今回は、公開前の予告を観た時からハートを鷲掴みにされていた作品。
アカデミー賞作品、監督、脚本賞ノミネート、主演女優賞受賞。
書きます、ヒョウロン。
『ルーム』
(原題:ROOM)
17歳の時に拉致され、7年間納屋に監禁された女性。そしてそこで生まれてから5年間、その『へや』の外を知らない、内側だけが世界のすべての男の子ジャック。5歳になったジャックと母は、その監禁部屋からの脱出を企てる…。
まず予告編で「なんだその震える設定は!?」と思ったもんですよ。
例えば『オールド・ボーイ』とか、長年の監禁を扱った映画はありますけど、今回は若い母と幼い少年にスポットライトが当たるわけです。
特にこの「外の世界を知らない少年」というところが、この作品のキモになるわけです。
監禁部屋にあるテレビで流れる映像は見るけど、それらは全て作り物だと思っていた。ところがそれが実在する。
我々にとって「宇宙人が本当にいるんだよ」ぐらいの衝撃を、母から告げられる。
宇宙人どころか、自分と母親、そしてたびたび部屋に入ってくる男以外、生き物は存在しないと思っていた少年。
子どもがいる身としては、前半1時間ずーっと胸が張り裂けるような気持ちでした。
おそらく普通に外で生まれて自由なら得られたであろう幸せを知らずに今まで生きてきたジャック。
しかしジャックは狭くて窓もない納屋の中でも、ママとずっと一緒だから幸せだった。
存在を信じられない世界と、確かに存在する母。
そして作り話だと思っていた世界を目の当たりにした時のジャックの心情。
前述もしましたが、いわゆる監禁された被害者を描いた映画は、たいていその場所からの脱出や、脱出後に犯人に復讐する、といったものが多いですが
この映画の被害者はか弱い女性と子ども。
そして自由な世界に飛び出してからの社会復帰、トラウマの克服を描いた作品です。
誰も強くない、人間は得てして弱い。
ヒーローもヒロインもいない、人間の精神を、拉致監禁事件を通して描いています。
強いて言うなら、一番強かったのは5歳の少年ジャックかもしれません。
何も知らなかった。そして知ってからの振る舞い、成長を見事に演じきった、天才子役と呼び声高いジェイコブ・トレンブレイ君。
この子が本当にすごい。
コレ演技なの?こんな幼い子にこんな複雑な表情できんの?ってくらいすごかった。
とてつもない、我々には想像し難い壮絶な体験をした被害者の「その後」。
それを取り巻く人たちの思惑。
観た人の感想を聞きたいです。
ちなみに鑑賞後、僕は一刻も早く娘をきつく抱きしめたい衝動に駆られましたよ。
まだまだ観たい作品がゴロゴロありまして、日本はゴールデンウィークという映画産業のかきいれ時があるので、注目作品がバンバン公開されていくんですが
ほんとこれだけは声を大にして言いたい。
……おカネ!!!!!