやってて、本当によかったです。




長々と、面白みのかけらもない文章をここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。