チェリーセント#5
私は慌てて自分の手を、ユノさんの額から引こうとしたら、ユノさんは私の手首をしっかりと掴んだ。
「っ!」
私はビクりと肩を揺らす。
ユノさんはまだぼんやりとした表情で私をじーっと見つめる。
やめて。
そんな風に見られたら、動けない。
「はは・・・参ったな。」
私の知ってる微笑み。
「まさか君が夢に会いに来てくれるなんて・・・。」
寝ぼけてる?
「・・・夢じゃ、ありません。」
これ以上見ないで。
私は顔を背ける。
「離して・・・。」
私の頼みは聞いてくれず、ユノさんからの視線が熱い。
ダメ・・・本当に。
「ユノさん・・・離して下さい。」
もう一度、震えそうになる声を振り絞ってお願いしたのに。
「もう1度、名前呼んで。」
そんな風に返される。
「・・・・・・。」
「ほら、早く。」
私はそっとユノさんを伺い見る。
顔が少し赤い。
そう言えばユノさんはあまりお酒に強い方ではなかった。
「お酒、飲んでいるんですね。」
「こっち向いて。」
ユジンさんの繊細な指が私の髪を耳に掛ける。
「顔、見せて。」
甘い声で穏やかに私に要求する。
「綺麗だ。」
昔と変わらないように、あなたはそう言った。
それだけで、私の体温はどうしようもなく上昇する。
ユノさんが私の名を呼びかける。
「・・・・・・。」
「ねぇ・・・」
「・・・・・・。」
「名前、呼んで・・・?」
これ以上は身が持たない。
「お水、持ってきます。」
私は逃げるように立ち上がる。
それなのに
「愛してる。」
はっきりと
こんな残酷な言葉。
私は固まった。
頭が真っ白になってしまった。
そんな事お構い無しにユノさんは私に手を伸ばす。
「可愛い。」
頬に触れようとした手を何とかかわした。
「お水・・・」
早く逃げないと。
「ねぇ・・・。」
「離して下さい。」
「ここに居て。」
「ユノさん・・・。」
「どこにも行くな。」
「目を覚まして?」
「嫌だ。ずっと夢の中にいたい。」
「そういう意味じゃなくて・・・とにかく、手を離し・・・っ!」
その先の言葉が塞がれた。
ユノさんの唇によって。
この感触を私はよく覚えている。
もう二度と思い出してはいけないと
自分に言い聞かせて
忘れ去ろうと必死に考えないようにしていたのに。
ユノさんはもっと
何度も唇を重ねてきて
あっという間にあなたの感触を思い起こさせた。
「や・・・め・・・!」
ダメ!
酔った勢いでこんな事。
あなたは何て残酷な人なの?
「もっと君を感じたいんだ。」
そんな事、夢でも言わないで。
だって私
私の気持ち
知ってる?
あなたに捨てられても尚
消す事の出来ない
この感情に
私がどれだけ苦しんでいるか。
嫌。
ユノさん、苦しめないで。
逃げようとしても
ユノさんは私をしっかりと押さえて、解放してくれない。
嫌。
苦しい。
息が出来ない!
やっとの事で微かに開いた唇の隙間に
追い打ちをかけるように
ユノさんの舌が中へ入ってきた。
「ん・・・」
熱いキス。
これは夢?
覚めると虚しい
残酷な夢。
ダメだと解っているのに
流されてしまう。
ユノさん、あなたの熱が熱くて
逃れられないくらい
私は溶けてしまった。
だめ!
だめ!
現実を歩む私を誘惑しないで。
ユノさん
ユノさん
熱い
熱い
私の
最愛の人。
(続く)
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