毎年アカデミー賞作品賞受賞作品は、必ず観に行くようにしています。


今回は実話をもとにした、アメリカ全土を揺るがした大スキャンダルをスッパ抜いた、ある新聞記者たちのお話。


書きます、ヒョウロン。




『スポットライト 世紀のスクープ』
(原題:Spotlight)




アメリカ、ボストンにおいて「カトリック教会の神父が児童に性的虐待をしている」というスキャンダルの一端を、地元紙ボストン・グローブの記者たちが掴み、これをスクープにしようと証拠やウラを取るために奔走するが、そこで見えてきたのは「教会」というシステムの深い闇だった…。




まず、最初30分で持った感想は


「あれ…これやっちゃったかな…?」


でした。




…ってゆうのも、個人名とか色々出てきすぎて、誰が何のこと言ってんのかわからない。


人物相関図が頭の中で構築しづらい。


話が入ってこない。




それでもしっかりくらいついて観ていると、ある瞬間から「…え?」って引き込まれ、そのままズルズルと前のめりにさせられるように最後まで走り抜けてしまいました。




本作で主軸となるカトリック教会、つまりはキリスト教のなんたるか、というのは、無宗教が根付いてる日本ではなかなか入り込めない文化かもわかりませんが


要は基本的に性的欲求は禁忌である、同性愛なんてもってのほか、神に仕えるものは粛々と、清廉潔白でなくてはならない、という教えのキリスト教神父が


教会に通う児童に


それも男の子に


イタズラしてましたよっていうのが、30年以上続いてますよってゆうことなんですよ。




キリスト教というものの歴史は二千年以上続いてるワケですから、間違いなんてあってはならない、というかあるワケがない。


でも事実、被害者がいる。


地元の警察も弁護士も教会から圧力がかかり黙殺を貫く中、新聞社のスクープを追い求める記者たち数人が、その巨大な組織相手に訴訟を起こす、という前代未聞の展開。




途中から観ててハラハラドキドキですよ。


だって、民衆からの支持は絶大で、アメリカという国家自体が崇拝していると言っても過言ではない一つの大きな宗教に対し、田舎の新聞記者が裁判起こすんですよ?


銃を突きつけられてるワケでも、一歩踏み外せば崖から真っ逆さまというら状況なワケでもないのに、ものすごくスリリング。


この人たち殺されちゃうんじゃないの?ってくらい、中盤からずっとハラハラさせられました。




そして衝撃の結末。


ラストシーンでは僕は怖くなって震えが止まりませんでした。




すげー怖かったもん、だってこれ現実にあった話なんでしょ?


サスペンススリラーですよ。




じゃそんな映画にアカデミー賞なんてあげていいの?ってハナシなんですが


決してカトリック教を否定してるワケではなく


キリスト教というものを信じ、その正義を貫くためにジャーナリストたちは真実を追い求めるのかな、と思いました。




もうね、スクープをスッパ抜きたい!とか、我が社の新聞をとにかく売りたい!とかじゃなく



真実を報道する義務がある、市民はそれを知る権利がある。


こんな嘆かわしい悲劇をもう繰り返してはならない、といった、強い使命感をもって記者たちは動くんですよ。




みんな家族を持っているのにもかかわらず、この映画ではその辺のことが全然描かれない。


あえてそうしてるのかわかりませんが、大切であるはずの家族を犠牲にしてまでも、やるべき使命を果たしているように思えました。


ラストは圧巻です、エンドロールは動けないでしょう。




キャストも、昨年主演作『バードマン』が作品賞受賞し、二年連続作品賞出演になったマイケル・キートン。


そしてキレると緑のデカいマッチョになるでお馴染み、マーク・ラファロ。


あんた本当美人さんね、レイチェル・マクアダムス。

ウルヴァリンのお兄ちゃん、リーヴ・シュレイバー。


アイアンマンのお父ちゃん、ジョン・スラッテリー。




実力演技派が揃っております。



しかしアレね、昨年の『バードマン』のマイケル・キートンのセリフから拝借しますが、どいつもこいつもアメコミ映画ばっかですね。


そんだけアメコミ映画というものが、今大成功を収めてるってことね。




かなり大人なお話で、少々難しいかもしれませんが


僕はこんな恐ろしい事実があったことを全く知らなかったので、そうゆう意味でも衝撃を受けました。


最近はやりの、メッセージ性をたっぷりと含む作品です。